『帝一の國』あらすじ
- 著者
- 古屋 兎丸
- 出版日
- 2011-03-04
物語の舞台は昭和、数多くの政財界のキーパーソンを排出した海帝高校です。ここは将来の政財界の人材育成のための場所で、ここでのトップ、生徒会長になるということはそのまま将来を約束されるということを意味します。そのため派閥争いが実際の政界さながらに行われ、学校側もその競争を推奨し、生徒会に大きな権限を与えていました。
そこに明確な目標を持って入学してきたのが成績トップで入学してきた赤場帝一。彼は日本を自分の理想とするより良い方向へ向かわせること、つまり「自分の国」をつくることを目標としています。
そして父の代から因縁がある永遠のライバルの東郷と、貧乏一家出身で正義感に熱いダークホースの大鷹と熾烈な生徒会長のポジション争いを繰り広げていくのです。
『帝一の國』のアツさをネタバレ!張り巡らされた策略!
やはりこの作品の一番の魅力は権力争いのスリルでしょう。みな高校生とは思えないほどダークで狡猾な考え方をしており、ストーリーでは予想を上回る波乱がこれでもかと訪れます。
生徒会選挙で勝つためにお金がばら撒かれたり、宗教との癒着が描かれたりと現実に近いことを男子高校生たちが全力でやっているのが面白い。しかもそれを学校側も黙認しており、むしろ伝統だと言うのですから驚かされます。
また策略をキメる際の登場人物たちの名言にも注目です。例えば帝一が当初忠誠を誓っていた先輩の氷室が窮地に追い込まれるシーン。彼は票のために涙を流し、プロ顔負けの演技を見せます。しかしその泣き顔の合間でゲスい顔を覗かせ、心の中でこうつぶやくのです。
「泣いて一票でも増えるならいくらでも泣いてやるわ!!
僕の涙は一兆円の価値があるのさ!!」
汚い、汚すぎです。しかし何だか笑ってしまえるのは古屋兎丸の劇画調の絵と交わって独特の世界が構築されており、暗くなりすぎないから。いくら汚くても何だか笑えてしまう攻防戦が楽しめます。
『帝一の國』のアツさをネタバレ!生徒会にかける思い!
この漫画の熱量を底上げしているのはそれぞれの生徒たちの生徒会長にかける思いの強さでしょう。特に主人公の帝一は尋常ではありません。
氷室の派閥についた帝一ですが、自分と彼の父親にかつて確執があったことを知らされます。そして氷室の家を盗聴して、やはり彼は帝一を切るということを決めていると知るのです。
それを聞いた瞬間、帝一は震えながら服を脱ぎ、真剣で切腹しようとするのです。
「もう僕は終わった!!帝一終了のお知らせだ!!
この庭で死んで氷室さんを後悔させてやるんだ!!」
どうにか彼の参謀、光明に止められて切腹をやめる帝一。シリアスなシーンですが、セリフについ笑ってしまいます。
更にショックを受けると文字通りの血涙を流すなど、帝一の「自分の国をつくる」という並々ならぬ思いは一般人からは想像ができないものなのです。狂ってます。