鬱要素ネタバレ3:変わってしまった人格
普通とはいえ、やはり事件後4人それぞれ性格に変化が出てきます。その中で最も変わってしまったのはマルでしょう。当初は弱々しくて3人のあとについていくようなタイプでしたが、この事件を機に大きく変わってしまいます。
トビオの300万円を持ち逃げし、その後に伊佐美の金も奪おうと企むマル。しかし計画は失敗に終わり、ふたりともその金をスリに奪われてしまいます。
伊佐美は彼を殴り、もともとはマルが矢波高の生徒に捕まったのが悪いと言い出します。しかしそれに対してマルはこう返すのです。
「一番のゴミは矢波高なのは明らかっしょ?
てゆーかそもそも助けてくれなんて頼んでないし俺…(中略)
その正義感が俺の人生をメチャクチャにした!!
つまり被害者は俺なんだよ!!」
殺してしまった生徒たちに罪悪感すら持たず、自分の欲望のままに行動するようになってしまったマル。最初のか弱い印象があるだけに、変わり果てた姿は見ていて気分が悪くなります。
鬱要素ネタバレ4:重ねられる罪
本作は一度救いがあるかのような希望を持たせ、そこからまた落とされるという展開が心にキます。
事件の犯人として捕まってしまったパイセンですが、真犯人が自主し、彼は冤罪だったと釈放されました。それを聞いて喜ぶ4人はカラオケで歌い、ボーリングをし、事件前のように遊び続けるのです。
そこで話の流れが暴露大会になり、下ネタで盛り上がるトビオ、伊佐美、マル。その中で何か考え込んでいる様子のパイセンは自分の番になり、こう打ち明けます。
「矢波高爆発事件の犯人 あれやっぱ俺らやねん!
真犯人出てきたやろ?あれ実はな!
俺の親父が仕込んだでっちあげやねん!!」
実はパイセンは風俗業界を取り仕切る権力者の息子で、彼の父がホームレスの命を買い、息子に似せて整形した後、自主させたのでした。
浮かれていた分、一気に盛り下がる雰囲気。読者も一緒に悲しくなってきます。4人は爆発事件の10人と、死刑になる予定の身代わりのホームレス、計11人の命を奪うことになってしまったのです。
そしてパイセンはこのあと4人で決めたある計画で更なる罪を犯すのですが、その展開も希望が見えていただけに余計に気持ちが落とされるシーン。爆発事件からどんどん重ねられていく犯罪に読んでいる方の心もどんどん重くなっていきます。
鬱要素ネタバレ5:女子キャラが雰囲気をゆるめる
本作でストーリーの緩急をつけるのに一役買っているのが女子キャラ。主に伊佐美の彼女・今宵とトビオの幼馴染・蓮子が登場します。
今宵はほぼエロシーン担当。精神的に追い詰められてどうしようもなくなったトビオや伊佐美に体をゆるし、安らぎを与えます。
案外家庭的な面もあるものの、ヤリマンな今宵は「一時の」安らぎ。彼女が出てくるシーンは少しの安心感があるものの、未来のない救いに荒廃的な気持ちにさせられます。
それに対して希望の象徴のような存在として出てくるのが蓮子です。彼女は矢場高のリーダー格と付き合っていたものの、実はトビオに気があるよう。事実を知らない彼女との甘酸っぱい青春に、トビオもこのまま何事もなかったかのように彼女と生きていくことを夢想します。
しかし同級生の蓮子のことを大事に思えば思うほど彼女に嘘をついていることや、矢場高であった事件が思い返され、いたたまれなくなるのです。
果たしてトビオは女子キャラだけでなくもっと大きなところで、一時の逃げではなく希望のある未来を選べるのでしょうか?