古典派音楽の代表とされる三大巨匠の1人、モーツァルト。彼の創った「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」などは聞けば誰でもわかる名曲でしょう。今回はそんな彼について知ることのできる本を、5冊紹介します。

1:かなわなかった6歳のプロポーズ
6歳の時、オーストリアの音楽の都ウィーン宮廷で女帝マリア・テレジアの前で御前演奏をします。
御前演奏を終えて下がる時、宮殿の床で転んでしまいました。その時皇女であったマリー・アントワネットが即座に駆け寄って起きるのを手伝ってくれました。アントワネットはモーツァルトより1歳上、可愛らしく優しい彼女に彼はのぼせ上がってしまい、「大きくなったら、僕のお嫁さんにしてあげる」とプロポーズしてしまいました。それが叶っていないのは誰もが承知のことです。
2:上演禁止作品を上演
彼が作曲したオペラ「フィガロの結婚」です。前作「セビリアの理髪師」の続編であり、前作はロッシーニ(1792〜1868年、イタリアの作曲家)が作曲。共にフランス人脚本家ボーマルシェの芝居です。オペラは芝居の台本を元に作られました。
芝居は、貴族社会、封建制度を風刺しているといわれています。本作は、ところどころに貴族の横柄さが見え隠れする作品とされました。そのため、上演禁止になってしまったのです。しかし、実際には上演されて、禁止命令が出たせいでしょうか、庶民ならぬ貴族も押しかけるほどの作品となったのです。
実際、事情を知っているはずのオーストリア皇帝フランツ1世が上演を許可しました。モーツァルトの上演への熱意が強かったのです。彼自身は風刺と捉えず、作品の面白さを強調しました。
3:妻以上に愛した女性 がいた
彼は1782年にコンスタンツェ・ヴェーバーと結婚。当初はコンスタンツェの姉のアロイジアに演奏旅行中に出会い惚れこみました。その惚れこみ具合は、アロイジアを追ってウィーンに来たほど。
しかし振られた挙句、妹のコンスタンツェと結婚しました。コンスタンツェたちは3人姉妹で、ともに歌手でした。美しく才能溢れるアロイジアに彼は何曲かアリアを作曲し後押しもしていました。恋に破れたせいでしょうか、アロイジアのことを父親への手紙の中で良く書いていません。
それでも、彼自身は最後まで忘れ切れなかったようでした。アロイジアは彼の葬列で墓地まで歩いたと言われています。
4:いささか品を欠いていた
彼といえば誰もが天才、大作曲家と認めていますが、どうも品が悪いようでした。
下品さが表れている曲に、「おれの尻を舐めろ」という声を出して言いたくないような歌もあります。どうも彼は尻の話が好きだったようです。
彼が下品である、と知られるようになったのは「ベーズレ書簡」と呼ばれる手紙が見つかっているからでしょう。ベーズレ書簡は彼が従姉妹(父親の弟の娘)に宛てて書いた手紙でした。ベーズレとは従姉妹という意味があります。彼女もふざけ好きで、彼とは気があったそうです。書簡の内容も排泄物と下半身の話題が主だったようです。
彼がモデルとなった映画「アマデウス」で下品な言動をするのもこういう文書があるからでしょう。
5:レクイエムは死への行進
彼のレクイエム、通称モツレクにまつわるエピソードは最大の謎ではないでしょうか。
彼の晩年、35歳の時です。ある日、全身灰色づくめの服に身を包んだ正体不明の男がモーツァルトの家を訪れます。灰色の男は、彼に「死者のための鎮魂曲」つまり「レクイエム」の作曲を依頼します。来訪者はかなりの報酬を出したので、当時生活が困窮していた彼はその仕事を受けました。
ところがその仕事を受けてから、どんどん健康を損ねていってしまうのです。取り憑かれてようにレクイエムの作曲に励んだとも、曲が曲だけに呪われた曲、とも噂されています。1791年8月に依頼を受け、9月30日の「魔笛」初演の後に書き始め、11月20日から病床に伏しました。曲は未完のまま12月5日に帰らぬ人となります。
彼の死後、「のろわれた曲」といわれたのも無理からぬことです。
それでも、弟子ジェスマイヤーの手により完成の目を見ています。
6:葬儀の謎
彼の命日は12月5日。葬儀は、翌12月6日のようでした。その日は風雨が強い寒い日だった、といわれています。そのため、妻のコンスタンツェは葬列に入らず、墓地までついていくこともしなかったという話はCDのジャケットなどで目にするエピソードです。コンスタンツェ悪妻説はここにもある、と思われせる事件です。
しかし、最近違う説も出てきました。ウィーン気象台の記録を調べた人によると、1791年12月6日の天候は比較的穏やかであった、ということでした。そして天候が悪かったのは12月7日のようです。
となると、葬儀の記録を間違えたか、あるいは意図的に葬列に参列しない理由を作り上げたか?と謎が浮かびあがってきます。
たとえば当時の政治事情、流通事情などの社会的な側面や、彼の人としての関係や作曲のプロセスなどにも触れられています。年代順ではなくジャンル別に章分けされているのも珍しい点でしょう。
- 著者
- H.C.ロビンズ ランドン
- 出版日
- 著者
- 中野 雄
- 出版日
- 著者
- 堀内 修
- 出版日
- 2006-03-15
- 著者
- 小宮 正安
- 出版日
- 2011-03-18
- 著者
- 井上 太郎
- 出版日
- 2009-06-02
いかがでしたでしょうか。天才と称されるだけあって、モーツァルトは多くの人を魅了し、動かしてきたのだということがよくわかります。本をきっかけに、彼の音楽に触れながら、そのことを深く考える機会にしてみてはどうでしょうか。