定期的にワイドショーを騒がせている不倫報道。イケナイとわかっているのに、なぜ彼らはその衝動を止めることができないのでしょうか。燃え上がる想いと背徳感、そして支払わなければならない代償……さまざまな感情がうずまく不倫がテーマの漫画を、おすすめ順にランキングで紹介していきます。

不倫は片想い状態では成立しません。2人の想いが通じ、なおかつ肉体関係を結ぶと、「不倫」という言葉の枠組みにガッチリはまります。人が不倫をするきっかけのひとつはセックスレスだそうです。
『1122(いいふうふ)』は結婚7年目、相原一子(あいはらいちこ)と二也(おとや)の仲の良い夫婦の物語。しかし二也は一子以外に、1児の母である柏木美月という恋人がいました……。
- 著者
- 渡辺 ペコ
- 出版日
- 2017-05-23
物語の冒頭から夫が不倫をしているなんて、まったくいい夫婦じゃない……と困惑した読者も多いのではないでしょうか。しかし本作では、なんと妻公認の不倫なのです。
子どものいない相原夫婦は、結婚7年目の仲良し夫婦。二也は家事も仕事もできるハイスペック男子です。しかし、かつて一子が拒んだことをきっかけに、セックスレスになっていました。
二也はお花の教室に通っていて、毎週木曜日は教室に行った後にお泊り。妻の待つ家には帰らず、恋人と過ごすのです。
夫婦とは、最小単位の家族。作中には、結婚や夫婦に関するアンケートの結果や、一子の友人たちの会話など、女性の赤裸々な意見も載っています。不倫を容認する彼女たちが作る家族の形から目が離せません。
セックスは、本来であれば相互の了承があってなされる行為です。しかしなかには、立場や暴力などで屈服させ、むりやり身体を奪う場合もあります。
圧倒的に加害者側に非があるにも関わらず、被害者の多くは「自分が悪い」と自らを責めてしまいがち。周囲の人からも好奇の目を向けられるため、口を閉ざしてしまうことも多いのです。
そんなある種閉鎖的な問題に一石を投じたのが本作です。
- 著者
- 鳥飼 茜
- 出版日
- 2014-02-21
『先生の白い嘘』では、女性だけではなく男性の性被害者も登場し、男女の性差について描いていきます。
原美鈴は24歳の高校教師。内向的な性格で外見も地味であるせいか、周囲からは恋愛に疎いと思われていましたが、実は誰にも言えない問題を抱えていました。実は友人の引っ越しを手伝っていた際、友人の彼氏からレイプされてしまったのです。関係は今でも続いていて、美鈴は女である自分自身を憎んでいました。
ある日彼女は、担任をしている生徒の新妻祐希から、女性へのトラウマを打ち明けられます。少年は、アルバイト先の女性からむりやり性行為を迫られたせいで女性の性器が怖くなり、EDを発症して悩んでいました。お互いの本音を吐露するうちに、2人の関係が変わっていきます。
美鈴と友人の彼氏の関係は、一種の不倫。しかし力関係は一方的で、彼女にとっては肉体的にも精神的にも苦痛しかもたらしません。自分自身を痛めつけ、すり減らして生きる美鈴の姿に読者の心も痛みます。
『先生の白い嘘』については<衝撃漫画『先生の白い嘘』をネタバレ考察!現代の隠れた格差、生きづらさ>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
不倫は妻や夫のいる人が他者と交際する、肉体関係を持つことを指しますが、それが1人とは限りません。中には二股どころか三股、四股という猛者もおり、不倫していた相手同士で鉢合わせ、修羅場になったなどというエピソードが、テレビなどで面白おかしく語られることもあります。外部から見れば面白い話で済みますが、当事者たちはどのような気持ちなのでしょうか。
『スマ倫な彼女たち』は、複数不倫を扱った作品。主人公の長谷川倫が、妻子のある身ながら、複数の女性と交際をする様子が描かれます。破滅的ではなく、セクシーでありながらライトな雰囲気があり、恋愛のドロドロ感は薄め。とはいえ、女性同士の暗黙の戦いといった場面もあり、倫とともに読者もバレるかも、というハラハラ感を楽しむことができます。
