20年以上連載が続く『名探偵コナン』。その物語にはたくさんの謎が散りばめられ、多くは明らかになっていません。今回は謎の中でも大きな部分を占める「黒の組織」に関わる謎について、これまでの情報を整理して考えてみましょう。

息の長い人気を保ち続ける、推理漫画の代表『名探偵コナン』。謎が謎を呼び、多様な登場人物の思惑が複雑に絡み合う展開は息つく暇も得られません。
- 著者
- 青山 剛昌
- 出版日
組織の外ではクリス・ヴィンヤードなる女優と名乗っていますが、正体はその母親であるシャロン・ヴィンヤードです。
「千の顔を持つ魔女」の異名を取り、過去に女優仲間で工藤新一の母でもある工藤有希子と一緒に黒羽盗一(初代怪盗キッド)から変装術を学んだことがありました。その技術は人種も年令も性別も問わず、さまざまな人物に完璧に身をやつすことができます。実際に、いつ頃からか新出医師になりすまし、周囲の人たちを、そして読者までをも第42巻FILE.8「工藤新一登場?!」まで欺き通しました。
黒の組織では高い地位にあり、「あの方」と直接やり取りが可能な立場を確立しています。第42巻FILE.10「ラットゥンアップル」では携帯電話から「あの方」宛てにメールを送り、その際の操作音が童謡「七つの子」の出だしのメロディに酷似していることからコナンがメールアドレスを割り出しました。
また、黒の組織内では唯一、コナンと哀がAPTX4869によって幼児化した工藤新一と宮野志保であることを知る人物です。しかし、何らかの理由でその事実を他には伏せています。彼女は新一を「長い間待ち望んだSilver Bullet (銀の弾丸)になれるかもしれない」と希望を抱いているようですが、それが具体的にどういうことなのかはまだ明らかではありません。
ただ、「銀の弾丸」は魔物を倒す唯一の武器とされていることから、黒の組織壊滅の決定打となり得るもののことと思われます。
果たして、黒の組織の目的を成就させたいのか、組織解体を望んでいるのか。謎の多い女性です。
表向きは自動車製造メーカー社長の枡山憲三。口髭を蓄えた白髪の老人です。その実は「あの方」に長年仕えたと自称する組織の古株。哀の両親とは親しく、APTX4869の開発についても彼等から聞かされていたと第24巻FILE.11「白の世界」で発言しています。
杯戸シティホテルで行われた「映画監督酒巻昭氏を偲ぶ会」で、組織に属していながら収賄容疑がかかっている政治家・呑口重彦を殺害するために会場にいたところ、そこに現れた哀がシェリーだと気づき、彼女を監禁して抹殺を図りますが、コナンに阻まれてしまいました。
その後、呑口殺害の瞬間を偶然ながら撮影されてしまい、その写真が新聞に掲載されることで彼の口から機密が洩れる可能性を危惧した「あの方」の命令により、ジンの手で殺害されてしまいました。
レミントンを愛用する腕利きのスナイパー。第42巻FILE.9「仮面の下の真実」及びFILE.10「ラットゥンアップル」でベルモットの計画に手を貸してジョディ・スターリングを狙撃し、さらに車のトランクから飛び出した蘭をも狙いましたが、ベルモットに制止されました。
しかし、ベルモットが蘭の安全を確保しようとしていた隙に同じ現場にいた赤井によって両足を折られてしまいます。その後ベルモットは自動車で逃走しますが、カルバドスは置き去りに。そのため、その場で自決してしまいました。彼を連れて逃げなかったことをキャンティやコルンは怒り、ベルモットを憎んでいるのです。
かつて降谷零=安室透=バーボンとともに警視庁公安部から潜入していた捜査官。組織に身許がバレてしまい、ライ=赤井を刺客と判断して彼の拳銃を奪って自死を図りました。
赤井は自らもFBIからの潜入捜査官であることを明かして自死を制止しましたが、直後に近づいたバーボン=安室の足音をやはり刺客と思い、胸ポケットに入れてある自分の情報が入った携帯電話越しに自ら心臓を撃ち抜き、情報を隠滅、生命を絶ちました。
これを安室は、赤井は高い能力を持ちながらスコッチを助けなかったと捉え、赤井を憎み続けているのです。
RUM/ラムという人物像は謎に満ちています。第86巻FILE.2「親切なおばちゃん」で哀が「組織のNo.2」であることとともに、ラムについて知っていることを次のように述べています。
「屈強な大男だとか…女のような男とか…年老いた老人とか…それらが全部影武者だって言ってた人もいたわ…」
「何かの事故で目を負傷して…左右どちらかの眼球が…義眼らしいわよ…」
