ギャンブル依存症がもたらす害
それではギャンブル依存症によって、どのような害が生まれるのでしょうか。
『ギャンブル大国ニッポン』では、その弊害として、借金や多重債務などを挙げます。たとえば借金については、ギャンブル依存症発症から病院に来るまでのおよそ10年の間に、平均して1000万円近い借金をしてしまっている、というデータがあるほどです。
さらに、なんとかして資金を得たいギャンブル依存者のなかには、学資保険や子どものお年玉にも手をつけてしまうケース、会社のお金を横領するケースなども見られるといいます。
本書では以上のように、ギャンブル依存症について、基本的な知識や問題点を吸収できます。岩波ブックレットという岩波書店から発行されている小冊子シリーズですので、詳しい知識というよりは、その問題の大枠を掴みたいときに便利な1冊です。
以下の項目からは、ギャンブル依存症がなぜ発症するのか、ということに迫っていきましょう。
- 著者
- 古川 美穂
- 出版日
- 2013-02-07
ギャンブル依存症の原因
ギャンブル依存症には、いくつかの要因があります。今回はDoctors Me(2017)などを参考に、5点整理しました。
①《ストレス》を発散したいため
②《遺伝的な要素》があるため
③ギャンブルで勝ったり負けたりを繰り返すと、負けを繰り返しても「次は勝てるのではないか」という《心理状態》にとらわれてしまうため
④《ギャンブルが身近な環境》で生まれ育ったため
⑤ギャンブルへのアクセスの良さや借金のしやすさといった《環境的要因》があるため
このように見てみると、「意志の弱さ」や「自己責任」では片付けられない問題といえます。
さらにギャンブル依存症について、複数の著書がある帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)は、「たとえお釈迦様であっても、ある条件に置かれれば立派な『ギャンブル依存者』になる」とインタビューで答えています。
すなわち《誰もが》ギャンブル依存になる可能性がある、というワケです。そうだとすれば、その対策はぜひ知っておきたいもの。
さっそく以下の項目で、ギャンブル依存症に対して考えられる対策について見ていきましょう。
ギャンブル依存症への対策
「ギャンブル依存症問題を考える会」の代表であり、自身もかつてギャンブル依存症を経験した田中は、弁護士ドットコムなどの取材で、以下の4点の対策を挙げます。
①すでにあるギャンブル産業(パチンコ、競馬など)へ規制を行う
②ギャンブル広告を規制する
③啓発や、中学生などに向けた予防教育を行う
④回復施設を支援する
とりわけ②の広告規制については、盲点だったという方も多いかもしれません。たしかに競馬などの広告はCMや新聞でよく目にするものですが、それだけ規制されていないということですね。
それでは海外では、どのようなギャンブル規制が実際にとられているのでしょうか。1冊の本を参考に整理しました。