3位:大友克洋の魅力を満喫できる短編集!『SOS大東京探検隊』
大友克洋はさまざまなジャンルを超えたニューウェーブ作家であると冒頭で紹介しました。そんな大友克洋の魅力が満載なのがこの一冊、『SOS大東京探検隊』です。連作短編集で、少女漫画的な物から西部劇、4コマまで、多種多様に渡った作品が入っています。
表題の作品は、小学生3人が主人公で、幻の丸の内線、丸の内駅を探す冒険劇。少年時代の冒険という、実験作が多い本作の中では、最も大友克洋らしい作品です。
- 著者
- 大友 克洋
- 出版日
- 1996-02-03
「そこでボク達新聞部が探し出すことにしましたその幻の・・・地下鉄丸の内駅」(『SOS大東京探検隊』から引用)
このセリフを聞くだけで、童心を思い出してワクワクしませんか?
その他、登場人物のセリフが無く視点だけ描いた作品や、緻密な構成とカメラワークで評価される大友克洋が、あえて4コマ漫画で表現をした作品、細い線で大きな目を描いた少女漫画風な『危ない!生徒会長』など、実験的な作品や失敗作ともとれる作品も含めて、彼の魅力を堪能できる短編集です。
2位:『AKIRA』『童夢』の基となった作品も!『彼女の想いで…大友克洋短編集』
本作も短編集です。しかし、これまで紹介したものと違い、これぞ大友克洋!いったハードなSF作品が満載の一冊となっています。
特に収録作の1つである『FIRE BALL』はファンにはたまらない一作。この作品があったからこそ『AKIRA』が作られ、『童夢』のアイディアにも繋がったと言われています。
そんな『FIRE BALL』のあらすじは、ある兄弟が、世界をコンピューターで支配しようとする政府と、それに反抗するレジスタンスとの抗争に巻き込まれるといったもの。SF作家としての色が強い、大友克洋らしい世界観と、主人公像です。
- 著者
- 大友 克洋
- 出版日
- 1990-04-19
『FIRE BALL』の見開きになっている、ガラクタの無機質な手が、世界を掌握するように水晶を持つ一枚絵は、本作を象徴しており、とても印象的です。
後の『AKIRA』、『童夢』に繋がるハードなSFの世界観に引き込まれるでしょう。SF作家としての大友克洋が好きならば是非一度手に取って読んでも損はない一冊です。
1位:大友克洋を一気にスターダムにのし上げた一作『童夢』
『AKIRA』を除けば、やはりこの作品を外すことはできません。漫画界に革命を起こし、伝説と語り継がれる作品『童夢』です。日本SF大賞も受賞した作品で、これは小説以外では同作品が史上初、という快挙になりました。
主人公は、通称「エッちゃん」と呼ばれる超能力者の少女です。ある団地で変死事件が相次ぎ、担当刑事まで不可解な死を遂げてしまいます。話が進むにつれて、エッちゃんは、ある老人が、この事件の犯人で超能力を使って犯行を行っていることに気づきました。そんなエッちゃんと老人による超能力バトルに団地全体が巻き込まれ・・・
- 著者
- 大友 克洋
- 出版日
- 1982-06-28
「まっかなトマトになっちゃいな・・・・・・・・・・・・」(『童夢』より引用)
ハードSFらしいなんともおどろおどろしいセリフですね。
複雑な画面構成によるカメラワークや、綿密に描き込まれた写実的な描写など、大友克洋の凄みをこれ以上にないほど味わえる作品です。
もっとも印象的なところは、超能力という曖昧なものを題材にしながら、分かりやすく読者に示した表現方法です。コンクリートの壁がへこみ、そこに人がめり込む、そして「ズン」という擬音。実は、こういった表現を初めて漫画で使用したのは大友克洋であり、この『童夢』の1コマだと言われています。
紛れもなく、漫画界に革命を起こした一冊です。