高杉晋作といえば、身分が厳密に決められていた江戸幕府下において、身分に囚われない軍隊「奇兵隊」を組織するなど、長州藩で数々の偉業を成し遂げた人物です。英雄ともいわれる彼をより知ることができる5作品を紹介します。

1:藩の費用を女遊びに使い切ってしまうような浪費家だった
1862年、徳川幕府が上海に向けて千歳丸を派遣したときに高杉晋作は幕府使節の随員となっています。 その途中に立ち寄った長崎で千歳丸の準備が遅れ、3ヶ月逗留することになった晋作は藩から支給された出張旅費を使い込み、連日のように丸山遊郭で大騒ぎをしていました。
出航するときには藩費を使い果たし、遊郭で身請けした女性に因果を含め元の妓楼に買い戻してもらい、費用を捻出しています。
2:「東行」の号の意味は倒幕
1863年3月に晋作は京都で10年間の暇乞いを藩に申し出て、頭を丸めて坊主になり、西行にちなんで「東行」と号します。この号には「東へ幕府を倒しに行く」という意味も込められていました。 このころは毎日酒を飲んで過ごし、持て余した藩が旅費を渡して国元に帰るように伝えるとその旅費を使い込んで遊興に当てていました。
3:面会人が少なく愚痴の手紙を送っていた
1863年の8月18日の政変で失った長州藩の勢力回復を図るために上京した晋作ですが、脱藩扱いになり3月に萩の野山獄につながれます。 そのとき面会人は1人しかおらず、友人が多いと思っていたが薄情だという内容の手紙を友人に書き送りました。
4:脱藩の心細い心境を句に残す
1864年に幕府は長州征伐を命じ、長州藩は混乱の中、高杉晋作の属する主戦派を粛正していきました。身の危険を感じた晋作は旅館の行燈に「燈し火のかげ細く見ゆる今宵かな」と書き残して脱藩します。
5:遺言に「芸妓を集めて賑やかに葬ってほしい」と書く
1865年1月に高杉晋作は奇兵隊を率い功山寺挙兵の前に、友人の大庭伝七宛てに自分が死んだら、墓の前に芸妓を集め、にぎやかに三味線などをかき鳴らして景気よく葬ってほしいと書き送っています。
6:高杉晋作は久坂玄瑞にラブレターのような手紙を送っていた
高杉は特に久坂玄瑞と親交が厚く、「識の高杉、才の久坂」と評されていました。
彼らが共に松下村塾で学んでいた当時、晋作は久坂宛に「手紙の返事がないのが不満」や「兄弟の契りを結びたい」「天下国家のことを考えるにつけ、あなたの顔が思い浮かぶ」など、恋文とも思える内容の手紙を送っていますが、久坂玄瑞から高杉への返事はなかったようです。
7:高杉晋作が結成した奇兵隊の末路
明治維新後、晋作の結成した奇兵隊の半分は藩の兵士として採用し、残りは解散という決定がされます。解散命令を受けた者たちは身分の低いものが多く、不満を持った者たちが反乱を起こし、晋作の盟友でもある木戸孝允によって鎮圧されました。
8:晋作死後、妻おうのは出家し高杉晋作の菩提を弔った
高杉が亡くなったとき、おうのは24歳でしたので貞操観念の薄いおうのが、浮名を流すと晋作の名に傷がつくと考え、無理やり出家させられた等の噂もありますが、実際は井上馨や木戸孝允、伊藤博文、山形有朋などが相談し、山形有朋が住んでいた無隣庵を移築した東行庵を建て、おうのを出家させて墓を守らせました。
おうのは出家して梅処尼と称して一身に高杉晋作の菩提を弔い、1909年に死去しています
江戸に遊学中だった晋作は、伝馬町の牢にいた松陰とたびたび連絡を取り、生活しやすいよう手配りをしながら、文を交わします。松陰が自身の死を悟っていたように、1859年に斬首刑により死去。師の志を継ぎ、高杉晋作は動乱する世を動かす歯車となっていきます。
- 著者
- 山岡 荘八
- 出版日
- 1986-08-28
特に高杉晋作が清国に留学中に記された「遊清五録」の章では、清国を植民地化しようとする英国の脅威をより身近に感じ、危機感を募らせています。この留学での印象がのちの「奇兵隊」や講和といった行動へ繋がっていくことを考えると、学び活かす能力に長けた人物であることを改めて実感。日本の歴史の中で、高杉は果たすべき役割を与えられた人物というような印象も受けます。
- 著者
- 一坂 太郎
- 出版日
- 2010-09-10
本作はそれだけではなく、高杉晋作という歴史上の人物ではなく、一人の人間として描いており、リアルな感情や行動を描写しようと努めています。伊藤博文に「動けば雷電の如く発すれば風雨の如し 衆目駭然、敢えて正視する者なし。これ我が東行高杉君に非ずや」と詠われたほどの人物ですが、悩みや葛藤が無かったわけではないでしょう。天才は悩まない、というイメージを覆し、より人間らしい高杉晋作像が描かれているのです。
- 著者
- 古川 薫
- 出版日
物語ではなく研究書のような体裁なので、これから知ろうという方よりも、一通り高杉晋作という人物を知っている読者向けの内容です。短い期間で様々なことが起こった、まさに動乱の幕末を晋作の立場から見ることができ、小説やドラマでの疑問点の補填や、他の維新志士を知る一助ともなります。
- 著者
- 奈良本 辰也
- 出版日
司馬遼太郎作品に登場する、坂本龍馬、吉田松陰、高杉晋作について解説がされていますが、著者である一坂太郎の得意分野だけあってその解説は的確です。『世に棲む日日』に登場する高杉晋作の武勇伝は、元は明治期の講談であったり、司馬遼太郎の創作であるという点を指摘。辞世の句を詠む感動のラストシーンに対しても、臨終の間際に読まれたものではないなど、晋作研究の第一人者だからこそできる、創作と史実の境目を、はっきりとさせていきます。
- 著者
- 一坂 太郎
- 出版日
- 2013-09-13
短い生涯を生き抜き、未だ多くの人に愛されている高杉晋作。題材にした作品が多いということは、それだけ魅力的な人物であるということでもあります。一方向からではなく、様々な人の目から見た、高杉晋作の魅力に触れてください。