剣道を通じて学ぶ、人としての成長
岩手県を舞台に、少年剣士の成長を描いた正統派のスポーツ少年漫画です。「週刊少年サンデー」において1981年~1985年にかけて連載され、多くの子ども達の間に剣道ブームを巻き起こしました。主人公の六三四が、様々な出来事を乗り越え人間として成長してゆく様子から目が離せません。
- 著者
- 村上 もとか
- 出版日
6月3日の4時に生まれたから、六三四(ムサシ)って安直……と、思ってはいけません。ちゃんと、「現代の宮本武蔵に」という両親の思いが込められているのです。
六三四のいちばんの魅力は素直さにあると思います。人の教えを素直に守ることができ、素直に相手の強さを認めることができ、自分の弱さも素直に見つめられる。だからこそ、「剣道が強くなりたい」というまっすぐな思いで努力することができるのではないでしょうか。
落ち込むようなことがあって剣の道を諦めかけても、また剣道へ戻ってくることができたのは、六三四が持つ「剣道が好き」「強くなりたい」という素直な思いがあるからなのだと思います。
さらに、六三四には同世代に素晴らしいライバル達がいます。彼らとの切磋琢磨が、六三四の成長に大きな影響を与えたことは間違いありません。あいつが頑張っているから自分も頑張る、と存在がプラスになる関係って素敵なことです。
六三四の姿を自分と照らしてみると、一生懸命になれていなかったことを反省します。何かに一生懸命打ち込んでいる人の姿は、キラキラと輝いていますから。何かに一生懸命打ち込むことを思い出させてくれる、そんな漫画です。疲れた時に読むと爽快な気分になりますよ。
壮大なスケールの歴史漫画に、恋愛漫画のエッセンス
1991年~2006年までの15年にわたり「ビッグコミックオリジナル」にて連載された長編歴史漫画。京都の押小路財閥の跡取り息子である「龍」を主人公に、日本と中国を舞台に激動する時代に飲み込まれながら懸命に生きる姿を描いています。まさに村上もとかの代表作と呼ぶにふさわしい大河ドラマ的傑作です。
- 著者
- 村上 もとか
- 出版日
まず、特筆すべきは魅力的な龍の人柄!財閥の跡取りでありながら、飾らないチャーミングな人物像に親しみを覚えます。剣道に精を出しながらも、しっかり恋愛もする、そんなどこにでもいそうな普通の若者です。気楽に読み進められるほのぼのとした学園物の様相を呈しながら、次第に歴史や運命に翻弄されてゆく主人公の葛藤や生き様が交じりあう骨太なストーリー展開は読み応え抜群。
また、龍の波瀾万丈の人生が本作のメインプロットなのですが、ヒロインである田鶴ていとの恋愛関係も物語のポイントです。明るく聡明で、しかも強い意志を持つていの事を好きになった龍は、周囲の反対をよそに彼女と一緒になる決意をします。
「この女と一緒になる為やったら、オレは何でも捨てられます」(『龍』より引用)
こんな言葉、女性ならば誰でも言われてみたいもの。そして龍にそこまで言わせたていは、やっぱり魅力的な女性です。龍との身分の違いを感じながらも、自分に素直に龍を愛し抜き、正しいことをやろうと遠回りしてしまったり、ふとしたきっかけから身を投じた映画の世界にやりがいを感じ、同時に葛藤したり……。ついつい、頑張れ!とエールを送ってしまうほど、頑張り屋さんです。どうしてもぬけ切らない田舎言葉が、いっそう彼女を魅力的にしています。
さらに、そこに龍の初恋相手である幼なじみの小鈴も加わり、二人の女性と龍を取り巻く関係が、物語にさらなる円熟味を加えているのです。
出生の秘密や国家の秘宝など、ミステリ要素もあり、壮大なスケール感ある物語は、まるで目の前で見ているかのような臨場感をともなって読者を惹きこみます。全42巻と長編ですが、それだけの価値がある漫画なので、ぜひ一度は手にとってみて損はないですよ。
言わずと知れた、村上もとかの代表作
2000年より「スーパージャンプ」で連載がスタート。2010年の連載終了まで10年にわたって紡がれた医療漫画です。タイムスリップ(SF)やヒューマンドラマ、歴史ものなど様々な要素をも盛り込んだ今作で、「手塚治虫文化賞マンガ大賞」を受賞しています。
- 著者
- ["村上 もとか", "酒井 シヅ", "富田 泰彦", "大庭 邦彦"]
- 出版日
最先端医療の現場にいた外科医が、まさかのタイムスリップで江戸時代に!という奇想天外なストーリーながら、荒唐無稽な展開にならないのがさすが村上もとかです。
歴史を変えてしまうかもしれない危険性も感じながら、目の前にいる患者を放っておけない南方仁。まさに医者の鑑です。自分のアイデンティティが全くない江戸時代において、これまで培った医療技術と知識だけで、自らの道を切り開いていきます。格好良いです、南方仁。
坂本龍馬・緒方洪庵・勝海舟……など、歴史に名を馳せる登場人物もそれぞれ個性的で、まるで「本当にこんな人だったのでは?」と思えるほどの人物描写が秀逸です。
医療の可能性、歴史背景の的確さ、タイムスリップというSF要素、運命に翻弄されていくスリル。ひとつの物語の中に幅広いジャンルの物語が混在し、なおかつ混じりあっていることで、『JIN』に究極の面白みを生み出しているといえるでしょう。
病気が治ってよかったね、とただ感動するだけじゃないストーリーのある感動がまっています。