テレビドラマ化もされた人気恋愛漫画『サプリ』。おかざき真里の実体験をもとにしたリアルなストーリーが多くの女性の共感を呼びました。言葉にできない思いを丁寧に紡いだこの作品は大人女子におすすめしたい癒しがあります。

本作は大人になったら見過ごしがちな気持ちのもやもやや違和感、そして世の中のリアルなルールを言語化した作品です。
- 著者
- おかざき 真里
- 出版日
- 2004-06-30
- 著者
- おかざき 真里
- 出版日
- 2005-03-08
「25すぎたら赤ずきんも食べられるためにワナをはる」(『サプリ』2巻より引用)
そういうことを分かっているのに、できない。ミナミの不器用さはもどかしくもあり、共感できるものなのではないでしょうか。そして彼女はその不器用さで様々な苦い恋を味わうことになっていきます。
- 著者
- おかざき 真里
- 出版日
- 2006-01-18
そんな彼女に嬉しくなったミナミですが、どう接していいか分かりません。大人になってから友達のつくりかたや付き合い方を思い出し、再度学ぶのは至難の技。そこでミナミは直球勝負に出るのです。
「これからも一緒に遊んでやってください
ふつつか者ですがどうぞよろしくお願いいたします」(『サプリ』1巻より引用)
こう言いながら土下座。柚木は「うっとおしいしはずかしいんだよ!」と足蹴にしつつも、ミナミに自分が不倫をしていることを明かします。うちとけて、秘密を明かしてガールズトークをする様子は微笑ましいもの。大人になっても楽しい時間です。しかし不倫は不倫でも、柚木の相手にはある秘密があり……。
こだわりが強く、今までに見たことのないようなCMを作りたいという思いのせいもありますが、いつ倒れてもおかしくないような仕事の仕方です。
- 著者
- おかざき 真里
- 出版日
- 2006-07-07
1巻でミナミは次のように独白しています。
給料は
この通勤のストレスに対して
払われているとさえ思う毎日(『サプリ』1巻より引用)
のちに語られることですが、ミナミが就職をした際に考えていたことは「社会の中に椅子が欲しい」というものです。そういった思考のもと入社し、いいCMを作ろうとするも空回りすることの多い中堅社員として働いていた彼女が、仕事に恋愛に格闘し、何のために働いているのかを見出すまでを本作は描いています。
本作のラストで語られる結論は、何のために働いているのかと悩む方にひとつの回答を示してくれることでしょう。
本作にはミナミの先輩田中ミズホの「男ひとりに支えきれる程度の人生かよ!」をはじめとして、仕事、恋愛、人生に関する名言が数多く登場します。
今回はその中から厳選して、ネタバレありで名言をご紹介いたします。
主人公ミナミが最終巻で見せた名言です。1巻ではまだ仕事がうまくいかず、から回ることも多かったミナミの成長が感じられる一言。
ロケ現場から飛行機でトラブっている次の現場に飛び、収拾をつけるミナミがめちゃくちゃ頼もしいです。恋愛だけでなく、仕事に関してもしっかりと描かれているのが漫画『サプリ』の大きな魅力でしょう。
自分にできること、やるべきことを把握し、前向きに身体を張れるようになったミナミは強くてカッコいいオトナ女子代表です。
ミナミの彼氏であり、プロポーズもしたフリーカメラマンの佐原の名言。このセリフを残し、佐原はひとりオランダに旅立ちます。
非常に自分勝手な男のセリフですが、このセリフが漫画『サプリ』を象徴しているのです。たとえば、本作が恋愛メインの漫画であれば、ミナミも一緒にオランダに行ってハッピーエンドになります。
しかし、ミナミは日本に残ります。なぜなら漫画『サプリ』はお仕事漫画だからです。ミナミは強くてかっこいいオトナ女子だからです。
現実でも、佐原のような30代なかばで能力の高い男は、挑戦したくなってしまうケースも多々あります。その際に、ついていくのか、ただ別れるのか、待つのか。選択はいろいろありますが、待っていられた日には、男は一生頭が上がらなくなるでしょう。
天才演出家コーエツこと高田悦郎の名言。こちらは佐原と違い、非常に誠実なプロポーズの言葉です。『サプリ』という漫画のおそろしさは、先ほど佐原の自分勝手なセリフと同じ回にこのセリフが出てくること。対比やばいです。
このコーエツのプロポーズの言葉は、世の男性の方々の参考になると思うので、長めに引用させていただきます。
「結婚しよう
人生は辛くてしんどいかもしれない
でもだったら僕は曜子といっしょがいい 曜子だってそのはずだよ いっしょに苦労しよう」(『サプリ』1巻より引用)
無責任に「君を幸せにする」などと言うより、100倍誠実だと思いませんか?
