女王の花
それぞれの時代における事柄や、当代の人間の機微を魅力的に、また臨場感たっぷりに感じさせてくれるのが歴史ものの特長ですよね。歴史をモチーフにした漫画はたくさんありますが、今回はその中でもおすすめの少女漫画をランキング形式でご紹介します。 スマホアプリで無料で読めるものもあるので気になった方はそちらもどうぞ。

互いに勢力争いを繰り広げる、亜国・土国・黃国・曾国という国々に囲まれた戦国時代を舞台に、国の統治やそこで暮らす人々の人間関係、恋愛模様などを織り交ぜて展開する重厚なストーリーを楽しめます。女王の花
2008年08月26日![]()
原作は上田秋成の作で、江戸時代の怪異小説集。漢文を交えた流麗な文章で綴られる、恐ろしくも情緒あふれる物語です。
この文庫本では、『雨月物語』の中から有名な「菊花の約」「浅茅が宿」「吉備津の釜」「蛇性の婬」の4編が漫画化されています。原文の雰囲気を残した、しっとりと格調高い作品に仕上がっているのはさすがです。
- 著者
- 木原 敏江
- 出版日
- 2001-07-01
『雨月物語』で有名なのはやはり「究極の同性愛」とされる「菊花の約」。「菊花の契り」といえば男色(いわゆるBL)の雅語にもなっていますよね。9月9日を陽が重なる重陽の日として菊酒を飲む習慣は、陰陽五行説に基づいた中国の習慣です。
また「蛇性の婬」は「白蛇伝」「娘道成寺」と言い換えるとピンと来る方も多いのではないでしょうか。「白蛇伝」は正確には中国・明代の白話文学集『警世通言』内の1話「白嬢子永鎮雷峰塔」です。そして日本に古くから伝わる「安珍・清姫伝説」をベースにしたのが『娘道成寺』。これらふたつを元にしたのが上田秋成の「蛇性の婬」であるようです。
蛇と人間との恋物語は日本と中国、どちらにもあったのですね。
こんな風に『雨月物語』には中国の文学も大いに影響しているのですが、木原敏江はその原典もたどり、ジャパニーズ・ホラーというよりはむしろ男と女(あるいは男と男)の愛情の深さゆえの物語としてまとめあげています。
父親の後を継いで桜井家の当主となった貴晄は家臣に、箱根に住むというそうびの様子を探りに行かせます。すると家臣は、そうびに貴晄の面影と武士らしい素質を見出し、江戸へと連れ帰ってしまいました。
- 著者
- 津田 雅美
- 出版日
- 2009-01-05
池田理代子の『ベルサイユのばら』には、木原敏江の「フィリップ」を真似た姿のサン・ジュストが少しだけ登場します。髪型もボブスタイルで『摩利と新吾』の鷹塔摩利そっくり。
そのことと直接関係があるどうかは定かではありませんが、レトロ少女漫画ファンならばあのシーンを思いだし、熱い視線を注がずにいられないのがこの『杖と翼』。 池田の「ベルばら」から30年近くの時を経て、木原敏江が描くサン・ジュストの物語です。
- 著者
- 木原 敏江
- 出版日
フランス革命にて恐怖政治を行ったロベスピエールの片腕、サン・ジュストことレオン。国民議会での演説によって、ルイ16世を死刑に導いた人物です。
「努力しなくても人並み以上になんでもできてしまう」レオンがようやく見つけた、命をかけて打ち込めるものとは、革命だったのです。
少し絵柄が変わっていますが、才気あふれる美青年として描かれたレオンはやはり「フィリップ」を彷彿とさせます。
- 著者
- 高尾 滋
- 出版日
- 2012-10-19
オリエント急行の中で遭遇した事件とは、まさかの俊の死亡事件でした。 悲しみに暮れる万里子ですが、実は俊は生きていて、異国の恋人と駆け落ちをしてしまったということを聞かされます。かなり怒涛の展開ですよね。
