ストーリーを楽しむ上で欠かせないポイントのひとつ、設定。伏線がすごい漫画はそのポイントをうまくつかみ、読者を想像もつかない世界に連れて行ってくれます。そこで今回は読者の想定を上回る伏線回収がすごい漫画をいくつか紹介していきたいと思います!

- 著者
- 浦沢 直樹
- 出版日
お決まりの伏線はもちろんありますが、なんと、伏線を張り巡らせておいて著者浦沢直樹自身は、全ては拾わないのです。
『MONSTER』は伏線を回収することの必要性を否定している作品だと言えます。本を読んで、色々と推測をしたい人におすすめの作品ではないでしょうか。問いかけだけ残して、答えを提示していないのですから、いくらでも読者が答えを考えることができるのです。
また、この作品はコマ割りも魅力です。まるでドラマでも見ているかのような、コマ割り、シーン、を活用しており、読んでいて常にドキドキします。ひとつの大きな映画を見ているような感覚にもなり、読み始めると最後まで一気に読んでしまうでしょう。
浦沢直樹の名作は、こちらでも厳選して紹介させていただいているので、よければこちらの記事もご覧ください。
漫画史上最も売れた作品であり、今後も売れ続けるであろう大傑作『ONE PIECE』は、「ワンピース 伏線」と検索すれば、考察記事が100万件以上ヒットする伏線漫画でもあります。
熱狂的なファンが存在する一方、巻数が多過ぎて手を出しづらいという未読の方もいるのではないでしょうか?そんなあなたは、とりあえず23巻まで読んでみてください。23巻は最高のエピソードに挙げるファンも多い「アラバスタ編」の完結巻であります。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 1997-12-24
本作を未読の方も、麦わら帽子をかぶったルフィという海賊が冒険の旅をする物語ということくらいは聞いたことがあるのではないでしょうか?
名エピソード「アラバスタ編」では、ルフィたちがアラバスタという国の内戦に巻き込まれます。この内戦はクロコダイルという人物に仕組まれたもので、ルフィたちは内戦を食い止めるべく奮闘するのです。
そして、23巻には、それまでの伏線を回収した号泣必至の第216話「ビビの冒険」が収録されています。未読だった方、この機会にぜひ、23巻まで読んでみてください。
ちなみに最新作はどうなってるの?と思う方も多いはず。そんな方はこちらの記事も読んでみてはいかがでしょうか?
漫画「ワンピース」伏線をネタバレ徹底考察!最新87巻以降の展開を大胆予想
- 著者
- ["大場 つぐみ", "小畑 健"]
- 出版日
- 2004-04-02
見出しにも書いた「死神の伏線」ですが、作品内にて、死神の「リューク」が何度も「面白」(『デスノート』より引用)という言葉を口にします。実は、この言葉が伏線なんです。それだけ「面白」と言うのは、「リューク」が「楽しむ」ことに飢えている証拠になり、リュークと月の関係に、確実に終わりがあることを告げているとも言えます。
この作品はメディアの種類によっては結末が異なり、様々なことを想像することができる作品です。もちろんサスペンスにも分類される作品で、頭を使うことが好きな人以外にも十分に楽しむことができますよ。
有名すぎるほど有名になった本作ですが、実は裏話があるのをご存知でしょうか?考察した記事もおすすめですので、よければご覧ください。
- 著者
- 三部 けい
- 出版日
- 2013-01-25
本作は、次々と重ねられていくシビアな設定に含まれた伏線が見どころの漫画です。児童誘拐殺人事件、虐待、意識障害、冤罪、難病、そして姿が見えない殺人犯への恐怖……。SF、ミステリー、サスペンスというジャンルの掛け合わせからも作り込まれているであろうと想像できるかと思うのですが、さらにそこに様々な考察や感情を引き起こす現実的な設定が数多く付け加えられるのです。まさに技巧派で、これこそ伏線漫画と言うべきおすすめ漫画となっています。
ちなみに本作は青春漫画としても素晴らしく、人々の感情が丁寧に描かれた表情やセリフから伝わってきます。そこで感情移入できるからこそ真犯人が分かった時のカタルシスと、その人物が言うセリフの重みが素晴らしく、作品にのめりこめるものとなっているのです。全8巻完結作品ですが、周囲の人物視点での物語を描いた9巻もぜひチェックしてみてください。その心理描写の巧みさが伝わる作品でぜひとも読んでいただきたい作品です。
作者の名作はこれだけではありません。気になる方は、こちらの記事も一緒にご一読ください。
三部けいオススメ漫画ランキングベスト5!『僕だけがいない街』の他にも……
- 著者
- おがき ちか
- 出版日
- 2003-03-26
『Landreaall』は小さなものから大きなものまで、細かく数多くの伏線があちこちに張り巡らされている作品です。
一見ただの雰囲気重視の話や設定かと思いきや、それが世界観に繋がる大きなものだったり、もちろん分かりやすく重要そうなものも張られたりと様々な伏線があります。それらが複雑に絡み合って広大なひとつの物語を紡ぎあげているのが本作なのです。
更に特筆すべき点はその回収の仕方にもあります。実はこの作品は伏線が登場した順とはかなり異なって回収され、時には数年越しの回収をすることなどもあるのです。
読者も忘れているようなタイミングで回収されると、その驚きはひとしお。いつ回収されるのか楽しみに読むことができます。
大小多くの伏線を長期間に渡って計画的に回収する様は見事。独特な回収をする名作ファンタジー漫画です。
本作の雰囲気が気になる方は、作者のおすすめ作品を紹介している記事もあるので、よければどうぞ。
おがきちかのおすすめ漫画5選!代表作『Landreaall』など
- 著者
- 藤田 和日郎
- 出版日
『うしおととら』の魅力は何と言っても伏線が泣けるところ。もともとストーリー自体が心に沁みてくるシーンが多いのですが、それが張られていることによって衝撃とともに感動がやってきて、より泣かせる話になっています。
1話目から張られているものや、敵である白面について張られているものなど、どれも知れば知るほど奥深い世界観が明かされていく本作。すべてに必然性があり、わざとらしくない伏線の張り方、回収の仕方は見事です。
回収の驚きと心に沁みてくる感動どちらも味わえる名作漫画。ぜひこちらの記事で本作の泣ける名言もご覧になってみてください!