(『名探偵コナン』86巻から引用)
他方、赤井は組織に潜入していた頃に聞き及んだことを次のように証言し、ラムを「ジン以上の大物」としています。
「組織にいた頃、二、三度名前は耳にしたが…どうやら奴らのボスの側近らしい…」
(『名探偵コナン』85巻から引用)
また、コナンは第90巻FILE.2「切り取られた文字」で、APTX4869を投与された人物リストに名を連ねる棋士・羽田浩司を17年前に殺害した人物がラムであると推理しています。
単行本第92巻までの間に得られるラムについての情報はこれだけです。
姿を見たものにより容貌についての証言が異なり、性別すら判然としない人物で、左右どちらかの眼球が義眼。組織のNo.2であり、「あの方」の側近で、ジン以上の大物である。17年前に、赤井の弟で棋士・羽田秀吉の兄である羽田浩司を殺害した犯人でもある。まとめるとこうなりますが、これだけでは人物像を描くにも推理するにも難しすぎます。
ただ、「左右どちらかの眼球が義眼」との哀の証言から、一方の目を怪我している人物、たとえば長野県警の大和勘助や黒田捜査一課長がその人だとする声も読者の間でちらほら聞かれますが、この二人は候補から外れると考えていいでしょう。
義眼であるということは、一見は両目が普通に見えているように、負傷などしていないように見せているということですから、隻眼である大和や、眼鏡の片方のレンズにだけ色を着けて目を隠している黒田は義眼ではないと判断し得るからです。
ラムについては<漫画『名探偵コナン』黒の組織No2ラムの正体は?4人の候補を本気で考察!>の記事で詳しく考察しています。あわせてご覧ください。
FILE1008において、ついにあの方の正体が明かされました。結論から書いてしまうと、あの方の正体はコミックス30巻で言及された烏丸蓮耶(からすまれんや)。半世紀前に謎の死を遂げたと言われている大富豪です。
ここでは、これまで張られていた伏線に関して確認していきたいと思います。
国際的犯罪組織である黒の組織の長は50年も前から「極秘プロジェクト」を推進してきました。しかしその実の名を口にする者はおらず、組織の者からも「ボス」や「あの方」としか呼ばれていませんでした。名前も年令も性別も判らない、容貌の描写すら見当たらないという、ラム以上に謎の人物です。
性格は、第67巻FILE.8「静かなる戦い」でベルモットが述べたところによると「慎重居士で、石橋を叩きすぎて壊しちゃうタイプ」。かなり用心深いようです。
第42巻FILE.10「ラットゥンアップル」ではベルモットに直接、次のようなメールを送信しています。
「どうやら私はお前を自由にさせ過ぎたようだ。私の元へ帰ってきておくれベルモット。」(『名探偵コナン』42巻から引用)
ベルモットを特に気に入り重用する一方で、いささかの不信感も抱きつつあるようです。そのベルモットによると赤井を「我々の銀の弾丸になるかもしれないと恐れている」とのこと。また、使用メールアドレスを携帯電話でプッシュするとその操作音は「七つの子」のメロディになることをコナンが突き止めています。ご存知の通り、本曲は「からす なぜなくの~」という歌詞。ここにも烏丸蓮耶を導く伏線が張られていました。
安室はベルモットに対してこのように発言しています。
「組織のメンバーが知ったら驚くでしょうね…まさかあなたがボスの…」(『名探偵コナン』85巻から引用)
この発言から「あの方」とベルモットの間にはただならぬ関係があることが判ります。その関係とは、愛憎関係か、血縁関係か、はたまたもっとほかの関係なのでしょうか。
まだまだ謎の多い烏丸蓮耶ですが、この記事で書いてきたように黒の組織の目的が「死者の復活」だとすると、烏丸自身はすでに死んでいて、何者かが二代目を名乗っているという可能性も考えられます。
青山剛昌が長期休載に入ってしまったため、謎が明かされるのはまだまだ先のことになりそうですが、急展開を迎えた物語の今後に期待したいと思います。
長い連載が続く『名探偵コナン』。主人公・江戸川コナンがその身を幼児化させたAPTX4869の解毒剤を入手して工藤新一に戻るための物語としてはじまりましたが、次第に物語のスケールは大きくなり、登場人物も増えて、群像劇の様相を呈しています。
多くの人物がそれぞれに黒の組織と関わり、その行方を見つめます。私たち読者も物語が残してきた情報を整えながら彼等彼女等を追い、刮目して何れ訪れる物語の終幕を見届けたいものです。