さらには、オリエント急行に乗りこんだ当初から、傲慢なだけだと思っていたニーラムという名のインド人青年との出会いが、万里子の心を揺り動かしていきます。不遜でなれなれしいニーラムの無神経さが万里子を怒らせることになるのですが、逆に怒っている万里子にキュンとしてしまう変わり者のニーラムが、だんだん憎めなくなってくるから不思議です。
今後、万里子は様々な国や地域へと赴いていくことになりますが、その土地土地での冒険物語としても楽しめる1冊。オリエント急行で急接近した万里子とニーラムの恋の結末が気になって、ページを捲る手が止まりません。
本作の舞台は明治時代の旧制高校・持堂院。
当時の高等学校は全寮制。現在では大学の教養課程にあたるエリート養成機関でした。マントをはおり、制帽をかぶり、高下駄を履いて寮歌を歌いながら闊歩する「バンカラ」というスタイルはもともと旧制高校生の象徴です。
日本男児らしい見た目の印南新吾と、ドイツ人を母に持つ中性的な美貌の鷹塔摩利(「フィリップ」のひとり)は幼なじみの同級生。
いずれ劣らぬ文武両道・眉目秀麗のふたりは、神棚に並ぶ一対の徳利にたとえて「おみきどっくり」と呼ばれる仲良しです。
- 著者
- 木原 敏江
- 出版日
個性豊かな仲間たちと過ごす、笑いあり涙ありの高校生活。
序盤のオムニバス形式のストーリーから、次第に物語は摩利が密かに抱きはじめた、新吾への苦しい片思いへ。かたや、全校生徒に摩利との関係を問い詰められても「上か下かは……じゃんけんで決めようと思う!」と真顔で答える、どこまでもまっすぐな新吾。親友である摩利の恋心をどう受け止めるのでしょうか?
関東大震災に、世界大戦……激動の時代もふたりの絆に暗い影を落とします。ラストは涙なしに読めません。
また、作品内の着物の描写が正確なことにも驚かされます。ふんわりした総絞りの長羽織、ぱりっと糊のきいた紗の夏着物、絽の夏帯。質感まで描き分けられた着物が物語に奥行きを与えます。
なかでも顕著なのが、摩利の家に集まってお正月を過ごす登場人物勢揃いのシーン。旅芸人の女の子は小紋柄のアンサンブルを着てきました。女学校をやめて働いている少女に恋人が工面したのは、あっさりした柄行きの振り袖に帯はお太鼓結び。そして女学校に通う裕福なお嬢様たちが着こなすのは、紋付きの豪華な振り袖に飾り結びをした豪華な帯。
……というように、着物だけでみごとに少女たちの境遇を描き分けてあり、ひそかに必見の場面です。
この『摩利と新吾』は木原敏江初の長期連載作品だったとのことで、1巻あたりを読むとこのラストまでの構想がはじめから作者にあったとは思えないのですが、だからこそ、笑って泣いて成長する「心優しき野蛮人たち(ヴェッテンベルク・バンカランゲン)」の姿がリアルな熱量をもって胸に迫ってくるようです。
史実のうえでは、宮古湾海戦で戦死したという野村利三郎、最後の新撰組隊長である相馬主計、そして京都時代には「鬼の副長」として恐れられた土方歳三の、それぞれの最期の物語が、打ち上げ花火のように美しく儚く、そして力強く描かれた一冊です。
- 著者
- 菅野 文
- 出版日
- 2004-09-17
清三郎は、父と兄の3人で診療所を営んでいましたが、長州反幕府派の浪人に診療所が燃やされ、さらには父と兄が殺されてしまう、という過去を持っていました。そこに、たまたま近くを訪れていた沖田総司に助けられ命を取り留めます。風光る
1997年10月25日![]()
歴史をモチーフにしたおすすめ少女漫画、いかがでしょうか? どの作品も、読んで面白い、恋模様にキュンとする、さらに時代を懸命に生きる人間のリアルな物語ばかりなので、興味を持ったものから読んでみてください。きっと以外と気軽に読めて、歴史モチーフの漫画を好きになってしまうこと請け合いです。