- 著者
- 久米田 康治
- 出版日
- 2005-09-16
- 著者
- 岩明 均
- 出版日
- 2004-10-22
本作の魅力は壮大で作り込まれた王道の歴史漫画に隠された細密な謎。本作の伏線は本当に人の半生を見ているかのような、小さくはあるものの壮大に繋がっていくという特徴があります。
その伏線は会話の端々に隠されていることが多く、1巻から出てくる息の長いものや、もろに伏線だと分かっていても気にならずにはいられないミステリアスな言葉など様々にあります。
トリッキーなものではありませんが、素直に伏線が繋がっているすごさに唸らされる本作。広大な世界をより肉厚なものにする細かな設定が際立ったおすすめ漫画です。
ちなみに本作の最新巻までの詳しい見所はこちらをどうぞ。
漫画『ヒストリエ』10巻までの魅力を徹底考察!【ネタバレ注意】
- 著者
- 荒川 弘
- 出版日
本作の細かすぎる伏線は、すべて回収ができないかと思うほどです。たとえば、主人公エドが、錬金術を使う際の両手を合わせる動作。これも伏線であり、のちにしっかりと回収されます。動作がなにに似ているのか、エドが母を生き返らせるためアルとともに頼ったものはなにか、その頼ったものは兄弟にとってどんなものなのか。色々考えながら読むのも面白い作品です。
ちなみに本作が気になった方は、さらに作者やキャラについえ深く知れるこちらの記事もおすすめです。
漫画『鋼の錬金術師』の知られざる13の裏話!登場人物たちの隠れた設定も!
漫画『鋼の錬金術師』ホムンクルスを徹底考察!生まれた順番で一覧紹介!
- 著者
- 新川 直司
- 出版日
- 2011-09-16
- 著者
- 吉田 秋生
- 出版日
- 1986-12-15
少女漫画の枠を超えて大人気となったハードミステリー漫画です。その本格的な作風から映画化を望む声が定期的に出るほど作り込まれた世界観があります。本作の魅力はなんといってもキャラクター。みな感情移入せずにはいられないような人物たちで、彼らがストーリーにどう関わってくるかが見所になってきます。
IQ180以上の頭脳を持ち、運動神経も抜群、人を束ねる天性のカリスマ性を持つアッシュに、彼の心を癒す優しい少年の英二、マフィアとして偉大ではあるがアッシュに入れ込みすぎてしまうディノ、そして彼らを取り巻く人物たち……。彼らの特徴が過去にまつわるものだったり、ストーリーでの障害になったりと意外なところにポイントがあったりします。奥行きの深い世界が広がる本格漫画をお楽しみください。
アニメ化も決まった本作のキャラや、かっこいい言葉はこちらでも紹介しているので、よければこちらも読んでみてはいかがでしょうか?
漫画「バナナフィッシュ」の登場人物、名言をネタバレ紹介!不朽の名作!
- 著者
- 堀尾 省太
- 出版日
- 2016-06-23
本作は仮称「フクノカミ」が起こす変化の大きさに比例して増していく、得体の知れない恐怖と謎に引き込まれる伏線漫画です。
始まりのシーンは、同じ顔をした死体が転がった海辺に、刀を持った着物姿の男が立っているところから始まります。その死体は体は普通の人間ですが、顔は琉花が拾った「フクノカミ」と同じ見た目をしています。かなり不気味です。刀を持った男は「奴だけがおらん……どこだ?」とつぶやき、海に沿って歩きながら去っていきます。そして琉花と及川ふたりのシーンになるのです。
「フクノカミ」の怪しげな動きや謎は回を追うごとに増していきます。操られているような琉花の祖母の発言や表情、「フクノカミ」の謎の島民への影響力、寧島の知られざる歴史など気になるポイントが次々とストーリーに現れてきます。加速度的な展開は読む者を奇妙な世界へと引きずり込むのです。ぜひ作品で自分の手の届かない恐怖と謎が増えていくストーリーを楽しんでみてください!
