仕事のことや、人に対して前向きになれる
最初はあまりやる気のない人が途中から頑張りだすお話って、やっぱり刺激されるものがありますよね。よーし! 自分ももう少し頑張ってみるかな! と思わせてくれる作品が私は好きです。
歯医者さんが苦手だという主人公が歯科医院の受付で働くようになるところから『シンデレラ・ティース』の物語はスタートします。なぜ苦手なのに主人公が働くことになったのかはここには書きませんが、理由は違うにせよ、私も苦手な接客の仕事をしていた時期があります。
喋るのは得意ではないので本当ならば避けたい所ですが、私はあえて飛び込んでみました。むしろ苦手なので選んだと言ってもいいかもしれません。その仕事に魅力を感じる所があったからというのももちろんありますが、仕事となればやるしかなくなって逃げられませんし、その中で話すのが苦手なのを克服したいという気持ちもありました。その分、辛いと思う時もありましたが、本当にやって良かったと今では思っています。
接客業は毎日違うことが起こります。人と関わる分、この物語に出てくるように苦手なタイプの人と関わらなければいけない時も出てきます。最初はどう接したら良いのか分からず悩んだりもしますが、「一期一会」だと思って一歩勇気を出すことが大切だとこの物語でも教えてくれます。
最後の章に出てくるフレッチャーさんの「ぜいたくでない自然の食べ物を、楽しく、ゆったり良く噛んで食べること。それが健康への道。」という言葉を読んで、フランスでの食卓を思い出しました。毎週、休日のランチは何時間もかけてテレビもつけずに家族で最近のことや自分の想いなんかを話したり聞いたりしながら、夕方までのんびり食べていたことが懐かしくなりました。朝のマルシェで買った色とりどりの新鮮な野菜や焼きたてのバゲット、パテ、チーズ、鶏の丸焼きなどどれも大した値段もせずに買えるのにすごく美味しかったですし、それを家族でワクワクしながら食べていたことがなにより幸せな時間だったと思います。その時だけは毎日の疲れやストレスから解放されたような気持ちでした。1人で食事をする時もゆっくり食べている時の方が気持ちが落ち着いてきます。そんな“時間をかけて味わう”ということが健康やダイエットに繋がるというのは嬉しいことです。
日本に帰国してからはそれぞれが時間に追われ、家族揃ってゆっくりご飯を食べるということがほとんど無くなり、食事の時間もどんどん短くなっていきました。もう食事の時間を楽しんでいない自分に気付いたこともあります。でも食べることはやっぱり好きなので、また食事を楽しまずに時間にだけ追われる日々に慣れてきてしまったら、このフレッチャーさんの言葉を思い出したいと思います。
- 著者
- 坂木 司
- 出版日
- 2009-04-09
なにかの大切さに気付く作品
死んでしまう感動物語に最初からつい心を固くしてしまうようになったのは、若い時期にブームだった“死で泣ける”という物語や映画などがあまりにも流行ったせいかもしれません。たしかに心を動かされるテーマですし、自分でもそのテーマで何か書くことがしばしばあります。それなのにあまりにもそういった話ばかりが溢れすぎると少し引いてしまうという身勝手な性格なので、この本もタイトルに“四十九日”と付いていることで、そういったタイプの話なのかと始めは少し構えながら読み始めました。
しかし『四十九日のレシピ』はちょっと一味違うお話でした。
それぞれに色々な想いを抱えた登場人物が出てきて、冒頭から人が亡くなるお話と聞けば、なんだか暗そうだと思うかもしれませんが、不思議に暗さをそんなには感じないお話になっています。読み終わる頃にはなんでだろう、あんなに固くしていた心がとかされて、温かい涙が流れていました。
時折、心のメモに書き記しておきたくなるような文が出てきます。私がメモしたのは「パトカープラス信号で健康ごはん」、「川はすべての境目。あの世とこの世、理想と現実、過去と未来、狂気と正気、あらゆる相反するものの境目で、川はすべてを水に流して進んでいく」、“夢は叶う!努力は報われる!”という垂れ幕に対して本当はこうだと語るところなどなど。私も川を眺めるのが好きで、学生の頃から悩み事があるとよく川の所でずっと眺め続けたりしていました。
今回、久しぶりに読んで、ストーリーも分かっているし前より落ち着いて読めるだろうと思っていたのですが、歳を取るほどに響くところが増えるみたいで、何回も途中で鼻をかむことになりました。そして気になるのは、読了後にどれくらいの方が塩ラーメンにバターを入れてみたのかということです。
- 著者
- 伊吹 有喜
- 出版日
- 2011-11-02
悪いやつなのに憎めない
この『わるい本』は大人の絵本+写真集のような本です。主人公はわるもの。1ページ1ページめくるごとに心にちょっとチクッとくるような言葉が並んでいます。わるものが自分に重なって見えてくることもあります。読み終わる頃には心の刺をわるものがそっと抜いてくれているかもしれません。そしてまた疲れが溜まってきた時にもう一度この本を開いてしまうことでしょう。
私はアランジアロンゾが昔から大好きでした。シンプルな顔つきなのにとても表情豊かに感じるのがアランジアロンゾのキャラクターの魅力。『わるい本』も好きですが、『どこへいくカッパくん』も好き! 合わせて読むとさらに癒されます。ちょっとシュールで、切ない感じが好きな方にはおすすめです。
ちなみにこのアランジアロンゾは愛・地球博のメインキャラクターのモリゾーとキッコロやたまごクラブ・ひよこクラブのキャラクターのデザインでも有名ですね。
- 著者
- アランジアロンゾ
- 出版日