法外な料金をとるものの、一流の仕事をやり遂げるシェフを描いた漫画『ザ・シェフ』。手塚治虫作『ブラック・ジャック』のシェフ版のような主人公の話に心温まります。今回はそんな本作の泣ける名シーンをご紹介!ネタバレを含みますのでご注意ください。

- 著者
- 剣名 舞
- 出版日
自由気ままに料理を作る、流れのシェフ・味沢。ある者には「幻の料理人」と呼ばれ、ある者には「邪道」と言われるような人物です。
そんな彼は常に一流の仕事をするものの、法外な報酬を要求する事で有名。しかしそこにはいつも、彼なりの美学があります。美学を持ちながらも多くを語らない彼の様子はとてもかっこよく、料理を背中で語る男です。
そして彼の物語はほろりとさせられる名シーンが満載!そのシーンは作品でしか味わえない素晴らしい雰囲気が漂うものになっています。
料理界で「幻の料理人」と呼ばれる超一流のシェフ、味沢。漫画『ザ・シェフ』は主人公である彼が料理を通して多くの人を救う物語です。
本作では依頼人として多くのキャラクターが登場します。近所の奥さんや結婚式を挙げる予定の夫婦もいれば、有名ホテルのオーナーや新しく店を開くシェフなど、彼らの属性は千差万別です。ただ美味しい料理が求めて仕事を依頼する人もいれば、商売のために彼の力を求めている人もいます。
そんな多くの人に料理人として必要とされている味沢ですが、彼には料理に対する絶対的な価値観があり、自らがくだらないと思った仕事は、いくら金を積まれても絶対にしません。彼は、ただおいしい料理をつくるだけでなく、お客さんにとっての幸せを常に考え、それを実現するために行動します。
基本的に1話完結型で物語が続いていく『ザ・シェフ』。今回はその中から名シーンを選りすぐり、エピソードを交えながら、本作の魅力を紹介していきます。
- 著者
- 剣名 舞
- 出版日
- 著者
- 剣名 舞
- 出版日
- 著者
- 剣名 舞
- 出版日
- 著者
- 剣名 舞
- 出版日
- 2007-09-28
店の料理長を一定期間のみ任されることになった味沢。ある日、傘をわすれて立ちぼうけしている彼に、傘を差し出してくれた1人の女性がいました。彼女は高い身分の男と愛し合っているものの、裕福な生まれではないため結婚を許されず、とても悩んでいます。どうしても結婚したい2人は彼の両親と4人で会食をすることにしました。
会食の当日、両親はやってきたものの、面持ちは極めて機嫌が悪そうです。そして、結婚に反対している彼らは、ボロを出そうと殻付きの伊勢海老など食べづらいものばかりを注文します。
しかし、彼らが会食をしていたレストランのシェフは、なんと味沢でした。傘を貸してくれたことを覚えていた彼は、最高に食べやすく調理を行い、彼女に恩返しをします。
そのおかげもあってか、円滑に進んでいた会食。しかし、彼女は不意に水をこぼし、さらにはテーブルまでもひっくり返してしまいました。怒りを隠しきれず「こんなゲスな女との結婚が許せるわけがない!」と言い残して帰る両親。結婚が絶望的になってしまった女性も、涙ながらに走って家に帰ってしまいました。
全てが失敗に終わり、落ち込んでいる男の元に味沢がやってきます。
「食事のマナーなんかで人間性を計ることはできない。
もし本当のテーブルマナーがあるとすれば、
それは同席した人間や料理人に対する心遣いだけだ。」
(『ザ・シェフ』1巻より引用)
彼はそう言い残して、厨房へと戻って行きました。
彼女を陥れようとした両親に対し、「おいしい」と料理人に対する心遣いを見せた彼女。味沢の言葉を受けた彼は、全てを捨てて、女性の家へと走って行くのでした。
料理だけでなく、時には人間関係までも助言を行う味沢。本当に大切なものは何か教えてくれる彼の名言は、心に沁みます。
- 著者
- 剣名 舞
- 出版日
今回の主役は小学生の祐介。お弁当はいつも高級なものですが、一口も食べることなく、クラスメイトにあげています。お母さんが忙しくお弁当を作れず、いつもお金を渡されている彼は、どんなにおいしいものよりも、お母さんの弁当が食べたくて仕方ありません。
そんな祐介はある日、家に帰る途中でたまたま味沢と出会います。「君もしかして、まだご飯食べてないのか?」と声をかける味沢。「うん!」と答えた彼を部屋に連れ、彼の大好きなハンバーグカレーをご馳走します。
久しぶりに手料理を食べ、とても喜んだ祐介は家に帰ってきたお母さんに話をします。すると母は翌日、味沢に毎晩料理を作ってくれないかとお願いに行きました。必死に交渉を続ける母ですが、「あれは私が善意で作ったものであって、契約するなら月100万だ」と味沢に言われ、しぶしぶ諦めます。翌日、少年とエレベーターで再会した味沢。「また作って!」とお願いした少年を、「これだからガキは嫌いだと」、冷たく追い払います。夜遅くに少年の母が家に帰ると、先ほどの出来事が原因で彼は泣いていました。子供をなぐさめるためにインスタントラーメンを作る母。料理を作るのが久しぶりすぎて、のびのびで美味しくないラーメンを作ってしまいますが、少年は笑顔で食べ続けます。「お母さんの作ってくれたものを残すわけがないよ!」という彼の言葉に感動した母。翌朝、少年が起きると念願のお弁当が作られていました。
学校に向かう途中に味沢と会い、ベーっと舌を出す少年。味沢はそんな彼を満面の笑みで見つめていました。
全てを見通していたかのような味沢の笑顔がとても印象的な回。冷たい態度をとったものの、それは全て少年のためを思ってのことでした。表面上の幸せではなく、本当の幸せを少年にプレゼントしたかった味沢。彼の行動はいつも優しさに溢れています。
- 著者
- 剣名 舞
- 出版日
- 2007-11-01