この独特な魅力はさらにこちらで深くご紹介しております。
創作物は国家どころか、時間も次元も、軽く飛び越えることができます。漫画では日本を舞台にした作品はとても多いもの。それ以外にも、ヨーロッパ文化に近いファンタジーものや、中華風の世界観をもった作品も、人気を集めています。
特に中国の歴史や小説、逸話などをモチーフとした作品は、日本でもなじみとなりました。中でも、日本に古代中国の壮大な物語を定着した作品として周知されているのが本作。中国の古典怪奇小説を原作とし、安能務訳『封神演義』を参考に描かれており、人間だけでなく、仙人や神の思惑が交錯する、壮大なストーリーが展開されています。
- 著者
- 藤崎 竜
- 出版日
約3000年以上前の中国は、殷王朝が栄えていました。名君と謳われていた殷の紂王は、悪の仙女妲己を皇后に迎えてから、怪しい術に惑わされて放蕩三昧、悪政の果てに国が乱れてしまいます。仙人界ではこの事態を憂い、悪の仙道を神界に閉じ込め、新たなる王朝を作る計画を実行することに。
物語は多くの仙人を育成する崑崙山の教主、元始天尊の弟子太公望を中心に進みますが、仙人界の事情だけではなく、人間たちのドラマも見どころのひとつ。特に、殷を滅ぼし、国を興そうと立ち上がる周の面々や、元々紂王の臣下だった人々の苦悩に、胸が締めつけられます。コメディタッチの描写は多いですが、さらりと残酷な描写が登場するので、苦手な方はご注意ください。
壮大なストーリーの本作ですが、人間と仙人の戦いは、予想外の方向へ進んでいきます。その展開を暗示している伏線が、コメディ描写の1コマに隠されていたり、コミックスの表紙に対比する関係性のキャラクターが対になって描かれているなど、見落としがちなところに集中しているのがポイント。物語を堪能しながら、もしやこれが伏線、と疑いながら読み進めるのも、楽しみ方のひとつとなりそうです。
本作は登場人物が魅力のひとつなので、こちらの記事からその良さを知っていただくのもおすすめです!
漫画『封神演義』の登場人物を徹底紹介!フジリューだからこんなにも面白い!
漫画は1話目、1巻目と、物語の始まりが肝心と言えるでしょう。読者の関心を惹きつけて物語にのめり込ませ、続きを読ませたいという気持ちにさせていかなければなりません。吸引力はそのまま人気に直結し、1話目が面白かった漫画は、そのまま人気作品となるケースが数多くあります。
とはいえ、全ての作品の面白さが、最初にだけ集約されているわけではありません。最初はそうでもなかった、という作品が巻数を重ねることにより、面白さを増していくということもあるでしょう。『ワールドトリガー』は、遅効性SFというキャッチコピーが付けられているとおり、じわじわとその面白さが伝わっていく作品です。
- 著者
- 葦原 大介
- 出版日
- 2013-07-04
人口28万人の都市、三界市。人々が穏やかに暮らすその町に、ある日突然異世界への「門(ゲート)」が開かれました。門から現れたのは、見たこともないような怪物。「近界民(ネイバー)」と呼ばれるそれは地球上の兵器がまったく通用せず、人々は恐れおののきます。しかし、そこに突然現れた近界民でもある、「界境防衛機関ボーダー」と名乗る一団が、怪物を撃退。ボーダーたちに守られ、三界市の人々は穏やかな生活を取り戻しました。
その4年半後、ボーダーに訓練生として所属している三雲修は、空閑遊真という不思議な少年と出会います。真っ白い髪に、小柄な体躯に似合わず、癖のある性格の遊真を放っておけず、行動を共にすることに。そんなとき、近界民に狙われる雨取千佳や、エリートボーダーである迅悠一と出会い、物語は進んでいきます。
門より現れる敵と戦うというSF物語ですが、戦闘は集団戦で、戦略がメイン。1人だけが強くても勝てず、チームで勝つにはという方法を探っていく過程も面白く、心理戦では手に汗握ります。何度も読み返すことを前提として作られており、伏線はちょっとやそっとでは発見できないかもしれません。発見する驚きに満ちた物語、何度も読み返して奥深い世界にハマりますよ。
日常というと、何も特別なことなど起こらない、退屈な日々であると想像するでしょうか。はたまた、毎日繰り返される営みこそ尊く、愛おしいと感じるでしょうか。日常系と分類される作品の多くは、どこか人の心を穏やかにしてくれる効果があるように感じられます。
『それでも町は廻っている』は、日常系ではあるものの、少し不思議という注釈が付く物語でしょう。東京の下町で育った女子高生を主人公とした日常を、コメディタッチで描いた作品で、どこか裏路地に迷い込んでしまったような、不思議な気分を味わうことができます。基本的には一話完結ですが、物語が奇妙な繋がりを見せ、読者を不可思議な日常へと誘います。
- 著者
- 石黒 正数
- 出版日
- 2006-01-27
東京都大田区の下町、丸子に暮らす嵐山歩鳥(あらしやまほとり)は尾谷高校に通う女子高生。ありあまる行動力を持ち、ポジティブかつちょっと天然気味な明るい性格をしています。丸子商店街にある喫茶店シーサイドでアルバイトをしていますが、ある日マスターの磯瑞ウキの商売繁盛の秘策により、喫茶店はメイド喫茶に変更することに。