- 著者
- 沖田 龍児
- 出版日
- 2015-04-09
長谷川倫は不動産会社に勤めるごく普通のサラリーマン。妻とは結婚5年目、3歳になる娘がおり、幸せな家庭を築いていました。しかしそれは、倫の表の顔。裏側では複数の女性との、やめられない不倫関係が続いていました。
相手の女性は、キャバクラ嬢のさやかや、上司の絵梨、初恋の女性である新庄に、料理研究家として活躍する芸能人の亜季など、いずれも美人揃い。やめよう、やめようと思いながらも不倫関係をやめられない倫に、羨ましさと同時に共感する男性読者は多い事でしょう。優柔不断なのに関係を続ける努力を怠らないというところに、感心してしまいます。
倫が不倫をやめようとしつつも、関係を続けてしまうため、不倫をしていく女性は増える一方。妻以外の人間は、不倫相手であるという自覚があり、妻への優越感もあるためか、大胆な行動に出るところなど、女性の心理の描写も巧みです。優柔不断なダメンズ倫の複数不倫、ハラハラ感満載の不倫ハーレムをお楽しみください。
男性の不倫は、家庭を保険に火遊びをするという感覚ですが、女性は不倫をするとその恋に引きずられてしまいがちです。相手の家庭を崩壊させてしまったり、自分自身も傷つき、仕事を辞めざるを得なくなったり。不倫の果ては破滅しかないとわかっていても、相手への気持ちがあるために、そこから抜け出せず、気持ちの重さの分だけ自身の枷となってしまうのです。
『サプリ』は、働く女性のリアルを描いた作品。登場するのは、30代前後の仕事に打ち込む女性たち。彼女たちは激務をこなしながら、仕事や恋の悩みに向き合っていきます。女性の婚姻年齢は年々上昇していますが、30歳前後というのは、わけもなく焦りが出始める時期。それだけに、同じ年代で仕事に打ち込む独身女性には、共感できる部分が多いはずです。
- 著者
- おかざき 真里
- 出版日
- 2004-06-30
主人公は、華やかながら長時間労働は当たり前というブラック業界でもある、広告業界に勤める藤井ミナミ。彼女は彼氏から仕事と自分という2択を迫られたとき、仕事を選んでしまうほどの、ワーカーホリックです。仕事以外に何もない、と気が付いたミナミは、自分自身の事、仕事についてなど、様々なことについて深く考えるようになります。
本作にはミナミ以外にもいろいろな立場の働く女性が登場します。ミナミ自身も、実は二股をかけられていたことが発覚するのですが、家庭がありながら不倫がやめられない田中ミズホの対比が面白いところ。堅実な考えを持った渡辺ユキも登場し、様々な女性の考えを、漫画を通して知ることができます。
メインは仕事に通じる事柄ですが、仕事とプライベートは地続き。不倫の恋についての提言もあり、なるほどとつい唸ってしまうほどの説得力があります。広告業界が舞台ということもあり、皆オシャレな雰囲気ですが、働いているという点では、キャラクターたちも読者も変わりません。共感する部分も多く、女子会をしているような雰囲気を味わえる作品、読めば元気になること間違いありませんよ。
不倫をするのに性別は関係ありませんが、家の外に出る機会が多い男性のほうが、出会いのきっかけは多い事でしょう。現在は共働き世帯も増えましたが、少し前は、女性が家庭を守るものというのが常識とされていました。一歩家庭という枠組みを超えてしまえば、男性は自由だったのです。
戦国武将の中でも、農民から成りあがった豊臣秀吉が絶大な人気を獲得しているように、主人公が成りあがり、トップに立つ話というのは人気のある題材です。『課長島耕作』を含む「島耕作」シリーズは、1980年代から現代までを舞台にした、サラリーマンの一代記。団塊の世代である島耕作を主人公に、サラリーマンをリアルに描いています。
- 著者
- 弘兼 憲史
- 出版日
- 2008-05-16
島耕作が出世していくサクセスストーリーがメインのシリーズですが、それと同時に様々な女性との関係を描く、不倫漫画でもあります。シリーズ中でも本作は、課長クラスとなった島耕作の物語であり、最も不倫描写が多い作品。仕事よりもオフィスラブに精を出しているのではないのか、というくらいの頻度に驚かされます。
