ここ数年、ネット上で国語の試験で扱われた評論や小説が話題になることが多いですが、個人的に今年の評論に「ゴーレム」が登場したことに驚きました。今回は、そんな「ゴーレム」が登場する作品をご紹介したいと思います。

グスタフ・マイリンクの『ゴーレム』は、そんなゴーレムの伝説を下敷きにした幻想小説です。
- 著者
- グスタフ マイリンク
- 出版日
- 2014-03-12
人間にとってふさわしくない仕事を、作り出された人間―ロボット―に代行させていくというのが大筋なのですが、ロボットのほうが優勢になって人間は一人を残して滅亡するも、そのロボットたちも滅亡の危機に脅かされます。この作品自体、来るべきファシズムの到来の予言、ロボットが優勢になるなかで人間の女性が不妊に陥るといった問題など、人類の生命に対する無頓着さを浮き彫りにしているという点で非常に興味深いものです。戯曲形式で書かれているのでサクサク読むことができます。
- 著者
- カレル・チャペック
- 出版日
- 2003-03-14
この作品は、最初に聖書の「創世記」が引用され、次に中世のゴーレムをつくる物語、最後に現代社会で無機物から生命体の創造に成功した科学者・ヴィクトルの数奇な運命が語られています。この3つは生命創造の物語です。それぞれの創造「過程」が幾重にも重なって展開されていきますが、イヴの誕生の前にはリリスという失敗、ゴーレムは殺人を犯して消滅、ヴィクトルの娘は生まれる前にすでに死亡…。創造には失敗や制御不能な何かがつきものであるということがわかります。
- 著者
- ハリー ムリシュ
- 出版日
今回ご紹介した作品は、偶然にも全てチェコが舞台でした。チェコは国そのものが歴史的に諸外国の支配を受けることが多く、チェコ語を禁じられることもありました。ただし、人形劇だけはチェコ語を用いることが許され、それゆえに人形劇はいまなお民族文化のアイデンティティとなっています。そういった歴史もあってか、人間の形をした人間ではないものへの執着があるのかもしれません。