3位:太平洋戦争をテーマにした9作を収録!『ザ・コクピット』
文庫版で全8巻の短編集です。
第二次世界大戦において、男たちは戦闘機に乗り込み、銃を抱え、命を懸けて戦っていました。戦争には死がつきものです。敵を殺し、仲間が死に、自分のことを誰かが殺す……。松本零士の本作は、1作完結のオムニバス方式で、そんな時代に生きた主人公たちの生き様を描いています。
- 著者
- 松本 零士
- 出版日
戦争中の話というと、どうしても読んだ後に心苦しくなってしまいます。「もし自分が戦争に駆り出されて、明日死ぬとしたらどうしよう」と想像し、失ってしまうことになる未来に涙が出そうになることでしょう。
松本零士の本作の登場人物たちも、多くが未来を失います。しかし、大和魂とでもいうのでしょうか、ただでは死んでいかないのです。
特に焦点を当ててご紹介したいのが、特攻隊員の話です。パイロットが特攻用ロケットに乗り込もうとも、途中で撃墜されてしまえば意味がありません。「音速雷撃隊」では、作戦を成功させるために、仲間たちがパイロットと特攻用ロケットのために戦う話です。
仲間と協力して戦うという言葉は、響きは良いですが、実際は「仲間を死に向かわせるために」協力して戦っているのです。本作を読むことで、この残酷さは忘れてはいけない痛みとなり、読者はこの事実を記憶せざるを得ないでしょう。
松本零士の父親は、戦時中の飛行隊隊長であり、彼の部下のなかにも特攻で命を落としたものは少なくありません。本作は、この父親の存在から少なからず影響を受けているでしょう。
日本についておしゃべりをして油断している米軍戦闘機が、次のページでは見開きで追撃されているような、あっけない死が少しユーモアに描かれているシーンもあります。ずっとシリアス展開が続くのが苦手な人でもぜひ読んでほしい松本零士の作品です。
2位:過酷で残酷な宇宙の旅。松本零士の代表作『銀河鉄道999』
1977年から1981年にかけて連載されていた、文庫版で全12巻の作品です。
主人公・星野鉄郎は、母親が殺される寸前に、1000年は生きられるという機械の体を手に入れるように、と告げられます。そして、彼のもとに現れたのは謎の美女・メーテルでした。メーテルは自分と同行すれば、機械の体を手に入れられる惑星「アンドロメダ」へと続く「銀河鉄道999」のフリーパスをタダでくれるというのです。
- 著者
- 松本 零士
- 出版日
星野鉄郎とメーテルが行く惑星は、地球とは異なる法律によって縛られた、様々な人々がいます。あまりに違いすぎるその惑星の「常識」を目の当たりにすることで、星野鉄郎は成長していきます。
例えば土星の衛星であるタイタンでは、楽国法という法律があります。何をしても権利の自由の尊重とみなされ、それゆえ犯罪が横行している星です。ここでメーテルが拉致されてしまうのですが、悪が蔓延る巣窟へ、平凡な少年である星野鉄郎がメーテルを救出しに向かうところは必見ですよ。
多くの星を訪れるにつれて、星野鉄郎は自分の願望、すなわち体の機械化が正しいことなのか、葛藤し始めます。そして、物語終盤で、なぜメーテルが星野鉄郎の同行を許したのか、真の目的が明らかになるのです。
松本零士特有の、美しく、母性溢れる、理想的女性として描かれるメーテルを前に、星野鉄郎は体の機械化を決行するのか、それとも……。ただのSF物語では終わらない、命とは何かを考えさせられる漫画です。
1位:松本零士がアニメをコミカライズ『宇宙戦艦ヤマト』
本作は原作が存在しないアニメであり、これを松本零士が漫画化した、全2巻の作品です。
2199年、地球外生命体によって撃ち込まれ続けた放射性物質を含む爆弾により、地球は滅亡の一途を辿っていました。もはや最後の希望も途切れ、人類は滅亡するしかないというとき、イスカンダル星から、放射性物質を除去する装置引き取りを催促するメッセージが届いたのです。
一方、地球の海が干上がり、沈没した戦艦「大和」も姿を現していました。地球防衛軍はこれを改造し、宇宙戦艦ヤマトを生み出しました。若者たちを乗せた宇宙戦艦ヤマトは、1年というタイムリミットのもと、最後の希望を背負いイスカンダル星へと向かいます。
- 著者
- 松本 零士
- 出版日
アニメが元であるなら松本零士色は少ないのではないかと思う人もいるかもしれませんが、心配はいりません。
アニメ制作においても、松本零士はメカやキャラの設定などを監督しています。もともとアニメ制作に興味があったため、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』の時点で十分松本色が強くなっているのです。
さて、アニメの話は置いておき、漫画の魅力をご紹介します。戦艦の描き込みが丁寧で、これまで紹介した作品より見やすいものとなっています。キャラクターも現代的な絵柄なのですが、松本零士特有の理想的ルックスをした美女はもちろん登場。
ストーリーも1位にふさわしく、アツくて男のロマンあふれるものになっています。1年以内に地球に帰還しなければ、放射能除去が間に合わず人類は滅亡しているという事態です。背水の陣で宇宙へと挑む男たちの姿に、胸を躍らせない人はいません。
SF要素だけでなく、人間関係も巧みに物語に組み込まれています。家族を失った者、戦艦の乗組員と恋仲になる者、仲間のために命を懸ける者……。様々な思いが入り組んでおり、子供も大人も楽しめる松本零士の作品です。