綺麗で繊細な宝井理人の世界
2017年にデビュー10周年を迎える作家、宝井理人。同人誌活動から小説のカバーイラストを経て2007年9月に『セブンデイズ―MONDAY→THURSDAY』で漫画家としてデビューしました。
圧倒的な画力と、繊細かつ緻密な表現は宝井理人が作中でよく描いている美しくも儚い花のようです。決して迫力のある画風ではありませんが、繊細さに宿る熱は登場するキャラクター達の心情に寄り添っており、読者を引き込む要因となっているのではないでしょうか。
原作を橘紅緒が務めた『セブンデイズ―MONDAY→THURSDAY』の後、『花のみぞ知る』からはストーリーも自身で手がけ、宝井理人の世界を確立していきます。
そして、後ほど紹介する宝井理人の代表作となった『テンカウント』は「このBLがヤバい!2016」第1位、「BLアワード2015」コミック部門第1位に選出されたほか「SUGOI JAPAN Award 2017」ではBLジャンルの枠を超えて漫画部門第3位に選ばれました。
BLの枠を超えて評価されている『テンカウント』を含めた、宝井理人の魅力が分かる作品を今回は4冊ご紹介します。
第4位 少年と種子、美しくも怪しい植物ファンタジー『グランネリエ』
こちらはBL作品ではなく、植物と不思議な世界を描いたファンタジーです。舞台は人々が特殊な植物の恩恵を受けて生活をしている、 火を起こすにも酒を作るにも植物の力が必要不可欠な世界。
リュカは、そんな世界で種子の研究と栽培を行う国家資格「グランネリエ」を目指して日々勉強を重ねていました。しかし、治安部隊に父の密培が見つかったことで状況は一変します。父はリュカに謎の種子を託し、リュカはその種子を体内に取り込むことによって人ならざるものになってしまうのです。まさに植物人間ですね。
この事件をきっかけに運命の歯車は少しづつ回り始めます。
- 著者
- 宝井理人
- 出版日
- 2014-11-27
宝井理人によって描かれる植物たちと、その美麗な世界観はそれだけでも見応えがあります。第3位の『花のみぞ知る』でも植物を多く描いていますが、この作品では人間と植物の融合という不気味さと美しい植物たちのギャップが、ついつい引き込まれてしまう独特の世界観を作り出しているのではないでしょうか。
物語はまだまだ序盤のため、リュカの取り込んだ種子や「グランネリエ」の正体についても謎が多く、気になるところです。また、リュカを守るため奔走する幼馴染のアベルの動向も、これからどのように展開していくのか目が離せません。
美しく繊細なタッチで描かれる命がけの冒険譚。美少年と植物とファンタジー、どれか一つでも好きな方は是非!ご一読ください。
第3位 ゆっくり育てる恋の花『花のみぞ知る』
恐ろしく花が似合う農学部生、御崎と御崎の美しさに惹かれていく法学部生、有川。何度か接触を経て美しい御崎に一目惚れした有川はひょんなことから御崎の研究室を手伝うことになりました。最初は有川を信用していなかった御崎も、天真爛漫で優しい有川に徐々に惹かれていきます。
そんな時、川端という男からの着信をきっかけに御崎の複雑な過去が少しずつ明らかになってゆくのです。
- 著者
- 宝井 理人
- 出版日
- 2010-12-25
美しい容姿に引き換え、辛い過去を持つ御崎。そんな御崎の歩幅に合わせるようにして寄り添う有川は御崎を花のように大切に思っていることがわかります。もともと恋愛に不慣れな二人なので、ゆっくりゆっくりお互いの気持ちを探りながら歩みよっていく姿は、じれったくもある一方で応援したくなってしまうでしょう。
また、ゆったりとお互いに惹かれていく心理描写がとても魅力的な作品なので、BL初心者の方にもオススメの一冊になっています。