『神様がくれた背番号』は導入部からアツい!
- 著者
- 渡辺 保裕
- 出版日
- 2012-11-28
物語の始まりは阪神タイガースの今シーズンの甲子園開幕戦。そこには開幕前から話題の選手がピッチャーマウンドに立っていました。彼の名前は飛田謙吉、登録名はケンちゃん、そして何と40歳のルーキーなのです。
こんな衝撃のシーンから始まる本作ですが、そもそもの始まりはもう少し前に話が遡ります。
実は以前はただのホームレスだった謙吉。しかも重度の吃音症を患っており、なかなか他者とコミュニケーションがとれません。
そんな彼の言葉を唯一聞き取れるのが生まれつき心臓の弱い小学生・タケ。彼は謙吉と同じく生粋の阪神タイガースファンで、いつも謙吉の住処にやってきては野球盤で遊んでいました。
ある日、眠る謙吉の前に現れたのは神様。どうみても普通のその男は謙吉の誕生日である日に現れ、彼に「今年の”人間大賞”に選ばれました」といって拍手します。
何でもひとつ願い事を叶えると言われ、正直な彼は吃音を直して欲しい、ケンの心臓病を直して欲しいという誰も傷つけないような願いを言います。
しかしつまらない、自分の願いでないとダメと断られ、どうしようかと考えた時に謙吉の脳裏に浮かんだのはタケの心の拠り所であり、選手として入団したいという阪神タイガースでした。そして神様にこんな願い事を伝えるのです。
「世界で一番野球の上手い40歳になって阪神タイガースで活躍してみたい」
これぞ40歳の青春!少年・タケの夢を追う謙吉
- 著者
- 松浦儀実
- 出版日
- 2013-08-19
その願いを叶えてもらった翌日、その力が本物かどうかを試してみたいとタケと、バルやんと総理というあだ名の仲のいいホームレスに頼みます。
そして普通は16mほどのマウンドからホームまでの距離を、バルやんは間違えて20m以上とり、普通以上に難しい状況でボールを投げる謙吉。
その姿はまるで本物のプロ投手のようでした。しかし豪速球をバルやんは取れず、ボールが当たって鼻を折ってしまいます。
しかしその3週間後、バルやんに申し訳ないと感じた謙吉は住処に引きこもってしまうのです。そしてしたくてもできないタケの前でもう二度と野球なんかしないと言ってしまいます。
それを聞いた総理はいい加減にしないかと謙吉の住処に入り込みます。驚いて走って逃げる謙吉をタケが追おうとしますが、心臓の弱い彼に走ることは無理。しかし胸が苦しくなりながらもタケは謙吉にこう言います。
「ケンちゃんの…アホゥ…
オレを見てみいや…こないな情けない身体なんやで…
ケンちゃんのストレート見てごっつワクワクしたんやで
『オレの分までケンちゃんがやってくれるわ!』
『阪神タイガースを優勝させてくれるわ!』って思うたんや!!
せやのに…ケンちゃんのアホゥ…弱虫!もうそんなケンちゃん絶交や!」(中略あり)
どうにか言葉を紡ぎ出すタケを見て謙吉は心を動かされます。「俺 やるよ!!」と意気込み、プロ野球選手、そして阪神タイガースに入団するという目標を本格的に追うことにするのです。
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展開が早い!そして入団テスト!?
実力とやる気が確認できたところでさぁこれからどうプロになる道を歩もうかとなった時、謙吉の前に現れたのはタケの父親。彼は新日鉄堺ノンプロナンバーワン捕手だったのです。その過去を知らなかったタケは驚愕します。
そして謙吉の実力を実感したタケの父親はかつてのパイプを活かして関係者に謙吉を見てもらうよう話をつけるのです。
そして当日そこに行くと関係者たちは一度オッケーしたものの、謙吉の様子を見て帰ろうとします。
そこにタケの「人を外見で判断したらアカンてオレ学校で習たで!!」という純粋な言葉が響き、大人たちを動かします。
仕方ないから少し付き合うかというスタンスで謙吉の様子を見守る関係者たちですが、彼の実力を見て圧倒されます。綺麗な放物線を描く打線に161kmという豪速球。
彼らは確かに謙吉に底知れぬ実力があることを感じ、ぜひ阪神タイガースに欲しいと言います。
しかし実力はあるものの謙吉はホームレス。身元が確認できない人間です。そこがネックになってしまい、謙吉のドラフト指名は危うくなり……。