ミナミの後輩渡辺ユキの名言。渡辺の名言にはほかに「9時5時バカにするな」というものもありますが、これはコンプレックスの裏返しでしょう。一般の事務職として働くことに限界を感じているキャラクターで、仕事による自己実現よりも、結婚することに幸せを見るタイプです。
現実的でしっかりとしている一方で、乙女な部分もあり、シリーズを通じて、その狭間で揺れ動きます。
目標はないけれど憧れはある、そんな女性も多いのではないでしょうか。ミナミのようにバリバリ働く女性だけでなく、渡辺のような仕事から一歩距離をとった女性を丁寧に描いているところも漫画『サプリ』の魅力です。
あんな風にはなりたくないと考えつつ、ミナミが密かに憧れていた40代独身のキャリアウーマン平野。若い頃に大きな賞もとった彼女ですが、女性に出世されるとめんどくさいという上層部の意向から閑職部署に異動させられてしまいます。
「策を練るのは罪じゃない
このままやってくなら
だんだんつらくなる
ワザのひとつも身につけないと続かないわよ」
こんな言葉をミナミに残すように言った彼女。ミナミは上手くいかない恋愛や仕事に、まっすぐすぎる自分の性格を省みるのです。
自殺者が出るなど、シビアな現実を描いた本作で、最終話にこのセリフを吐かせたのは大きな意味があるでしょう。
仕事を第一に考えるミナミに対して、サハラに会いにオランダに行って来いとミズホは言います。
仕事は大切ですが、仕事よりも大切なものはあります。自分の命、自分にとって大切な人。それらを犠牲にしてまで働く必要はないというメッセージでしょう。このセリフと本編ラストに書かれるモノローグが、漫画『サプリ』の最も重要なテーマを示しているように思えます。
ミナミと恋仲にあった営業マンの荻原。NYへの転勤が決まり、そのことについて先輩であり不倫の仲にあったミズホに飲みの席で話をしているシーンでのことです。
NYに行くことはまだミナミには話せていませんでした。彼女が背負っている仕事の存在が、彼にとってすごく大きく重く感じてしまった。それを捨てて、自分についてくる選択肢がはたしてあるのか、聞けなかった。それが理由でした。
彼女との結婚も本気では考えられなかったのかもしれません。
「僕はもう遠恋はこりごりなんですよ」
かつて遠距離恋愛をしていたミズホを目の前に放ったこの言葉。名言と言えるのか、定かではありませんが、彼が一人で行くことを決定づけた言葉でした。
仕事に奮闘する彼女のため、とは言うものの、結局は自分勝手な選択だったのかもしれません。
遠距離恋愛と結婚時期。お互い仕事に前向きな姿勢なら、なおさら決断が難しいことでしょう。大人の複雑な恋愛が、ひとつ終わりを迎えた切ないシーンでした。
- 著者
- おかざき真里
- 出版日
- 2010-01-07
恋愛に友情、仕事と女性のありのままの姿とそれを的確に表現する大人の女性向け漫画『サプリ』。全10巻で完結しているので最後まで一気に読むことができます。
ミナミの変化の様子や、周囲の人物の抱える事情などはぜひ本編でチェックしてみてください!その共感度満点なキャラと言葉にビシビシ打たれながらも癒されること間違いなしです。