戦争はなくならない。なら、どう向き合うか。 2015年11月13日に起きたパリ同時多発テロ。数日後にはSNSを中心に多くの日本人が哀悼の意を表しました。一方、23日にフランスの戦闘機がシリアへ向かい「報復」として空爆を行いましたが、巻き込まれたシリア難民を悼む声は、フランスよりも大きくありません。それほど私たち日本人は中東を遠く感じているのです。 そこで今回は「どこの国でも起こり得る『戦争』の悲しみ」を描いた絵本2冊と「中東について身近に感じられる」本3冊を紹介したいと思います。

安心できる場所も奪われ、いつ殺されるのかと脅えながら大人同様に働かされる幼い子ども。それでも「かあさん」という希望にすがり、必死で生き続けます。
- 著者
- クロード・K. デュボワ
- 出版日
描いたのは、田島征三さん。「日・中・韓平和絵本プロジェクト」で出版された絵本のひとつです。田島さんは、かつて「日本人が経験した戦争」を書いた反戦絵本の挿絵を描きました。しかし、それを見た中国・韓国の人々が「これは日本人の視点でしか描かれていない」と告げ、自分の視点が日本人目線に偏っていたことに気付いたそうです。『ぼくのこえがきこえますか』は外国人作家とディスカッションしながら「日・中・韓平和絵本プロジェクト」の一環として、日本人で2冊目、シリーズ4冊目の本として誕生しました。
- 著者
- 田島 征三
- 出版日
とある2つの国が「だれのものでもない、砂漠の地下にある石油」を手に入れるために戦争を開始します。ある町の鉄砲商人はその2国のために鉄砲を用意しますが、商人の息子であり、このお話の主人公であるチトは、不思議な力を持つ「みどりのゆび」を使って戦争を消すことに挑みます。この作品が書かれたのは50年前。事件が起きるずっと前に書かれたため、まったく同じというわけではありませんが「遠い国で怒っている戦争が自分の街にも来ないとは限らない」「両国に送ることは商売として当然のこと」など、事件と共通する部分が多く見受けられます。
- 著者
- モーリス ドリュオン
- 出版日
- 2002-10-18
彼らが立っている周りの景色は瓦礫か廃墟のような家々。外に突き抜けた壁や壊れた窓と共に彼らは暮らしています。「ガザを出たい」「産婦人科医になりたい」など夢を語る子どもたちの瞳はカメラマンをまっすぐに見つめ、すがることも憎むこともありません。
- 著者
- 清田 明宏
- 出版日
- 2015-05-27
ガザ地区の難民キャンプで生まれ育った著者のイゼルディン・アブエライシュは、イスラエル軍により家を壊され、飢えと貧困に喘ぐ幼少期を過ごします。やがて医学の道へ進んだ彼は、自身の研究のため、敵国であるイスラエルの医師たちにコンタクトを取ります。彼らは快く受け入れ、協力を惜しまないどころか、パレスチナ人である彼に「イスラエルの病院で働かないか」と誘い、国を動かします。「医学は人々の分断に橋を架けることができる」「医師は平和の使者になれる」と確信した彼は、医療を通じてイスラエル人とパレスチナ人の友好を育むことに尽力します。
- 著者
- イゼルディン・アブエライシュ
- 出版日
- 2014-01-18
戦争は、一部の大人たちだけが望んでいるもの。大人の都合で振り回される子どももいれば、平和に過ごしたい大人たちも多くいます。
「どうして戦争は起こってしまうの?」
「どうして関係ないのに襲ってくるの?」
「戦争が起こったら、どうすればいいの?」
子どもたちに聞かれとき、大人目線の事情だけでなく、子どもの目線で伝えられるよう、また、一緒に考えてもらえたら……
そんな思いからこの5冊を選びました。