クールビューティ―なキャリアウーマンのペットは年下男子?『きみはペット』
年上女子から見た年下男子の印象は、第一に「可愛い」というものが多いのではないでしょうか。容姿ではなく性格的なもので、幼さを感じられるからなのでしょう。後輩を可愛がる年上女子は多いですし、慕われれば応えたいと思うものなのかもしれません。
様々な関係性のある年上女子と年下男子ですが、中にはペットと飼い主というものもあるのです。本作では働く女子の癒しの存在となる年下男子が登場します。
怪しい雰囲気などはありません。犬や猫のような愛玩動物と同じように年下男子を愛で、また年下男子が癒してくれる、そんな物語なのです。
- 著者
- 小川 彌生
- 出版日
- 2000-12-13
『きみはペット』の主人公、巌谷澄麗(いわやすみれ)は東大卒、ハーバード大に留学経験のある超エリート。170㎝の高身長に美貌を誇る、クールビューティ―として知られています。
新聞社に就職し、エリート揃いの外報部に所属していましたが、婚約もした低身長男子から、突然の婚約破棄。ついでに飲み会で上司を殴ってしまったことで、暇な生活情報部へ左遷されてしまいます。
散々な日々にイライラが募る中、帰宅したマンションの前に大きな段ボール箱が落ちていました。中を開けてみると、ふわふわの髪をした若い男子がいるのです。合田武志と名乗ったその青年に、昔飼っていた犬のモモの姿を重ねた澄麗は、ペットにならないかと武志に持ち掛けます。
ペットのモモとして武志と接する澄麗。武志は姉妹が多いため、女性の扱いは手慣れたもので、疲れた澄麗を癒してくれます。美男美女で2人に恋愛感情は芽生えないのか、と思うかもしれませんが、澄麗と武志に関しては、癒しが先決なのです。
澄麗はキャリアウーマンで、祖父に武道を仕込まれるなど、精神肉体ともに強い女性。武志に癒されている姿を見ると、甘えるのが苦手な人なのだと、かわいく見えてきます。ペット男子と飼い主という、新しい関係から始まる恋。癒し効果は抜群ですよ。
後輩は官能小説家!真面目女子とわんこ系後輩の恋『官能小説』
官能小説というと、やはり黒っぽい表紙にあられもない女性の写真や絵、卑猥な言葉が書かれているというイメージもあるせいか、好印象を持っている女性は多くはないでしょう。性を感じさせるものが、隠される傾向にある日本ならなおのこと、官能小説という言葉だけでドキリとしてしまいます。
今回紹介する『官能小説』は、言葉からイメージする淫靡な雰囲気は強くありません。絹のようにさらりとした、大人の色気が感じられる作品です。主人公、藤森彩は27歳。会社の経理部に所属している、地味で目立たない、真面目なOLです。
融通が利かない性格からか、「小局(こつぼね)」とあだ名される彼女でしたが、ひょんなことから6歳年下の営業マン、椎野太一から好意を寄せられるようになります。
- 著者
- 藤井 みつる
- 出版日
- 2003-12-19
その要因となったのは、太一の副業です。税金関係の書類から、太一が副業をしていることを察した彩。その副業は、なんと官能小説家でした。学生の頃から投稿を続け、入社と同時にデビューしたという副業を、会社に内緒にしてくれた彩に、太一はべた惚れ。仲良くなり、交際をするようになります。
官能小説家とはいえ、太一は爽やか系のイケメン男子です。言葉から察するような嫌悪感を抱かせるような人物ではありません。純情一直線のわんこ系で、彩が頑張ってリードする場面が多くなってしまいます。
しかし、そんな年下男子と年上女子の典型ともいえる恋が、少しずつ対等になっていく姿が印象的です。
年上だからと頑張りすぎてしまう彩と甘える太一との関係に、太一の担当編集者小菅実咲や、彩にアドバイスをする公認会計士の溝口など、恋のライバルや障害となる人物が登場。はたして彩と太一はどうなってしまうのか。恋のこじれっぷりにもご注目ください。
想うだけでも尊い!アラフィフ女子の奮闘に涙『たそがれたかこ』
人は潤いと活力を求めるものです。芸能人や2次元にその活力を求め、日々元気をもらい、なんとか1日を生き抜いているという人も多いでしょう。そんな憧れや好きという言葉では言い表せない感情を、恋と表現した作品があります。
『たそがれたかこ』は、どうすることも出来ない、息苦しい日常の中、偶然ラジオで耳にしたバンドのボーカルに恋をした中年女性、片岡たかこが主人公の物語です。
日常をただ過ごしていただけのたかこが、歌に元気づけられ、日々を明るく過ごすようになる姿に、共感する読者も多いのではないでしょうか。
- 著者
- 入江 喜和
- 出版日
- 2014-04-11
バツイチで、アパートの大屋をしている母親と暮らしているたかこ。口下手で人付き合いが苦手、そのことが原因で離婚をしています。娘は元夫と暮らしており、マイペースな母親と、社員食堂のパートという、代わり映えのない生活を送っていました。
そんな中、出会ったのが「ナスティインコ」というバンドのボーカル、谷在家光一。彼の歌と声に魅了され、恋をしてしまったたかこは、性格は変わらないものの、少しずつ前向きに、明るくなっていきます。
光一を想っている時の乙女モードは、誰しも覚えがあるものでしょう。好きなものを考えている時の表情に、こちらも笑顔になっていきます。
夜無性に泣きたくなったり、1人夜の街に佇んでみたりと、45歳女子の抱えている生きづらさや、闇をも浮き彫りにしていく本作。そのなかで、光一の存在が一点の光となり、たかこを照らしている姿に安堵し、静かに涙があふれてきます。
現実は厳しいけれど、やさしい。日々を頑張る人の背中を、優しく押してくれる作品です。