しかし、メイド喫茶とは名ばかりで、メイド服を着た歩鳥が接客をするだけという状態。歩鳥の同級生、辰野俊子がアルバイトに勧誘されることになり、そこにアルバイトのうわさを聞き付けた教師が登場し、と人が人を呼ぶ展開が続いていきます。
日常系というと、連載が長引くにつれて学年がループする事態が発生、暗黙の了解の上に作品が成立するという事態が多々発生します。本作の場合は、常にどの時系列の日常が描かれているのかわからない、というのが最大の特徴。そのため話が繋がらず、読者は不思議な感覚を味わいます。適当ではなく、全て計算された配列になっているので、歩鳥の日常がどうなるのか、わくわく感を堪能できるでしょう。
主人公が記憶喪失であった場合、主人公にとっても、読者にとっても最大の謎となるのは、記憶ということになるでしょう。なぜ失われたのか、本当はどんな人物だったのか。失われたものを探す苦痛の果てにある真実を、一緒に探していくのです。
『ドロヘドロ』は、インパクトのあるタイトルと表紙の文字が目を引きますが、魔法が登場するダークファンタジー世界の物語です。とはいえ、完全にファンタジーではなく、機械のようなものも登場するので、スチームパンクのような印象を受ける読者も多いでしょう。ざらりとしたような、荒さのある絵柄が世界観にマッチしています。
- 著者
- 林田 球
- 出版日
物語は魔法のケムリによって歪んだドアと、「魔法使いの世界」と繋がってしまった「ホール」と呼ばれている、とある一つの町から始まります。魔法使いは実験と称してはよくホールに現れ、好き勝手に実験をしては自分の世界へ帰っていくという行動を繰り返していました。当然ホールの人間たちは抵抗をはじめますが、被害者は増えるばかり。
カイマンもそんな魔法使いの被害者の1人。頭を爬虫類に変えられ、過去の記憶を失っていました。現在は倒れていたカイマンを拾ってくれたニカイドウと生活をしています。カイマンは魔法使いを狩り、自分自身の過去と本来の姿を取り戻すために戦っていました。魔法使い狩りを許容できない魔法使いは、ホールで発生する魔法使いの連続殺人を食い止めるべく、始末屋も動き出し、戦いは激化していきます。
カイマンは頭部が爬虫類にされていることもあり、見た目はかなりシュール。グロいと感じる場面は多いですが、どこか愛嬌のあるブラックユーモアとして流されている部分もあり、グロすぎるということはありません。
刊行ペースは遅めなので、何度となく読み返して、そのダークな世界と張り巡らされた伏線を楽しみましょう。
『ドロヘドロ』については<『ドロヘドロ』最終回までの5つの魅力ネタバレ考察!秀逸な世界観にハマる!>の記事で魅力を詳しく紹介しています。
人類の歴史は長く、猿人が誕生したのは300万年ほど前、ホモサピエンスとなれば数万年前という、途方もない時間があり、今日の人間という存在があります。その数万年の間にも、様々な人間の営みがあり、それが歴史という形で積み重なってきました。わたしたちの日常も、やがて歴史のひとつとして積み重なっていきます。
人の営みは連綿として続くものであり、生活している場に文明が存在します。では、人間がいなくなってしまった後の世界は、いったいどうなってしまうのでしょうか。その疑問に一つの問いを出しているのが『Dr.STONE』です。本作では、突如として文明を奪われた世界で生きることを余儀なくされた、少年たちの奮闘が描かれています。
- 著者
- Boichi
- 出版日
- 2017-07-04
大木大樹が、告白という一世一代の大舞台に挑むその時に、突如として空が発光し、全人類が石化するという事態に見舞われてしまいました。長い年月を経て、石化が解かれた大樹でしたが、目の前に広がっていたのは石像となって転がる人間たちと、樹木が生い茂り、自分たちの世界が風化した姿でした。
大樹の幼なじみであり、科学部の部長でもある主人公、石神千空は、発光し石化した時点から、秒単位で時間を数え続けるという、気の遠くなるような作業の果てに生還した、驚異的な精神力の持ち主。
西暦5783年、ふたりは失われた3700年を取り戻す決意をします。
本作は、千空たちが知識と体力を武器に困難を乗り越えていく過程を描いていきます。極限状態ならではの人間ドラマも見どころで、石化から生還した人間たちの、様々な思惑が交差します。読み進めていくと発見する小さな疑問は、伏線である場合が多く、明かされていない謎はまだ数多くあります。千空たちとともに、世界の謎と文明の再興に挑んでいきましょう。
物語には主人公が定められており、特殊設定ではない限り、大概は主人公を中心に物語が進んでいきます。主人公が苦悩し、成長していく姿に共感し、励まされた読者も多いのではないでしょうか。
