緻密な書き込みとリアルなタッチが特長的な奥浩哉の作風は、さながら映画のよう。代表作『GANTZ』が実写映画化されたことで一躍、時の人となりました。今回は同作を含むおすすめ5作品を、ランキング形式でご紹介していきます。

重い話に抵抗があるという人もいるかもしれませんが、それを差し引いてもストーリーが面白い作品です。暴力や復讐、殺人や拉致誘拐、監禁など日常では意識しないけれど、世の中のどこかで実際に起きている出来事。それらの一部を切り取って奥の世界観が全開である本作は、重苦しい空気が満ちてはいるのですが、そこがとても魅力的なのです。
- 著者
- 奥 浩哉
- 出版日
普通の男子高校生である佐藤ゆうきが、ある日、同性である鈴木一郎に告白されるところから物語が展開していきます。このように書くとボーイズラブのように思えますが、実は鈴木は同性愛者ではありません。そんな彼が男の子に一目惚れしてしまうのです。さらに、好きになったのには前世までさかのぼる理由があるという奇想天外な展開です。
- 著者
- 奥 浩哉
- 出版日
主人公は美人でスタイルも良く、成績も運動神経も良いうえに彼氏持ちというスーパー女子高生吉田ちずる。普通の女子高生として過ごしていましたが、転校生の山田あずみをひと目見たその日から、どんどん恋する乙女になっていきます。男性経験もあるのですが、すっかりウブな女の子になってしまうところが何ともかわいらしく感じられるでしょう。
- 著者
- 奥 浩哉
- 出版日
- 2011-02-18
- 著者
- 奥 浩哉
- 出版日
- 2014-05-23
冴えない初老のおじさん犬屋敷壱郎(いぬやしき いちろう)を主人公に、アクション満載のヒューマンドラマが展開する本作。息子にまで「うちのホビット族なんだから、穴の中に隠れて怯えてやり過ごせばいいんだよ」[※2]と言われてしまうほどしょぼくれた印象の犬屋敷ですが、実はとても格好いい人物なのです。
[※2……ホビットとは、ファンタジー小説『指輪物語』などに登場する種族のこと]
ある日アンドロイドになってしまった犬屋敷のあふれ出る正義感、善意の塊、心の強さに読者はきっと惹きつけられることでしょう。全身機械だけれど、人間として生きている実感を感じる瞬間のために人を助ける犬屋敷には胸が熱くなりますよ。本作は、美少女でもイケメンでもない、おじさんのアンドロイドが主人公という斬新な設定ではありますが、王道のヒーロー漫画として楽しめるのです。
一方、犬屋敷と同じく全身機械になってしまった高校生獅子神は、生きている実感を得るために人を殺すのです。犬屋敷と獅子神による、人間らしさのアプローチは真逆です。しかしその善悪の対比もまた、今作を魅力的にしている理由のひとつといえるでしょう。
彼らはこの先どのような道を進んでいくのでしょうか?先の読めないストーリーから目が離せなくなりますよ。
『いぬやしき』については<漫画『いぬやしき』の魅力を最終10巻まで全巻ネタバレ紹介!>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
- 著者
- 奥 浩哉
- 出版日
冒頭から主人公の死亡、しかもスプラッターで始まる本作。事故死したはずの主人公玄野は、死んだはずのその他の人間とともに不可解な部屋に閉じ込められます。そしてそこには不思議な黒い球があって……。ここから始まる「何が起きているかわからないけど、やるしかない」「やるからには、生き残らないといけない」という心理描写が絶妙です。
黒い球(ガンツ)は、得体の知れない星人という相手を「やっつける」という指令を出します。玄野たちそれを拒否もできず、戦いの中に身を投じていくのです。逃げても負けても待っているものは、死。玄野たちはもう死んでいるのに、生死と向き合うことになったのです。戦いの中でやがて、玄野たちにも仲間意識が芽生えたり、人として成長したりしていきます。生きている時よりよほど人間らしい生き方をしているように感じられる展開は、見事としか言いようがありません。
「正義とはいったい何なのか?」を問いかける本作には、人間の心の奥底をえぐるような奥浩哉の真骨頂が発揮されています。
『GANTZ』など話題作が多い奥浩哉。巧みな心理描写や人物造形は、読者を掴んで離しません。どこかが引っかかる、読了後も忘れられない世界をぜひ堪能してみてください。