3位:緑の体に赤いマフラー。日本のヒーローの代名詞『仮面ライダー』
もはや1つのジャンルと言ってもいいほど数々の派生作品を生み出し、長く、そして広く親しまれる作品です。バッタの顔にヒーロースーツをまとうその姿は、よくよく考えるとちょっと不気味。しかしもはやあれこそが仮面ライダーなのだと納得してしまう説得力を持ったキャラクターとなりました。
よく漫画版のことを原作版などと言う場合がありますが、両作品はほぼ同時に制作されており、メディアミックス作品だといえます。
- 著者
- 石ノ森 章太郎
- 出版日
ショッカーと呼ばれる悪の組織に捕らえられ、バッタ人間として改造されてしまった本郷猛。彼はなんとか改造手術の途中に逃げ出すことに成功し、仮面ライダーとなってショッカーと戦っていくことになります。この作品で印象深い点をあげるとすれば、それは正義のヒーローである主役の死でしょう。当時の読者、主に子どもたちは相当なショックを受けたはずです。
しかしこの展開には重要な意味があります。仮面ライダーである本郷猛が死亡した後、彼に助けられた一文字隼人が仮面ライダー2号となって彼の志を受け継ぎます。まさにこの展開が、綿々と受け継がれる本シリーズ作品の始まりなのではないでしょうか。
そしてライダーV3、ストロンガー、アマゾンなど総数100以上にのぼる個性的なライダーが生み出され、『仮面ライダー』シリーズという1つの世界を作り上げていくことになるのです。
今なお多くのファンに愛される『仮面ライダー』。彼は人であって人ではない存在です。人と、そうでない者の狭間で生きながらも、人のために戦う孤高のヒーロー。そんな彼を生み出した石ノ森は、きっと大きなテーマをこの作品に盛り込んでいたはずです。作品に触れ、そんな作者の声に耳を傾けるのも面白いかもしれませんね。
2位:これぞ石ノ森章太郎の漫画の技法『ジュン』
かの手塚治虫が、石ノ森章太郎の才覚に嫉妬したという逸話を生み出したことで知られる名作です。作品はセリフをほとんど使わず、情緒深い田舎の風景や、人物の表情、コマ割りのみで物語が進行していきます。
漫画家になる夢を持つ少年ジュンは、父親には夢を理解してもらえず、ついには漫画を破かれてしまいます。雪が舞う季節、悲しみに暮れるジュンは大人びた少女と出会います。哲学的な言葉で少女らしからぬ様相をかもし出すその子とジュン。この幻想的な物語はこのふたりの登場人物を軸として流れていきます。
- 著者
- 石ノ森 章太郎
- 出版日
当時においては実験的な試みであった本作品は、その個性的で魅力のある表現により多くの読者の心を惹きつけました。活字をほとんど使っていないにもかかわらず、巧みなコマ割りや人物の表情、そして繊細なタッチで描かれた美しい絵によって、見事に作品の世界観を表現しています。
あなたは音を消した状態で映画や番組を見たことはあるでしょうか。言葉がなくとも伝わることは驚くほどたくさんあるものです。そしてそれは、自分自身の想像力によって補われます。
私達が漫画や小説を読む時にも自分自身の想像力というものは作品に大きく関わっています。ある意味、最終的に作品を作品たらしめるのは、それに触れる私たちの想像力だといえるのかもしれません。
本作で描かれる、主人公ジュンと彼が出会う幻想的な少女がつづるこの物語は、きっと読者の想像力によって感じ方、見え方が大きく変わるのです。そういった意味では、見る人によって作品の表情が変わるこの作品は、まさしく漫画でしか表現の出来ない傑作といえるのではないでしょうか。
1位:完結された代表作でもあり、未完の作品でもある『サイボーグ009』
2012年時点の累計発行部数は1000万部を突破するという、石ノ森章太郎の代表作です。作者の死去により未完に終わってしまった作品であるということでも知られています。後に遺族、プロダクションなどが中心となり完結編が制作されますが、作者の手による作品の完結はなされていません。
作者は作品で、生みの親への反逆というテーマ、更には反戦色をもうかがわせます。少年漫画でありながら、現実的かつ哲学的な要素を多く含む作品となっているのも特徴の作品です。
タイトルでもわかるとおり、主人公ら9人の仲間はサイボーグです。ベトナム戦争などを背景とする世界観に加え、人であり機械でもある自分たちの存在に苦悩するなど、正義のヒーロー像に戦争と人造人間という哲学的なエッセンスを加えることで、物語に深みを与えています。
- 著者
- 石ノ森 章太郎
- 出版日
本作は作者の思い入れが強いようで、前述したベトナム戦争や1960年台の米ソ東西冷戦など、当時の社会情勢をふまえた複雑な時代背景が描かれています。そしてそれを彩る形で様々な人物が登場するのです。
そのため連載漫画としては話がわかりにくいとも言われ、一度は打ち切りに。しかし別の雑誌を担当する編集者から、真の結末を描いて欲しいと打診され、一度は完結を迎えたというエピソードもあります。そしてその後、続編となる物語が展開され、本当の意味では完結せずに未完となっているのです。
生涯でのべ12万ページ以上を描き出したと言われる石ノ森章太郎は、今日の漫画に多大な影響を与えた人物です。本作においても、後世に受け継がれる様々なアイデアが詰め込まれています。
作者らしいテーマと、その情熱によって生み出された多くのキャラクター、緻密な設定などこの作品の魅力を語り尽くすには、それこそ12万ページを超える記事を書き出すくらいの情熱が必要なのかもしれません。