『咲くは江戸にもその素質』あらすじ
- 著者
- 沙嶋カタナ
- 出版日
- 2015-02-14
舞台は江戸の町。そこに『南総里見八犬伝』が大好きな少女サクがいました。夜遅くまで明かりの下で読書する彼女。文学少女でしょうか?
いいえ、腐女子です。
『南総里見八犬伝』を読んでいくうちに気づいてしまった「この」気持ち……。サクは親友のカメとフミに、衆道(BL)が好きだという気持ちを打ち明け、気持ちに素直になることの大切さを学びます。
しかし、その道は苦難のもの。友達にはどう打ちあけよう?そもそも趣味が違ったら?描かれていないふたりの恋の行方を見守れないかな?そんな様々な気持ちを抱えた少女たちが欲望に素直に生きていくストーリーに、時代を超えて共感します。悲哀と欲望に満ちた腐女子あるあるが江戸の町で繰り広げられていきます。
今回はそんな魅力が感じられる、腐の名シーンをご紹介します。
腐っちまった悲しみに<溢れる愛を語りすぎる>
それはまだサクがふたりに気持ちを打ち明けられていなかった時のこと。大好きな『八犬伝』が話題になります。最初はなんとか我を抑えて、「おもしろそうだったから(読んでみただけなの)」と簡単に説明しますが、推しキャラの信乃の名前をカメが出してしまい……。
出典:『咲くは江戸にもその素質』1巻
溢れてしまった愛が止められないストーリー説明。どこを見ているのかわからない光のない目で話し続けるサク。心はもう『八犬伝』の世界にフライアウェイ。尊すぎる名作に出会ったことのある人なら誰しもこの気持ちが分かるのではないでしょうか。
しかしかなり腐進度が進んだ方はこれを読んでまだまだ初級だなと思ったのではないでしょうか。名作は言葉では言い表せません。そもそもこの素晴らしい世界を自分の表現力で適切に伝えられるのだろうかその責任を負えるのだろうか、伝えるべきポイントはふたりのどのシーンだろうか馴れ初め?初めてのキス?いやいや日常のふとしたシーン?と考えて、「あ、うん、とりあえず面白いから読んでみない?」になりがち。……ではないですか?
とりあえずサクの様子は在りし日の腐女子初心者の甘酸っぱ……くはない、苦酸っぱい気持ちを思い出させてくれるでしょう。