主人公は物語の要であり、読者を映す鏡でもある存在です。 主人公というのは、1人だけというイメージがありますが、作品によっては複数人の視点で進むなど、人数を限定されているわけではありません。特殊な主人公の設定が目を引く作品と言えば『マテリアル・パズル』。とあるきっかけを引き金に、主人公の人格と肉体が入れ替わるという、驚きの設定があるのです。
- 著者
- 土塚 理弘
- 出版日
- 2002-06-22
魔法が存在する世界。辺境の村ミルホットに、突然の脅威が襲います。村一番の武術の使い手である少年、御風(ミカゼ)は、村を救ってもらうため、不老不死という3人の魔法使いを訪ねます。そこで出会ったのは、まだ少女の姿である魔法使い、アクア。彼女に認められ、御風とアクアは村に向かいました。しかし、ほんの些細なきっかけで、アクアは命を落としてしまいます。
不老不死なのではなかったのかと驚く御風でしたが、死んだアクアは瞬く間に消え去り、まったく別の人間が現れます。
10代後半の少年の姿をしたティトォ、アクア、そしてもう1人の魔法使いであるプリセラは、同時に1人しか存在することができない不老不死の魔法使い。1人の死により、別の存在に変わることを義務付けられた存在でした。
死によって入れ替わるという、重めの設定でありながら、ギャグ展開はかなり多め。シリアスとギャグの配分がちょうどよく、重くなりがちな物語と、読者の肩を緩めてくれる力があります。3人の魔法使いが不老不死ということもあり、数百年単位での時間の流れがある物語。伏線も多く、3人の主人公それぞれの過去も気になってくるはずです。なぜ3人は運命を共にすることになったのか、長い時間の中で語られる物語を堪能してください。
4章が再開し、さらに盛り上がっている本作をもっと知りたい方はこちらもどうぞ。
『マテリアル・パズル』が無料!4章が再開?隠れた名作漫画をネタバレ紹介!
- 著者
- 巴 亮介
- 出版日
今回の伏線は先ほども触れたタイトルにあります。それは、タイトルの「ミュージアム」という言葉。「カエル男」は、NHKで放送された「メトロポリタン美術館」を口ずさんでいます。歌では、ラストで主人公が絵の中に閉じ込められてしまうのです。この事実を踏まえて最後まで読むと、とあることに気がつくことでしょう。
グロテスクな作品が苦手な方にはおすすめできませんが、グロテスク好きにはぴったりの作品です。また、サスペンスが好きな方も楽しめることでしょう。
最終回までの見所などはこちらの記事でもご紹介しております!
漫画『ミュージアム』のエグすぎる全3巻をネタバレ紹介!最終回も考察!
前置き文章の最後に、「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ(『魔王JUVENILE REMIX』より引用)」と書かれて、物語は始まります。哲学者であるニーチェの有名な言葉ですが、読み終わったあとに振り返ると、その場でうなる言葉に変わっているかもしれません。
- 著者
- ["大須賀 めぐみ", "伊坂 幸太郎"]
- 出版日
- 著者
- 松井 優征
- 出版日
ミステリー漫画ではありますが、謎解きに関する伏線を楽しむ作品ではありません。本作はシュールでブラックでドロドロというごたまぜの世界観で、ストーリーの工夫を楽しむ伏線漫画となっています。
独特な世界観に目を奪われがちですが、実は設定もかなり緻密に作り込まれているのです。ちょっとした時のセリフや、瞳の中に映る文字、たくさん描かれる時計など、ストーリー上での小ネタがのちのちしっかりと繋がってくることに驚かされます。何度も読み返したくなり、その繰り返しによって味が出てくる漫画です。ぜひシュールな世界観の中にある細かなストーリーの伏線を見逃さずにチェックしてみてください。
人間は自分周辺のことで頭がいっぱいになりがちですが、人間はそれぞれ国に住み、国は地球の中に存在します。地球は宇宙の中に存在する小さな惑星に過ぎず、広い宇宙には人間の知らない星もきっと存在するのでしょう。宇宙には人間のような生命がいる、と言われ続けていますが、宇宙のどこかにも文明が存在すると考えると、ロマンを感じますね。
『レベルE』は、壮大な宇宙のロマンを感じることはありませんが、宇宙人の登場する作品です。地球侵略といった重い話ではありません。ごく当たり前に、宇宙人が地球にこっそりと来訪、社会に溶け込んでいる、という世界で物語は進行していきます。オムニバス形式なのですが、1つの物語の中で完結させる、構成力に唸ること間違いありません。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 1996-03-04
ドグラ星から地球にやってきた王子、通称バカ王子は宇宙でも屈指の優秀な頭脳を持った宇宙人です。しかし、その思考は少しどころかだいぶ斜め上で、いかに国民の支持を下げず、苦しめるかを追求する、トラブルメーカーとして君臨していました。地球にやってきたのも、暇つぶしのために悪ふざけをしにきたという、何ともゆるい理由です。山形県を舞台に、バカ王子が騒動を巻き起こしていきます。
