さて、今回は様々な男たちをテーマにセレクトしてみました。「漢」でなく「おとこ」たち。我が道をグイグイ進んで行くのでなく、時の流れに任せ揺蕩(たゆた)っていくように順応していく男たち。今の時代に合っているのではなかろうかといった人物たち。自分の性根にあっているからなのか、なんだかそんな情景に共感してしまうワタクシです。
ゆるーく、時にズシンと。
皆様も揺さぶられてみてください。
では、どうぞ。
ゆるゆると綴られる物語
- 著者
- ウィリアム サローヤン
- 出版日
- 2016-03-27
僕の名はアラム、九歳。世界は想像しうるあらゆるたぐいの壮麗さに満ちていた。
アルメニア移民の子として生まれたサローヤンが、故郷の町を舞台に描いた代表作。
海の向こうの話だと思って、少し手の出しづらいイメージがあると思われますが、そんなことは全くなく。サラッと読める超短編集なのです。ちょっと不思議な少年アラム、しかしもっと不思議な、いや変わり者ばかりの叔父たちとの牧歌的なゆるいストーリー。ゆるゆると綴られるその物語にきっとすぐに引き込まれると思います。オススメの一冊。
心に刺さった一節
“言葉なしで喋るのよ。人はいつも、言葉なしで喋ってるのよ”
久しぶりに本を読んで涙が出た
- 著者
- 村上 春樹
- 出版日
- 2016-10-07
短編小説6本。それぞれ短編というよりは中編くらいのボリュームと内容。
妻を亡くした舞台俳優、家福《ドライブ・イン・カー》。おれの彼女とつきおうて見る気はないか?と唐突に言い出す木樽《イエスタデイ》。
魅力的な女性たちとの親密な、知的な触れ合いを求める渡会《独立器官》。性行するたびに聞かせてくれた、彼女の不思議な話に引き込まれていく羽原《シェエラザード》。妻の不倫を目の当たりにし、家を出て会社を辞め、バーを始めた木野《木野》。深夜1時、妻は先週の水曜日に自殺しました、と彼女の夫からの電話を受ける僕《女のいない男たち》。
久しぶりに本を読んで涙が出た。読んでいるときに、イヤホンからちょうどハナレグミが流れていたから、かもしれませんが。何か心の中の奥底にあったものを引っ張り出され、掻き乱されるように。それぞれ日常から始まり、気がつくと非日常に自然に振れている。不思議な短編小説。
心に刺さった一節
“何の説明もつかない裸の一個の人間として世界にぽんと放り出されたら、この私はいったいなにものになるだろうと”
“正しからざることをしないでいるだけでは足りないことも、この世界にはあるのです”