世の中に軍事、政治を扱った漫画は数ありますが、枕詞に「リアルな」が付く作品は限られます。かわぐちかいじは圧倒的描写でリアリティある作品を描く漫画家です。今回はそんなかわぐちかいじのおすすめ漫画ベスト5をご紹介したいと思います。

大地震、そして津波や火事の二次被害、三次被害。東日本大震災でのことが想起されますが、本作の連載が始まったのは2002年のことです。念頭にあったのは恐らく阪神淡路大震災でしょう。また、苦境に立たされた日本が国際情勢に翻弄されるという構図は、小松左京の『日本沈没』を思わせます。かわぐちはそれらを組み合わせたのかも知れません。
- 著者
- かわぐち かいじ
- 出版日
- 2003-05-30
本作は「モーニング」編集部主催、投稿形式不問の漫画新人賞「MANGA OPEN」で大賞となった藤井哲夫の同名作品(漫画ではなく漫画原作)を元にしています。審査員を勤めたかわぐちはちょうどビートルズ世代。作品の新奇性を評価し、自身の手による漫画化を希望したところ、作画を担当することになりました。
- 著者
- かわぐち かいじ
- 出版日
- 2010-08-23
もし現代艦船が第2次大戦時の軍艦と戦ったらどうなるか。兵器に興味がある人なら、戯れにこんなことを考えたことが1度はあるはずです。かわぐちかいじもそんな1人だったのでしょう。本作は戦史モノを得意とするかわぐちによる架空戦記漫画です。
- 著者
- かわぐち かいじ
- 出版日
- 2001-01-20
- 著者
- かわぐち かいじ
- 出版日
- 2015-09-30
現実問題として、2012年の尖閣諸島国有化と前後して、日中間で緊張が高まったのは周知のことと思います。日本は対外的に、尖閣諸島に関して領土問題は存在しないという立場を取っていますが、それに異を唱える中国の領海侵犯が常態化しているのも事実。本作は尖閣諸島を巡って、もしも中国と軍事衝突が起こったら、というifに基づく仮想戦記漫画です。
かわぐちは本作の執筆に当たってかなりのリサーチをしたようです。劇中で起こる出来事や政治的判断のシーンには真に迫るリアリティがあります。産経新聞社発行の月刊「正論」上で行われた小野寺五典(元防衛大臣)、伊藤俊幸(元海将)、潮匡人(軍事ジャーナリスト)の鼎談では、本作の描写と展開が絶賛されました。
兵器のリアリティにも目を見張ります。現実では様々な制限によって海自は空母を保有していません。ですが「いずも」型ヘリコプター護衛艦は艦載機を載せていないだけで事実上の空母。いぶきはこのいずも型を改良したという設定です。実際、いずもは小規模の改装でF35Bなどの垂直離着陸機の運用が可能とも見られており、非常に現実的。
徹底してリアリティにこだわった本作。日本の空母保有への国際的な風当たり、中国との摩擦はどうなるのか、日本の近い将来を占う意味でも目が離せません。
『空母いぶき』については<漫画『空母いぶき』の魅力を最新12巻まで全巻ネタバレ紹介!【映画化】>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
本作の連載が開始されたのは1988年、米ソ冷戦末期のこと。当時すでに2国間で関係修復が行われていたものの、全面核戦争の恐怖がまだ現実的な時期でした。今でこそ戦争は回避され、ソ連は崩壊してロシアとなったことは周知の事実ですが、それが連載当時のリアルです。
- 著者
- かわぐち かいじ
- 出版日
いかがでしたか?かわぐちかいじと言えば戦争モノのイメージがあります。しかし、そこにあるのは戦争賛歌ではなく、相対的な平和な日常への問いかけです。政治にしろ、タイムトラベルにしろ同じこと。かわぐち作品は普段の日常を振り返る極上のスパイスなのです。