本作はオムニバス形式で、それぞれ登場人物のゆるい繋がりはあるものの、独立した物語として、きちんとオチがつきます。1話自体がそう長くはない物語なので、オチまでの展開と、伏線はそうわかりづらいものではありません。短い中で伏線を張り、オチをつけるその手腕は、さすがと唸ってしまうほど。バカ王子の暴走と漫画の醍醐味を楽しむことができます。
具体的な伏線はネタバレになってしまうので伏せますが、本作は夢野久作の小説『ドグラ・マグラ』や『少女地獄』のオマージュが含まれているなど、あらゆるところに仕掛けが施されています。物語全体を通しての伏線も用意されているようなので、これから読まれる方は心の準備をしてください。隅々まで読みこんで、何度でも楽しめる作品です。
鶏が先か、卵が先か、という問題があります。鶏が先に存在したから卵が生まれたのか、卵の存在があったからこそ鶏が誕生したのか、答えを知るのは本人たちの身で、人間はそれを推測するしかありません。しかし、こういった「どちらかが先か」という問題は意外と多く、人間の思考を混乱させます。
とある少女の死から始まる、現代ダークファンタジー『絶園のテンペスト』も、まさに物語にそんな矛盾を抱えた作品でした。物語が進み、様々な事実が明らかになるにつれ、読者は様々な考察を行います。そして、主人公たちと同じような思考を辿るでしょう。なぜ、どうして、そんな問いかけを続け、ようやく世界の深淵にたどり着くのです。
- 著者
- ["城平 京", "左 有秀", "彩崎 廉"]
- 出版日
強盗殺人事件に巻き込まれ、不破愛花が亡くなった。妹を溺愛する不破真広は、犯人が誰なのか、一切情報が入らないことにしびれを切らし、偶然手に入れた魔道具を使用し、魔法使いの姫君、鎖部葉風と契約を交わします。同時期に、愛花の秘密の恋人だった瀧川吉野は、危ういところを真広に助けられました。強大な力を持ち、一族からは敬遠されている葉風や真広とともに、葉風を追いだした鎖部家と対峙、やがて世界の秘密と向き合っていくことになります。
本作では魔法に特別な設定が用いられており、世界を生み出した「はじまりの樹」と、対となる世界を滅ぼす力を持った「絶園の樹」が、世界の理を作っていました。とはいえ「はじまりの樹」は、供物と引き換えに魔法の力を人々に与える存在、生み出す力は正義と捉えることができるため、どこか正しい力に感じられます。しかし、それは本当にそうなのか、物語が進むにつれ、世界の根底が揺らぐ感覚を味わいます。
世界の謎と、愛花を誰が殺したのか。この2点が物語の争点となりますが、謎が少しずつ明らかになり、伏線が回収される瞬間の爽快感は格別です。なぜこうなったのか、全てが繋がることで、まさしく世界がひっくり返るような驚きを味わうでしょう。ダークファンタジー世界の大きな謎に、ぜひ挑んでみてください。
作品をもっと知りたい方はこちらの記事もおすすめです!
漫画『絶園のテンペスト』が無料!あなたは分かるかこの世界観⁉
ある日兄弟が増える、と言われたらどういう状況を想像しますか。両親のどちらかに隠し子がいたことが発覚した、親戚の年上の子どもを引き取った、再婚相手の子ども、こんな状況が浮かぶのではないでしょうか。それだけ家族が増えるということは特別な状況であり、事件を予感させる空気を孕んでいます。
『へんなねえさん』は、15年間一人っ子だった少年に、突然姉ができるところから物語は始まります。なぜ姉が、という疑問を抱えながら読者はページを捲りますが、読み進めていくと困惑すること間違いありません。本作は青年向けコミックスとして発売はされていますが、年齢制限はなく、青少年も読める内容のコミックスなのです。
- 著者
- 吉富昭仁
- 出版日
短編形式の物語ですが、突然姉ができた少年の物語、発明をしてなぜか自分を増やし続ける少女などが登場、その中に少女同士のかなり露骨な性描写がさしはさまれます。とはいっても、かなりエロティックというわけではなく、なぜそうなったとツッコミを入れてしまうような状況での行為。萌えるよりも困惑のほうが大きくなるでしょう。
そんなちょっとゆるいエロティックなシーンと、ゆるSFという雰囲気で物語が展開されていく本作。実はアホエロ展開は仮の姿、ものすごい伏線が張られた物語であることが徐々に明らかにされていく作品なのです。序盤だけ読んでみたという方は疑心暗鬼になるかもしれませんが、ゆるいただのエロ、という感想は払拭されるはずです。
なぜこの設定にしたのか、という根本的なとことに疑問は残りますが、伏線から繋がる物語の結末はきれいにまとまっています。しかし、アホエロ路線が立ち消えになっているわけではないのでご安心ください。ちょっとエッチな路線と、巧みな物語構成を楽しめる、1度で何度も美味しい、味わいのある作品です。
子どもの頃に流行したもの、という話題が出ると大概年齢がバレるもの。年齢を重ねるにつれ耳に痛い話題ともなりますが、長い間多くの人に愛されている作品ならば、共通の話題ともなりやすく、世代を超えて話が盛り上がることもあります。自分が子どもの頃好きだったものを、自分の子どもや、後輩が好きになってくれるというのも、なんだか嬉しいものです。
