日本国憲法第25条とは?
第25条では、①生存権(「人間らしく生きる権利」)、②生存権を実現するための国の責務、が定められています。
なお25条文内にある「健康で文化的な最低限度の生活」という言葉は、GHQ案にはありませんでした。実はこのような文言を一番初めに憲法草案に記したのは、先述した民間団体「憲法研究会」です。
そしてその後、憲法の改正が具体的に国会で議論されていくなかで、社会党議員たちの主張もあり、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」という文言が加えられたのです。
それでは概説はここまでにして、以下では日本国憲法を学べる本について、初心者編から上級者編までをご紹介していきます。
日本国憲法を「まんが」で!【初心者編】
- 著者
- 石森プロ
- 出版日
- 2014-08-07
石ノ森章太郎といえば、『サイボーグ009』や「仮面ライダー」シリーズを思い浮かべる方も多いかもしれません。『改訂版 石ノ森章太郎まんが日本国憲法』では、そんな石ノ森がまんがを担当し、早稲田大学名誉教授の浦田賢治が日本国憲法を隅から隅まで徹底解説します。
この本では、まんがだけでは補えきれないような詳細な解説も、各まんがの下にきちんと載せられているため、憲法の基礎をしっかりと学べます。もちろん実際の条約文も確認できますので、読みやすさと読み応えを押さえた1冊だと思います。
また、まんがで憲法を読んでいくといっても、日常的な場面設定から解説されることも多く、肩の力を抜いて読み進められることでしょう。
たとえば、「人間らしく生きる権利・生存権、国の社会保障義務」が記されている25条では、男性が「国民は健康で文化的な最低限度の生活を送る権利があるが、国は具体的にはどのような義務を果たしているのか」と尋ねるシーンから始まります。素朴な疑問から始まるこの場面は、話に入りやすい点が魅力的です。
ここで解説に目をやってみると、300字程度の文字数であるのに、「生存権」や「国の社会保障義務」について、過去から現在にかけての情報がぎっしり詰まっています。さらにすべての条約解説後に続く「日本国憲法Q&A」では、ヘイトスピーチ問題など現代の社会問題も含まれており、「まんが」というタイトルからは想像できない情報量が得られることでしょう。
まずは憲法を知る第一歩として、読んでみてはいかがでしょうか。
あなたの疑問を一気に解決!【中級者編】
- 著者
- 谷口 真由美
- 出版日
- 2016-06-24
日本国憲法の全体を把握したあとに、おすすめしたい1冊が『憲法って、どこにあるの?: みんなの疑問から学ぶ日本国憲法』です。著者は、大阪大学で大人気講義「日本国憲法」を担当する谷口真由美です。
本書では、憲法に関する身近な質問に著者が答えていく、という形式が採用されています。たとえば、表現の自由関連では「ヘイトスピーチも、表現の自由で守られるべきか」という質問が寄せられています。そこで著者は「国際的な流れでは、表現の自由で、ヘイトスピーチを守る必要がない」と回答するのです。
また生存権関連では、「生活保護受給がズルいと言われるが、高校進学は贅沢になるのか」という切実な質問が紹介されています。詳しい回答は本書にゆずりますが、「生活保護は、最低限の生活が保障されるための権利」(本書より引用)という観点から答えが導かれていました。
このように、日々過ごしていくなかで「気になっていたけれど、知らなかった」、あるいは「実は聞きたかったけど、いまさら聞けない……」ような質問が、どんどん解説されていきます。
またここでは表現しきれませんが、著者の独特な歯切れの良さも読者の心を掴むことでしょう。
なおそんな著者の切れ味が気に入った方には、『日本国憲法 大阪おばちゃん語訳』もおすすめしたいと思います。今回紹介した本の内容とややかぶる部分もあるかと思いますが、関西弁を全面に押し出しながら憲法を紐解いていくため、堅苦しさゼロの1冊です。