3位:空から降り積もる涙。CLAMPの描く真っ白な世界『白姫抄』
- 著者
- CLAMP
- 出版日
「白姫」が住むと言い伝えられる雪山で起こる、切ない物語を収録した短編集『白姫抄』。短編3話と終章で構成されていて、各話の登場人物たちに接点はありません。それぞれの物語を白姫が住む雪山から追っていく、CLAMP初の全編描きおろし作品です。
どの話も「愛」がテーマとして扱われていますが、友愛や情愛など様々な「愛」の形が、美しい雪山を舞台に語られていきます。筆で描かれた水墨画のように美しい作画と「白姫」の言い伝えは昔話のような妖しさと、精錬された儚さを感じさせます。
単純な「面白さ、爽快さ」ではありませんが、各話に込められた登場人物たちの「愛」を感じる作品です。本作読み終えた時、雪の夜のような物悲しさを感じるのは、全ての物語を見守ってきた雪山に住む「白姫」の仕業なのかもしれません。
2位:運命に縛られるクローバー達。CLAMPのSF物語 『CLOVER』
- 著者
- CLAMP
- 出版日
- 2008-07-17
その計画の名前は「白花苜蓿計画(クローバー・リーフ・プロジェクト)」。政府の研究として集められた魔法が使える子供たちは、魔法使いとしての能力の強さを示す「クローバーを象った入れ墨」を刻印されます。彼らの願う本当の「幸せ」とは……。魔法と科学が同時に存在する世界を舞台にした一風変わったSF作品です。
世界に一人しかいない最強の魔法使い「四葉のクローバー」である少女・スウの願いを叶えるため、元軍人・和彦は彼女の隔離されている通称「鳥籠」を訪れます。閉鎖された世界の中、機械仕掛けの動物と寄り添う無垢な少女は彼に問いかけます。
「貴方が連れて行ってくれる人?」(『CLOVER』より抜粋)
彼女を「ある場所」に護送する依頼の中で、和彦は少女の願う「幸せ」の意味を知ることになります。本作の特徴として、一人目の主人公「四葉のクローバー・スウ」の物語から時代は過去へと遡り、二章ではスウと和彦が出会う前のエピソードが語られます。過去を知るうちに「クローバー」たちの運命や、生い立ちを徐々に紐解いていくという特殊なストーリー展開です。
機械的な文明を感じさせる世界観と対を成す、魔法が印象的な作品です。漫画としては珍しく、効果音にもすべてセリフと同じ書体が使われており、この演出が本作独特の無機質で、機械的な雰囲気をさらに盛り上げます。
未来を知り、過去を読み解く。少女が願った「幸せ」の意味を「終わりから始まる物語」で感じてみてください。
1位:東京を舞台にしたCLAMPの社会派ファンタジー!『東京BABYLON』
- 著者
- CLAMP
- 出版日
- 2000-11-10
様々な欲望が蠢く街「東京」を舞台に、陰陽師の少年と双子の姉、笑顔の裏に闇を抱えた暗殺者の奇妙な三人が繰り広げる、社会派ファンタジーです。一話完結型のストーリーで描かれる東京の闇と、そこで暮らす人間の生み出した怪異に向き合う、陰陽師・皇昴流の物語が登場人物達の生々しい感情と共に描かれています。
目を背けてしまいがちな現実、何気ない生活の中に生まれるわだかまり、無意識の偏見や差別など、向き合っても答えがだせない現実を切り取り、問題定義する本作。一人でも多くの人を救いたいと奔走する、純真で優しい主人公・昴流の葛藤が見どころです。
また主要登場人物たちの価値観や、多角的な意見には時に共感や驚きを感じます。爽快とは言い難い、社会の闇への問題定義。だからこそ改めて気づくことや、日常では意識しない考えに至ることもあるでしょう。
「あなたは東京が好きですか?」(『東京BABYLON』より抜粋)
本作を読み終えたとき、この問いかけに貴方はどんな答えを返すでしょうか。