女性にとっては微妙な気分になる可能性は高いですが、本作に登場する不倫は、身代をつぶすほど濃密なものではなく、ちょっとした遊びのような感覚。男性がどのような感覚で女性との関係を楽しんでいるのかという心理を、垣間見ることができます。
仕事と不倫、両方に力を注ぐ島耕作のバイタリティには心底敬服。不倫をしていても何故か嫌味が無いのは、描写自体は淡々としているからでしょうか。本作が描かれた年代が1983年から1992年ということもあり、女性としては反論したい部分もあるかと思いますが、これも日本の辿ってきた歴史の一部であるともいえます。1980年代の考え方と、バイタリティ溢れるサラリーマンの姿を垣間見られる作品です。
男女問わず、自分のパートナーが他者と肉体関係を結ぶというのは面白くないもの。いわゆる寝取られというものですが、寝取られた側からすると、敗北したような気持ちになります。気持ちが自分から離れる事も耐え難い事ですが、肉体にコンプレックスがあった場合は、心理的なダメージがより増えるということは、想像に難くありません。
男性は肉体を武器に、物理的に戦うことができますが、女性が身体を武器に戦うとなると、やはり性的な関係が深くかかわってきます。『リベンジH』は、とある女性の復讐劇を描いた作品。美貌と恵まれたプロポーションを武器に復讐をしていくのですが、その的確すぎる復讐方法に、戦慄を覚えます。
- 著者
- 仙道 ますみ
- 出版日
- 2015-03-27
鈴音秘芽子は、美人で抜群のプロポーションを持ちながら、彼氏はおらず独身。接客業をしていましたが仕事を辞め、故郷に帰ってきました。そこで、かつて同級生だった高柳眞由美と再会。4歳の娘と、夜の関係がご無沙汰な夫を持つ眞由美は、ストレスが貯まり、つい秘芽子に愚痴を吐露します。酒を飲み、酔った眞由美は秘芽子と肉体関係を持ってしまいました。一度は連絡を拒否したものの、再び話をしてしまった眞由美に、秘芽子は旦那への仕置きを提案します。
一見すると男性へ復讐する話に見えますが、秘芽子の真の復讐相手は女性。かつて地味な容姿をしていた秘芽子をいじめていた同級生たちに、身体を使って復讐をしていく物語なのです。30代を過ぎ、出産を経験すると、どんなに努力しても体型は崩れるもの。そんな体型をコンプレックスに感じる女性たちの前に現れる、完璧なプロポーションの持ち主である秘芽子は、さぞ脅威に映るでしょう。
秘芽子は同性であるためか、女性の傷を的確に抉ってくる作戦を用いてきます。その的確な手腕に、感心しつつも、背筋がうすら寒くなるのを押さえることができません。相手に合わせて復讐の手段を変えていく、秘芽子の知恵と追い詰めていく見事な手腕をお楽しみください。
優しく仲の良い両親に、まっすぐに育っている子どもたち。仕事は順風満帆で収入は安定し、特に不安も不満もない、絵にかいたような幸せな家庭があります。しかし、何かが欠ければバランスは崩れるもの。幸せで絆がしっかりとあると思っていた家庭でも例外ではありません。
『幸せの時間』は、一つのきっかけで幸せな家族が崩壊していく姿を描いた物語。きっかけというのは不倫です。家族以外の女性と関係を持つというのは、結婚したパートナーに対しての裏切りと同時に、家族に対する裏切りでもあるのでしょう。大切に育んできたものが、男女の関係という、抗いがたい本能的な部分で崩壊していく様に、どこかやるせなさを感じてしまいます。
- 著者
- 国友 やすゆき
- 出版日
浅倉家はエリートサラリーマンの達彦、妻の智子、良介、香織の4人家族。達彦と智子は互いを尊重し、支え合いながら家庭を築いてきました。相手を認めるという姿は、まさしく理想の夫婦。新居に引っ越し、絵に描いたような幸せな家族は、穏やかな日常を過ごすはずでした。