『ポケットモンスター』はアニメや映画も人気ですが、幅広い世代に読まれているのが、コミカライズ作品である『ポケットモンスターSPECIAL』です。
- 著者
- ["秀憲, 日下", "真斗"]
- 出版日
本作はコミカライズ作品ということもあり、基本ストーリーはゲームのシナリオをベースとしていますが、コミックスオリジナルのアレンジも加えられており、ゲームをプレイした方でも新鮮な気持ちで読むことができます。また、ゲーム内の小ネタや設定が漫画に登場することもあり、原作ゲームファンはニヤリとする場面も多いでしょう。数多あるシリーズで主人公が代わるように、本作の中でも章ごとに主人公が交代していきます。
最初の物語は、カントー地方のマサラタウンという小さな町に住む、レッドという少年が主人公。レッドは、森で何かを探している様子の、怪しい黒ずくめの集団を発見します。そこで幻のポケモンの情報を手に入れて現場に向かったところ、光り輝く謎のポケモンと戦うグリーンに加勢しますが、倒されてしまいました。強くなろうと決意したレッドは、究極のポケモントレーナーとして成長するため、旅に出ます。
物語はゲームシリーズの発売順とほぼ同じように進みますが、各所に伏線が仕込まれており、子供向け作品だと侮れない作りになっています。画面の端にいただけの人物が実は後のシリーズで主人公になったり、敵方の意外な真実が次の章で明かされたりするなど、書ききれません。主人公は違っても、連綿と続いていく物語、息の長い作品だからこそできる構成に唸ります。
たくさん伏線が張られた物語を、わくわくしながら読み進めた経験はおありでしょう。次々と明かされる真実、盛り上がる物語、高揚したまま最後の頁を読み終え、満足して裏表紙を閉じながらふと気がつきます。あの伏線回収されてないじゃないか。そんな経験も、もちろんおありでしょう。
伏線をたくさん張るのは、物語の盛り上がりにおいても重要な作業ではありますが、回収されなかった伏線と、それにまつわる謎は、完結を迎えてしまえば明かされず、読者は悶々とした気持ちのまま日々を過ごさねばなりません。そんな回収されない伏線問題に悩まず、物語を楽しむことができるのが『ワールドエンブリオ』です。
- 著者
- 森山 大輔
- 出版日
本作は、現代を舞台としたSFファンタジー作品。日常に人外の敵が入り込み、戦っていくうちに、世界の謎や自身に纏わる事実が明かされていきます。伏線は1巻から緻密に張られており、回収されるのは物語が後半に差し掛かった頃。物語は加速度的に面白さを増し、どんどん世界にのめり込んでいくことができます。
私立の高校に通う16歳の高校生天海陸は、2年前から行方不明となっていた叔母から、突然メールを受け取ります。添付されていた写真を元に廃病院に姉を探しに行くと、そこで異形の存在、棺守と遭遇。命の危機を迎えてしまいます。しかし、謎の繭を拾った陸は、繭から発せられた光により、窮地を脱します。その翌日、繭から生まれたのは赤ん坊。失踪した叔母の天音に瓜二つのネーネでした。
天音とネーネが物語のキーとなりますが、地味で嘘つきな主人公、陸の成長も見どころのひとつです。また、女性キャラクターが魅力的なところも注目ポイント。年上のお姉さんの包容力あり、幼女のかわいらしさあり、真面目美少女あり、とお気に入りのキャラクターを見つけることができるはずです。
共感するポイントも多く、癒される要素の多い日常系漫画ですが、そのシチュエーションは様々。学校が舞台となっていることもあれば、田舎や離島、異世界の日常が描かれることもあります。そこにあるのは、何でもない普通の日々ですが、その普通の日々は、何も起こらない、平和な世界であるからこそ、送れるものではないでしょうか。
日常系というジャンルに片足を突っ込んでいるものの、本格SFという側面も持っているのが『地球の放課後』です。1巻の表紙が水着を着た少女であるため、とてもゆるそうな印象を受けますが、騙されてはいけません。地球は未曽有の危機を迎えており、彼らの身も安全であるとは保障されていないのです。
- 著者
- 吉富 昭仁
- 出版日
地球には少年少女、あわせて4人の人間しかいなくなっていました。原因は、謎の生命体「ファントム」が襲ってきたため。ファントムは人間を輪切りにし、存在を消滅させていきます。1人、また1人と人類は姿を消し、ついには4人となってしまったのです。
川村正史は、唯一生き残った少年。自家製農園を運営して野菜を育て、3人の少女とともに自給自足の生活を送っていました。誰もいない世界だからこそ、悠々自適な生活を送っていた4人でしたが、正史はある日、消えたはずの妹と遭遇します。再会をほのめかす妹の存在や、突如現れたファントムの正体など、日常の中で謎が少しずつ明らかにされていきます。
日常系のゆるりとした空気の中に、緊迫した状況や、多くの謎が散りばめられているため、読者は気を緩めがち。しかし、ストーリーは緻密に作られており、全6巻で伏線も回収されるため、気を抜ける場面は一切ありません。なぜ人類は消滅しなければならなかったのか、ゆるい日常の中にある答えを、正史たちと一緒に探してみましょう。
