演説に関してあまり知られていない事実
5:ほぼ聞こえていなかった演説「私には夢がある」1963年8月のワシントン大行進の際に演説された「私には夢がある」。有名なスピーチですが、実は人々には、ほぼ聞こえていませんでした。
というのはスピーチの直前、何者かによって音響機材が壊されてしまったから。当時の司法長官だったロバート・ケネディ(ジョン・F・ケネディの弟)は、アメリカ陸軍工兵司令部に修理を頼んだといいます。
6:原稿にはなかった「私には夢がある」キング牧師といえば「私には夢がある(I have a dream)」という言葉がよく知られています。上述したワシントン大行進のときに、スピーチで言われた言葉ですが、事前に準備していた原稿には「私には夢がある」のパートは書かれていなかったのです。
とはいえ「私には夢がある」は、それまでの演説のなかの1節ではありました。そしてスピーチ当日、聴衆の一人であったゴスペルの女王マヘリア・ジャクソンが「マーティン、みんなに『夢』について話して!(Tell ‘em about the dream, Martin)」と叫んだのです。
実際にマヘリアの声が届いていたかどうかはわかりません。しかしそのあとキング牧師は、用意していた原稿をわきに置いて、「私には夢がある」というパートを即興で演説し始めたといいます。
暗殺に関してあまり知られていない事実
7:暗殺時、心臓年齢は60歳キング牧師は1968年、39歳の若さで暗殺されました。
しかし検死では、心臓の年齢が60歳という結果が出たのです。原因としては、ストレスなどが考えられているといいます。
8:救急車で搬送される際にカイルズ牧師がタバコを隠したキング牧師は喫煙者でしたが、周囲には隠していました。理由はその当時、教会がタバコに厳しかったことと、子どもたちにタバコを吸わせたくなかったからです。キング牧師が撃たれた時に、近くにいたカイルズ牧師はキングの手からタバコをとり、ポケットから箱を抜き取りました。タバコを吸っていた事実を隠そうとしたのです。
9:キング牧師の最後の言葉は長年の友人であり、ミュージシャンのベン・ブランチへのものでした「ベン、今夜の会合で『大切な主よ、手を取って』を必ず演奏してくれ。 最高の演奏で」と言って亡くなったそうです。
10:暗殺の10年前に殺されかけた1958年、キング牧師は本を出版し、ニューヨークでサイン会を行っていました。そこに尋ねてきた黒人女性がペーパーナイフで彼の胸を突き刺したのです。ナイフは大動脈スレスレに刺さっており、キング牧師が一度でもクシャミをしたら、大動脈が切れて死んでいたとも言われています。
キング牧師による、有名な演説
有名なキング牧師の演説「I Have a Dream(私には夢がある)」をご紹介していきます。この歴史的なスピーチは、1963年8月に行われたワシントン大行進の際に演説されました。
大行進では、人種差別の撤廃が求められ、20万人もの人々が参加したといいます。それでは実際に、演説の一部を原文と共に見ていきましょう。
「私には夢がある。それは、いつの日か、この国が立ち上がり、『すべての人間は平等に作られているということは、自明の真実であると考える』というこの国の信条を、真の意味で実現させるという夢である」(アメリカンセンターJAPAN「『私には夢がある』(1963年)」より引用)
I have a dream that one day this nation will rise up and live out the true meaning of its creed: "We hold these truths to be self-evident, that all men are created equal."
ちなみに、上記の「すべての人間は平等に作られているということは、自明の真実であると考える」は、アメリカ独立宣言の言葉。演説には、この他にも聖書などからの引用が見られ、その普遍性は今でも色褪せることはありません。
しかし演説をした5年後の1968年、キング牧師は暗殺されてしまうのです。