しかし、智子が交通事故を起こしたことで、幸せな家庭が少しずつ崩壊していってしまいます。智子が事故を起こした相手は、高村燿子。耀子と不倫関係になってしまった達彦でしたが、家族にバレたうえに、横領も発覚するという最悪の事態に。子どもたちは家を離れ、智子も不倫をするなど、負の連鎖が続いていきます。
交通事故から不倫に発展というまさかの展開ですが、その後に続く転落劇は、現実にありそうな出来事。そのせいか、妙にリアルに感じられてしまいます。読者は見守るしかなく、歯がゆい気持ちを味わい続けるところが辛いところ。負の連鎖はどこかで食い止められるのか、不倫から始まる崩壊劇の行方を見届けてください。
かくして愛人教授井伏と愛人を作るために頑張る「愛人同盟」3人の、目指せ愛人獲得という、世の女性が見たら顰蹙を買う野望がスタートしました。しかし百戦錬磨の井伏の教えがあろうと、そう上手く事は運びません。彼氏のフリをお願いされたり、実はバツイチであることを隠していたりと、女性たちもなかなか強かな面を見せます。
- 著者
- 青木 U平
- 出版日
- 2013-12-06
高校生の時、紗絵子に恋をした主人公の小動爽太は、紗絵子に交際を申し込み、OKをもらいます。しかし、元カレとヨリを戻した紗絵子に「付き合っていたつもりはなかった」とあっさりフラれてしまうハメに。失意の爽太は紗絵子へのこじれた恋心を抱えたまま、25歳になってしまいました。
- 著者
- 水城 せとな
- 出版日
- 2009-01-09
- 著者
- 黒澤R
- 出版日
- 2017-01-19
本作の魅力は何といっても人妻たちが恋をする様子がエロチックに、生々しく描かれているところ。性行為のシーンがリアルに描写されているからというのもありますが、それよりも彼女たちの迷いや葛藤が丁寧に描かれているところが色っぽいのです。
日々の抑圧された欲求をおずおずと出し始める様子や、一般的には「いけない」とされる不倫という関係にはまってしまう彼女たちの表情はセクシー。妻というよりも「ひとりの女性の赤裸々な様子が表されています。
不倫にまつわる心の変化や闇がリアルに描かれた、どこか生っぽい恋愛漫画の短編集です。
- 著者
- 柴門 ふみ
- 出版日
- 2011-11-30
- 著者
- 草壁 エリザ
- 出版日
- 2015-05-13
- 著者
- 東村 アキコ
- 出版日
- 2014-09-12
倫子は恋人がおらず、結婚のために恋人を作るところからスタート。美人でネイルサロンを経営している香と、父親が経営する居酒屋「吞んべえ」の看板娘小雪は、道ならぬ恋に惑うことになります。
香は元カレの涼とよりを戻すものの、彼にはモデルの彼女の存在が。別れなければという思いと今の彼女と別れた後の関係を期待し、離れられずにいます。小雪は、ひょんなことから知り合った妻子持ちの丸井に片想い。3人の中では一番大人で、落ち着いていたと思われた小雪が、不倫の沼に落ちていきます。
彼女や妻のいる相手との関係を周囲は止めますが、それでも進んでいってしまうのは「禁断」という二文字ゆえなのでしょうか。淡い期待を持って関係を続けてしまう香も小雪も、結局は泥沼の不倫の恋に溺れ、手痛い傷を負います。
不倫はけして2人だけの関係ではなく、互いの家族や友人関係までを巻き込んでいきます。しかし、香と小雪にとっては確かに恋だったものが、周囲の目から見れば不倫となるというのは悲しいところ。人の心はままならないものだと実感する作品です。
高月かのんは、地方に住む地上民。パティスリーで働いています。高校の時のバスケ部の先輩、境宗介に片想いしており、フラれているにも関わらず、再会を心待ちにしていました。その期間実に8年。23歳になり、職場で宗介と再会したかのんでしたが、彼は異星人を破壊する特殊部隊SLC(異星生物対策委員会)のリーダーとなっていました。
- 著者
- 米代 恭
- 出版日
- 2016-06-10
2人は肉体関係を結んではいないものの、心を通わせる関係です。不倫をしている状態だといえるのでしょう。その事実だけを見ると、社宅を舞台にした上司と部下の妻の不倫劇になりますが、2人が互いに心を通わせる関係になったきっかけもまた不倫であることを考えると、見方が変わってくるのではないでしょうか。