かつて、1990年代が過ぎ、いよいよ2000年を迎えようとしていた、ミレニアムな時がありました。世の中はとある大予言やパソコンのシステム上のエラーにより、何か大変なことが起こるのでは、と疑心暗鬼にもなり、地球滅亡説はまことしやかにささやかれていたのは、そう昔の出来事ではありません。
無事に2000年を迎えた今でも、映画や漫画の中では頻繁に、地球は滅亡を迎えていました。ヒーローたちが回避するために奮闘したり、思いがけない人間ドラマを生み出したりしています。『今夜は昨日の星が降る』も、そのうちの1作品であることは間違いありません。
- 著者
- 柴谷 けん
- 出版日
地球滅亡までだいたい30日ほどの地球を舞台にした、オムニバス形式の連作短編集である本作は、地球滅亡を回避するために奮闘する人たちの姿だけではありません。不幸な少女や幽霊、少しだけ不思議な雰囲気を纏った女性など、様々な人々が登場します。
地球が終わるということは、人類が、そして自分の人生もそこで終了する、ということに他なりません。そんな時に起こる物語は、小さな出来事やちょっとした不思議が重なり合い、やがて大きな奇跡となります。小さなピースが組み上がって大きな1枚の絵になるような爽快感は格別、物語の結末ではより大きな感動を味わうことができます。
オムニバスなので伏線の回収が、少々強引ではないかと感じることろがあるのは御愛嬌。1編の物語の完成度は高く、話もまとまっているので、個々の物語も楽しむことができます。最後にどんな展開が待ち受けているのか、滅亡しかかった地球で起こる奇跡を目撃してください。
世界は限りなく広く感じるものですが、よく考えてみると自分の行動範囲5㎞程度で完結しているのでは、と思うことがあるでしょう。すれ違う誰かとも、世界の見知らぬ人とも、話をしようとすればできる世の中です。しかし、自ら開かない限り、自身の世界が広がることはありません。
『こぐまレンサ』はとても不思議な物語です。現代ファンタジー的要素もありながら、サスペンスな内容が登場するなど、ジャンルは統一されていません。短い物語を繋ぎ、物語の終幕では、隠されていた真実が読者の前に明らかにされます。
- 著者
- ロクニシ コージ
- 出版日
垣内有作は、自分の魂と引き換えにしても、後世に残る名作を残したい、と願う売れない小説家。ある日垣内は、悪魔召喚の儀式を行い、そこで「こぐま」という悪魔を召喚します。こぐまは10代の少女のような姿をしており、人の感情を察するのはあまり得意ではありません。こぐまは契約を交わした垣内のために1冊のノートをゴミ箱から拾いあげました。
ノートに書かれていた物語を盗作することで、有名となった垣内ですが、「チチェ」という世界の物語が書かれただけのノートではありません。ノートに書かれた、チチェという世界自体が、作品の流れをひっくり返すほどの、大きな意味を持っているのです。チチェは作中の物語をつなぐキーワードとして幾度も登場、この少し歪な世界の存在を、読者は気にせずにはいられません。
本作は、最後まで読んで、初めて作品の意図やテーマを理解できるという構成で作られた作品です。短編1つ1つのオチやテーマも興味深くはありますが、それだけではありません。全てが作品を作り上げるために、重要な役割を担っていると気が付いた時、すぐさま最初のページに戻って、作品を読み返してしまうでしょう。小さな世界の先にある物語の真実を、その目で確かめてください。
- 著者
- 真島 ヒロ
- 出版日
『RAVE』は有名なシーンが伏線か否かで議論されることの多い作品ですが、大勢の人の心を打ち、驚かせたことは間違いない名作です。
本作はキャラクターそれぞれの個性のたちようが魅力のひとつとされる作品。彼らの背景や個別の能力がしっかりと設定されており、知るほどにその人物が好きになっていきます。
そんな魅力的なキャラクターたちの中でも特に人気なのがジークハルト・シーザー、通称ジークです。彼はふたつ名を持つ優秀な魔法使いで、イケメン。見た目も性格もとにかくかっこいいことで知られています。
そんなジークの名シーンこそが多くの人の心を打った伏線です。この漫画の1番の名シーン、ひいては少年漫画の中でも上位を争う伏線だと言われることの多いものです。
ジークの男らしさや一途さが引き立った名場面をぜひ作品で味わってみてください。キャラの魅力がたっている漫画の良さが改めて実感されるかと思います。
これらの作品を読む人に、読む際にもっと楽しむための方法があります。それは、背景などのなんてことない情報にも注目して、コマの隅から隅までみることです。漫画の良いところは、「小説」では表現することが難しい伏線も絵で表現することができるという点。たとえば、登場人物が読んでいる本や身につけている衣類、回想の風景などに注目するのがいいかもしれないです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。皆様が良い漫画と出会えることを願っています。