世界で最も有名な本
世界で最も有名な書物である『聖書』。『旧約聖書』は、その中でも神による世界の創造から、楽園追放、大洪水、民族大移動などの出来事を綴った書籍です。『100分de名著 旧約聖書』は、そのような出来事の要点を分かりやすく解説。『旧約聖書』の概要を分かりやすく説明します。
- 著者
- 出版日
- 2014-04-25
まず初めに目に付くのは、神による天地創造の場面。『旧約聖書』には、神は6日間で天地を創造し、7日目に至って休んだ、と書かれています。これに基づいて、今も一週間は7日間で、日曜日は休みとなっています。
また、エデンの園の話や、ノアの方舟の話なども『旧約聖書』の物語。その他にも様々な話が繰り広げられていき、人間がまだ一つの言語を話していた頃の出来事が語られます。
当時、人々が天に届くほどの塔、バベルの塔を建てようとした所、その傲慢を神が怒って、人々の言葉をいくつにも分け、話が通じないようにしました。言葉の通じなくなった人々は、バベルの塔の建設を中止し、各地に散っていった、という話がバベルの塔の伝説。とても壮大な話ですよね。
人々が自然発生的に増えていったのなら、一つの言語が広まっていくような気がするのですが、ここでは、神によって複数の言語が生み出された経緯が記載されています。
その他にも、モーセが海を割る話など、読み応えは十分。豊かな想像力に彩られた最も有名な書物『旧約聖書』。その内容が気になる人は、まず本書で概略と要点をつかんでおくと、原文を読んだ時の理解が深まるので、おすすめしたい一冊です。
262文字に込められたこの世の真理
『般若心経』は、釈迦の死から500年以上経ってからつくられた仏教の教え。その内容は262文字からなる経文で、サンスクリッド語の原文を漢文に訳し現代に伝えたのが、あの有名な西遊記の三蔵法師です。耳なし芳一の話の中で、芳一の身体に書かれたのも『般若心経』。このように、『般若心経』はとても有名ですが、ではどのような教えなのでしょうか。ここでは、要点をまとめて紹介します。
- 著者
- 出版日
- 2012-12-24
たとえば、『般若心経』の初めの方には、次のような教えが記されています。
「この世のすべての基本的存在要素(法)の特性は、「実体がないという状態」である。」
(『100分de名著 般若心経』から引用)
釈迦は、この世の本質を諸行無常、つまり、全ての基本的存在要素は因果によって結びつき離れつつ移りゆく、と説いたのですが、『般若心経』では諸行無常の原則を否定。あらゆる存在要素が、生まれたり消えたり、増えたり減ったりして転変しているようにみえるのも、錯覚であり、諸行無常ではない、と説いています。
また、釈迦は、諸行無常から空を導き出したのに対して、『般若心経』は、因果を超えた超越的な空を説いている点がポイント。物質の構成要素や概念に縛られているのではなく、そこから自由になる教えを示しました。
釈迦は、基本的存在要素は因果によって結びつき離れていく、と説いたのですが、これは、現代科学の分子、素粒子といった身体を構成する科学的な要素を表わしていると言えます。つまり、釈迦の考えは、2500年前に現代科学の考え方を先見していた、といえる点がポイント。当時は、現在の科学的な原子、分子といった考えは存在していませんでしたから、釈迦の物事の本質を捉える感覚の鋭さをうかがい知る事が出来ますよね。
『般若心経』は、個人の救済を目的としたお経で、お経を呪文として唱える事により、ご利益が得られ、安逸が生まれる、というのが基本的な教えです。その根本を理解したとき、心が楽になり、個人的な救済が得られるようになるのではないでしょうか。このような考え方に興味を持った人は、ぜひ本書を読み『般若心経』の教えを学んでみてください。
日本最古の長編小説は内容も優れていた
『源氏物語』と言えば、誰もが知っている平安時代の物語です。しかし、その内容と何が優れているのか、という点については、知っている人も少ないのではないでしょうか。それを分かりやすく解説してくれるのが、この本『100分de名著 源氏物語』。ここでは、『源氏物語』の魅力を分かりやすくご紹介します。
- 著者
- 出版日
- 2012-03-24
まず、『源氏物語』が優れている点として、読者に判断をゆだねるという書き方をしている事が挙げられます。すべてをあからさまにせず、内容を読者の読みと推測にゆだねるという高度な書き方を取り入れている点がポイント。
よく良い小説を読むと、心地よい感情に満たされたり、不思議な浮遊感を感じたりしますが、紫式部は、このような優れた小説に表れる特徴を、既に1000年前に表現しているのが凄いところ。
小説と言えば、魅力的な登場人物が物語を特徴付ける部分もありますが、『源氏物語』に出てくる女性たちも、このような点を前提にして様々な描かれ方をしています。短期的に出てくる女性は、多くの場合個性的で、それぞれが印象的であるのに対し、長期的に出てくる女性は、物語の流れと共に変化していき、成長したり当初のイメージと変わってくるなど、人物としての厚みがあるように描かれています。
著者は、このような点に目をつけ、現代における優れた小説のもつ特質を『源氏物語』が内包している点を指摘。著者の解説を読むと、『源氏物語』がいかに優れた物語であるかが分かります。
そして、『源氏物語』の最も特徴的なポイントが、光源氏の恋物語です。著者は、恋の描かれ方ひとつをとってみても優れた描写が多くある、と指摘。例えば、一緒にいるときはあまり意識しなかった人も、離れてみて初めて意識されるという恋の側面を巧みに描き出している、と解説します。
「いつもそばにいて支えてくれ、応えてくれる空気のように日常的な存在で、だからこそ、そのかけがえのなさに気づかない」
(『100分de名著 源氏物語』から引用)
このような事は、現代の夫婦生活にも当てはまります。いつも一緒にいる時は何とも思わなかったのに、妻に先立たれて一人になってみるとその大切さが身に沁みる、といった話は、今でもよく耳にするのではないでしょうか。そのような話を聞くと、私達は、今一緒にいる人を大切にしようと思うものですが、そのような関係が遠く平安時代から存在していたと思うと、感慨深いものがあります。
主人公である光源氏も、物語の中で似たような体験をします。光源氏が新しい妻を迎え、比較されるべき対象を得て初めて今までの妻の良さが分かり、二人の妻の間で苦悩する、といった描写がポイント。よかれと思って妻を迎えた事が、かえって今までの妻の大切さを想起させ苦しみを生む結果になる、など、『源氏物語』には、人の感情の不思議さ、ジレンマなどが描かれています。
このように『源氏物語』の構造を考えてみると、様々な考察をする事ができ、そのような点において、優れた物語であるといえるでしょう。
著者の解説に従って『源氏物語』を読んでいくと、そこにある面白さ、巧みさ、技術的な側面まで、多くの事を学ぶ事ができます。本書は『源氏物語』がどのような内容で、どのような点が優れているのか、知りたい人におすすめしたい一冊。『源氏物語』の原書は54帖もあるので、まずは簡単な概略を知りたいという人も、ぜひ手に取ってみてください。