3位: ヤマシタトモコによる、エロス×ホラー『さんかく窓の外側は夜』
本作は、ホラーやサスペンス色の強い作品となっていますので、ヤマシタトモコのまた違った一面を垣間見ることができます。
書店員の三角は、死んだ人間が見えてしまうという体質。あるとき三角が勤務する書店が、除霊師冷川(ひやかわ)に仕事を依頼したことで、三角と冷川は出会います。冷川は即座に三角の特性を見抜き、半ば強引にコンビを結成します。というのも、霊を「ぶん投げる」ことができる冷川は、霊を見ることができる三角を介すことによって除霊が楽になり、効率的になるというのです。
怖がりな三角でしたが、自分の体を介して行われる除霊にとてつもない快感が伴うことを知り、さらにその破格の報酬や、流されやすい性格も手伝って冷川から離れられなくなってしまうのです。
- 著者
- ヤマシタ トモコ
- 出版日
- 2014-02-10
三角と冷川のコミカルな会話やクスッと笑えるシーンを楽しめることはもちろん、ゾクッとするような霊の描かれ方など、サスペンスやホラー作品としての魅力が感じられる本作。とはいえやはりBL漫画ですので、エロティックさ溢れる三角と冷川の除霊シーンも忘れてはいけません。
また、時折冷川が発する「きみは私が見つけたんだから私のものですよ」といった三角に対する執着を表す台詞も見逃せませんよ。その台詞の裏に一体何があるのか、二人の関係にも注目したいBL漫画です。
2位: ヤマシタトモコの「このマンガがすごい!」1位作品!『くいもの処 明楽』
居酒屋の店長、明楽高志は32歳。元ヤンながらも、そこそこ順調で平和な日々を送っていました。しかしある日、年下で生意気なバイトの鳥原泰行に告白されて……。
明楽はそれまで同性愛者ではなく、クールな島原からの告白には戸惑いを隠せませんでした。島原と顔を合わせても、つい茶化すような態度を取ってしまいます。そんな明楽に対して島原は「もーなんかめんどくせぇな」と、いつも通りの生意気な態度を取りつつも、「…こう見えてもおれはマジなんでね あんたにもマジになって欲しいんスよ」と言い、ストレートに想いをぶつけるのでした。
- 著者
- ヤマシタ トモコ
- 出版日
- 2007-03-15
訪れる、明楽の気持ちの変化。しかし元々は女好きで、軽いノリの明楽に不安を覚え、「おれのことちゃんと好きですか?」と尋ねてしまう島原など、随所に織り交ぜられた島原の恋に対する戸惑いや不安といった心情にも、ついつい感情移入してしまうBL漫画です。
明楽も島原も見目麗しい男性として描かれ、胸がときめくようなストレート過ぎる言葉も出てきますので、BL作品の楽しさを十分に堪能できることでしょう。さらに、明楽の幼なじみであり店のオーナーでもある牧やバイトの多香子など、居酒屋で働くサブキャラ達も皆個性的で、彼らの明楽や島原に対する絡みもまた絶妙ですよ。
ときめきと現実が最高のバランスでマッチした、ヤマシタトモコの大人なBL漫画を、是非お楽しみください。
1位: 好きな人がいる日常『恋の話がしたい』
1位として紹介させていただく本作には、特殊な設定もなく、個性の強いキャラクターが登場するわけではありません。しかしヤマシタトモコの表現力があってこその、じわりと胸に沁みわたるような静かな恋の物語を楽しめますよ。
主人公である美成は、ある日、上手くいくことなど微塵も期待せずに、年下でノンケの真川に告白。しかし意外にもその気持ちが受け入れられるのです。美成はゲイである自覚はあるものの、その世界に馴染めず、自分がゲイであることを知るきっかけとなった邑崎となんとなくの関係を持つだけでした。
- 著者
- ヤマシタ トモコ
- 出版日
- 2008-11-18
「おれは誰も好きになれんし なられもせんだろうっつう」(『恋の話がしたい』から引用)
邑崎に対してこのようにボヤき、むしろ片思いに終止符を打つために告白した美成。いざ真川と気持ちが通じ合っても、どうしたらいいのかわかりません。そんな美成に対して真川は、素直に気持ちをぶつけ、時には美成を戸惑わせ、そして幸せを感じさせるのでした。徐々に心を開き合いながら、ちょっとしたことで不安になって、次第にお互いのことを理解していくという、恋が始まり発展していく過程がさりげなく、じっくりと描かれたヤマシタトモコのBL漫画です。
このBL作品では、二人の仲を揺るがすような大きな事件も起きなければ、邪魔者も現れません。初めての恋に戸惑う美成と、飾らずに直球で接する真川。不器用に二人の関係を作り上げていく姿は、冷静さや計算などは皆無の、恋愛の一番純粋な部分を思い起こさせてくれるでしょう。