ショッキングなタイトルに比べ、真面目な内容である『中年童貞』。誰もが見覚えのあるような性格の歪みを煮詰めすぎた人物たちが登場します。ありえないだろと思いつつも少し共感するところもある、そんな彼らのリアルをご紹介します。

- 著者
- ["桜壱バーゲン", "中村淳彦"]
- 出版日
- 2016-09-28
目を引くタイトルではあるものの、いたって真面目なストーリーの本作。中村淳彦のルポを漫画化した作品です。中村が出会ったちょっと特殊な「中年童貞」たちに見た特徴、彼らを取り巻く現実をリアルに描いています。
例えば中村は介護施設を運営していた経験から、介護職の現場がともすれば「中年童貞」の受け皿になっていると語ります。真面目に働く人も多いなか、人手不足のせいで問題を抱えた人々の受け皿になってしまっている面もあると言うのです。
そして同時にそこにやってくるのは職を選べない、問題のある人が多いそう。その人物たちに多く見られたのが「中年童貞」だったのです。
もちろん、女性と接する機会がなかっただけで普通の人の方が多いでしょうが、中村が出会ったのは問題を抱えたまま大人になったタチが悪い男ばかり。介護現場など、それぞれの現実、現場で問題を起こしていきます。
ここまでやる人が本当にいるのかというケースばかりですが、そこには自分もいくところまでいけばこのようになってしまうのだろうかと考えさせられるものもあるのです。
今回はそんな問題ありまくりな中村が出会った「中年童貞」たちをご紹介します。
アニオタの聖地・秋葉原は童貞をこじらせた中年男の天国ってご存知でしたか?渋谷や新宿の100倍、童貞が歩いている率が高いとか。
「現実の女の子に相手にされないから二次元が好き」というのが童貞オタクたちの本音のようです。
ここにも童貞をこじらせた中年男がひとり。シェアハウスで生活をしているアニオタの本山(32歳)です。シェアハウスと聞くと、「イケイケの男女が一つ屋根の下で暮らすあれでしょ?」と思うところですが、ここは秋葉原。住んでいるのはオタクのみです。
1.5畳の個室が12部屋ほど並んでいます。漫画喫茶とさほど変わらない様子です。ここに暮らす本山は、日雇いの派遣で週に3、4回働いて、月収は10万ほど。高校を中退し、仕事はどれも続いたことがありません。
友達もおらず、人付き合いが苦手な自分を変えたいと思って、大阪から東京に出てきましたが、結局あまり変化はありませんでした。
そんな彼は「自分だけを見てくれる処女の女の子がいい」という厄介なこだわりがあります。誰かのお下がりは嫌なのだそう。この「処女願望」は、アニオタに多いようです。
処女がいいとなると、必然的に幼い女の子に目を向けることになります。これがロリコン好き・幼女好きにつながるのでしょう。アニメでロリっ娘が多いのも納得です。
セックス云々の前に、先ほど紹介した山下同様、まず人付き合いに対する苦手意識を克服することが課題としてみられます。
地方の国公立大学を卒業し、システムエンジニアとして働く36歳男性、松野。彼は幼少期や学生時代に女性から傷つけられた経験があり、そのことで女性恐怖症になっていました。
その結果、男で童貞を喪失することになります。彼が後天性の性同一性障害となり、女性との関係を絶ったのは、自分がこれ以上傷つきたくなかったから。ただ一方で、本当は女性に受け入れてほしいという願望もありました。
過去のトラウマは簡単に解消できるものではないのでしょう。それほど、本人にとって辛い出来事だったのです。女性と関係をもつことを諦め、男性に逃げるようになった彼は、そのあと解決策を見いだすことができるのでしょうか?
- 著者
- ["桜壱バーゲン", "中村淳彦"]
- 出版日
- 2016-09-28
人の心の闇、そしてリアルな社会のはじっこを描いた本作。この機会に、中年道程の壮絶な世界を覗いてみてはいかがでしょうか?