ファストファッションが安いワケ
- 著者
- 伊藤 和子
- 出版日
- 2016-04-23
ところでファストファッションは、なぜ安いのでしょうか。そんな疑問に答える1冊が『ファストファッションはなぜ安い?』です。
本書ではその理由として、発展途上国の工場で働く労働者の安い賃金を挙げます。大手アパレル企業による下請け工場では、低価格且つ短期間で大量の商品を生産するために、劣悪な労働環境のもと、長時間残業を含む過酷な労働が強いられているのです。
それでは、このような搾取の構造を変えるためには、不買運動を進めていけば良いのでしょうか。著者は、問題はそう簡単なものでもない、と主張します。というのは、バングラデシュなどの国では、女性が自立できる職業が極めて少ないからです。
「私たちは調査の間、『路頭に迷う』『失業する』という恐怖をかかえた多くの労働者の訴えを聞きました。また、NGOからも言われました。『バングラデシュで作った商品に対する不買運動はしないでほしい。私たちが生きていく大切な産業を奪うようなキャンペーンは望んでいない』」(p. 27)
どうやら不買運動だけでは、物事は解決しないようです。
そのうえで著者は、①衣料品の生産過程に関心を持つこと、②工場で働く労働者の人権が守られるような労働環境を要求していくこと、③消費者として労働者の犠牲によって成り立つ低価格商品を望まないことを主張し、それをコンセンサス・市場のトレンド化していくこと、が解決策になりうるのではないか、と考察します。
本書は、横書きで比較的薄い本(117ページ)ですので、まずは図書館で手に取ってみるのもいいかもしれません。また物理的に薄いとはいえ、日本のアパレルブランドの中国委託先工場についての調査報告など、ファストファッション業界の裏側について、しっかりと学び取ることができるので、読み応えも十分な1冊といえるでしょう。
このようなファストファッションに対して、エシカルファッションというものも生まれています。以下の項目からはエシカルファッションについて、整理してみます。
エシカルファッションとは
Fashionsnap.comによれば、エシカルファッションとは、社会的な良識に沿って、生産されたり流通されたりする衣料品やバッグなどを含むファッションのこと。また「環境だけにとどまらず、望ましい労働環境や貧困地域支援、産業振興なども視野に入る」といいます(引用)。
なお「エシカル」は日本語では「道徳、倫理上の」という意味があります。
それでは以下の項目から、エシカルファッションについて1冊の本とともに詳しく見ていきましょう。
ファストファッションの解決策は、エシカルファッション?
- 著者
- サフィア・ミニー(ピープル・ツリー/グローバル・ヴィレッジ代表)
- 出版日
- 2012-10-03
作り手を搾取するファッション業界に対して、デザイナーやモデル、役者などが声を上げています。
『NAKED FASHION: ファッションで世界を変える おしゃれなエコのハローワーク』からは、国内外を問わず、さまざまな立場(イラストレーターから音楽プロデューサーまで)にいる人びとが、エシカルなファッションに関心を持ち、取り組みを行っていることが読み取れます。
たとえば、ハリー・ポッターのハイマイオニー役で、その名を世に知らしめたエマ・ワトソンは、本書でフェアトレードの重要性を語ります。
エマといえば、フェミニズムについて国連でスピーチを行うなどフェミニズムの推進者としても有名です。そんな彼女は、当然といえば当然かもしれませんが、ファッションについても高い倫理観を持っていたのです。
本書でエマは、同年代の若者に対して「もし、何かを買うときに、フェアトレードとそうでないものの選択肢があったなら、フェアトレードのものを買ってほしいです。それが世界を変える大きな変化につながるのですから」(p. 126)と述べます。彼女の取り組みや言葉からは、ファッションに対するエシカルな思いが伝わってきます。
本書は、カラー写真が豊富でカタログあるいは雑誌のような本です。エシカルファッションに興味がある方は、図書館などでぜひ一度手に取ってみてください。