高橋是清は日本銀行総裁、内閣総理大臣、大蔵大臣などを歴任し、日本の経済を引っ張っていった人物です。そんな是清の経済政策や思想、人間性、波乱にあふれた人生に触れることができる本を集めました。ぜひ読んでみてください。

1:後の内閣総理大臣だが、18歳にしてやさぐれる
明治に入り日本に帰国した高橋は教師として働き始めますが、時同じくして「大酒のみ」「芸者遊び」に走ります。 最終的に教師も続けられなくなって辞めてしまい、無一文になったところで芸者の荷物持ちを始めました。 18歳にして人生を「再」スタートさせることになります。
2:お金で失敗を重ねた破産王
友人の紹介で畜産事業に手を出しますが、友人に金を持ち逃げされます。 その後、別の友人が「銀」の投資話を持ち掛けるが、ここでも運用に失敗して大損をします。 ペルーの銀山開発でも失敗し、その度に無一文になっているのです。
3:死後の叙勲
二・二六事件によって死亡した後、「大勲位菊花大綬章」を叙勲されました。日本最高位の勲章である「大勲位菊花章頸飾」に次ぐ勲章で、戦前の昭和期20年間においては12名しか叙勲されていません。
4:平成の政治家も模範としている昭和の政治家
内閣総理大臣やその他政府要職を歴任した麻生太郎も、NHKインタビューに「一番直近は高橋是清大蔵大臣だと思う。我々はいろいろ工夫しながら対応を模倣している」と述べるほど、模範としていた政治家でした。 安倍晋三も海外公演で、高橋の名前をあげて財政関連のスピーチを行っていました。
5:教え子の部下として働いていた
無一文になっていたころ、日本銀行総裁の川田小一郎より「日本銀行建築所主任」の窓際ポストを紹介され、働いていました。 しかし、この建築事務所の所長である辰野金吾は、高橋の英語学校教師時代の教え子であり、教え子の下で働くことになる高橋を川田は案じていましたが、高橋は「喜んで働かせていただきます」と、欲を出さず勤勉に働いたといわれています。
6:役職に就いてもらう際の周囲の口説き文句「国のため」
「国のためだから」この言葉には、高橋は首を横に振れなかったと言われています。 今までに7回もの大臣就任の要請があっても全て固辞してきたといわれています。 しかし「国家のために尽くして欲しい」と説得され結局引き受けています。
7:総理大臣歴より目立つ大蔵大臣歴
多くの政治家は、総理大臣を歴任すればそちらの活躍が目立つことが多いです。
しかし、高橋は若年時代の様々なお金の失敗を乗り越え日銀総裁に就任したり、現在一般化している一般歳入の補填を目的とした国債発行を日本で初めて実行したりといった「財政家」としての一面が強く出ています。
また、二・二六事件直前まで軍事費削減を巡って陸軍と衝突を繰り返していたことを考えると、「総理大臣」としての経歴以上に「大蔵大臣」その他財政担当の職歴が際立つ珍しい政治家です。
8:大酒飲みだった
国会中に居眠りをする議員はもはや珍しく無いが、国会中に酒を飲む政治家は高橋以外にはいないでしょう。 しかも飲んでいるのにも関わらず、怒られなかったそうです。
9:日露戦争の戦費調達
日露戦争が近くにつれ、戦費を国債発行で賄おうとするとき、日本はイギリスに相談を持ちかけました。
しかし、当時の日本は後進国と見られており、欧州世論はロシア勝利予想に大きく傾いていました。
その中で高橋は「日本が戦争に挙国一致して臨むこと」「日本は過去に外国債も内国債も支払いが遅延したことは無い」ことを全力でアピールし、欧州の銀行家から戦費を引き出すことに成功しました。
日露戦争の経済的勝因には、高橋の外交努力も1枚噛んでいました。
渡米のときには鼠を食べていたことや、奴隷として売られたなどというエピソードが次から次に書かれ、是清の世界に引き込まれてしまいます。財政を見通す目、そして決断力にとても優れた人物でもありました。特許制度の整備に力を注いだことや日露戦争の資金調達の話を読むと、是清がいなければ今の日本はなかったのだと感じることでしょう。
- 著者
- 高橋 是清
- 出版日
- 1976-07-10
是清は失敗も数多くありましたが、そこから学んだものはそれ以上にありました。そういう是清の生き方が、人々を惹きつけていったのでしょう。運も自分で掴み取る力強さが是清にあったのだと感じ取れます。私利私欲を捨てて国家のために働き、日本経済を何度も救った是清。こんな偉大な人物がいたのだと胸が熱くなります。
- 著者
- 幸田 真音
- 出版日
- 2015-07-25
全くタイプの違う人物が同時期に登場し、続けて大蔵大臣となったことは面白いことです。天才型だった是清と、秀才型の井上は、異なる経済政策で日本を立て直そうとしました。どちらが正しかったのかを考えることは難しいことですが、二人とも命を懸けて日本に尽くしたことには変わりありません。
- 著者
- 鈴木 隆
- 出版日
- 2012-03-16
一番の読みどころは、昭和初期の世界恐慌に関して、是清の考えが語られているところでしょう。是清の功績としても最も大きい場面ですし、是清が経済政策に関してどのように考えていたのかが分かるはずです。そしてその考えを実行に移すことができる決断力など、見習いたいものも多く発見できます。
- 著者
- 高橋 是清
- 出版日
是清はその積極的な経済政策から日本のケインズと呼ばれました。しかし、是清は全くと言っていいほど正規の教育を受けていないのです。外国での生活や数々の失敗などから学び取って、その思想を形成していったことには驚くばかりです。また外国人との交流を通して、英米の経済についても学んでいきました。
- 著者
- リチャード J スメサースト
- 出版日
- 2010-09-28
様々な本を読んでいくと、高橋是清は他に類を見ない人物だったことが分かります。パワフルでユーモラスな是清に学ぶべきことはたくさんありそうです。経済の勉強にもぴったりですよ。