- 著者
- 野村 宗弘
- 出版日
- 2013-11-29
- 著者
- 小田 ゆうあ
- 出版日
- 2011-09-15
娘の愚痴を聞いていた義行は、勤めている会社に派遣社員としてやってきた、劇団で役者をしているというイケメン男子佐伯龍に、芝居で夏を誘惑してほしい、とお願いをします。嫌がる龍でしたが、社宅に住めるようにすることを条件に了承。龍は夏と会うことになります。
ミイラ取りがミイラになる。そんなことわざがありますが、龍はまさしくこの状態でしょう。夏の飾らない性格に触れ、いつしか本気の恋へと発展。対する夏も佐伯の誘惑に、女性としての華やいだ気持ちを取り戻し、美しくなっていきます。
夏と龍は互いに惹かれるようになりますが、きっかけは龍が夏を誘惑するという依頼です。肉体関係という一線を超えれば家族は崩壊することになり、家族を愛する夏は龍への恋心との板挟み状態に。夏の気持ちがわかるからこそ、龍も最後の一線を守り通します。
家族を取るか。不倫の恋を取るか。パート先の店長と駆け落ちをして行方不明となった、同じ社宅に住んでいた小牧さんと夏の対比が光ります。タイトルの「ふれなばおちん」とは、触ったらすぐにでも落ちそうな、という意味を持った言葉。触れられた夏が落ちてしまうのか否か、不安定な心が風に吹かれてゆらゆらと揺れます。
不倫を扱っているのは、18年前に家族を捨てて駆け落ちをした坂野三津江の物語と、「小春」という名前が嫌いな聡子の物語。三津江は、男と駆け落ちをしたものの、長くは続かずひとりパートをしながら貧しく暮らしていました。そこへ、大人に成長し結婚を控えた娘、優花が現れます。
- 著者
- 志村 志保子
- 出版日
『姉の結婚』は、不倫に疲れて帰ってきたら、また不倫関係に落ちたという、まさしく不倫がループしている物語。ヨリは真木との関係を続けていくことになるのですが、自己と他者を冷静に分析し、常に物事から自分を一歩外に置いてみようと試みています。冷静であらねばならないという、ヨリの強い自制心の表れであはありますが、結果として気持ちを内にしまい込んでしまうのでしょう。
- 著者
- 西 炯子
- 出版日
- 2011-05-10
- 著者
- いくえみ 綾
- 出版日
- 2012-11-08
美都も有島も既婚者という、W不倫を描いているいくえみ綾『あなたのことはそれほど』は、美都にも有島にもあまり同情する気持ちがわかないというところが、不倫の一般的なイメージと重なります。美都は初恋を追い、有島は遊びのためと、そこには各々の身勝手な気持ちしか存在していません。
本作の見どころは、美都の夫涼太と有島の妻麗華の存在でしょう。イケメンの有島に比べては凡庸に見えるけれども、美都を一途に愛している涼太。そして有島の妻としては地味さが際立つ麗華ですが、感の鋭さは抜群。核心を突くことはなく、巧みな言い回しで不倫をする有島をじわじわ追い詰めていく姿は、恐ろしくもあり、爽快でもあります。
しかし、不倫をしていた美都と有島が攻められ、不幸になって終わる物語ではありません。涼太は妊娠疑惑のある美都に、不倫相手の子でも自分の子として育てる自身があると豪語するほどの狂気を見せ、ストーカーといえるような行動が目立つように。麗華が冷静であるせいか、互いの狂気がより増幅され、えも言われぬ恐怖感を生み出します。
W不倫の行き着く果てに、平凡な日常生活はあるのか否か、固唾をのんで見守りたくなる作品です。
櫻華女子大学英文科に通う毬谷沙織は大学3年生。湖でおぼれた自分を助けるために父親を亡くしており、その影響なのか重度のファザコンです。父親にそっくりな大学助教授の高橋博明に想いを寄せていて、いつしか不倫関係に。
- 著者
- 一条 ゆかり
- 出版日
不倫という言葉には良いイメージはありません。そこには関わった人の複雑な心理が絡み合い、濃い人間ドラマを生み出します。不倫という言葉の持つ力は強いですが、それにかかわる人々の心理を知ることができる作品ばかりです。