製作・上映・鑑賞の3つの視点でハリウッド映画を論じた1冊
『ハリウッド100年史講義 夢の工場から夢の王国へ』はニューヨーク大学で映画研究をしていた北野圭介の本です。ハリウッド映画をつくる人、上映する人、観る人という3つの視点からハリウッド映画の100年を振り返っています。どうしても映画史を論じるとき、製作者側もしくは鑑賞する側のいずれかに偏りがちですが、3つの視点で同時に論じるという点で、この本は斬新な試みをしていると言えるでしょう。
- 著者
- 北野 圭介
- 出版日
「ハリウッド映画は大衆娯楽だから」といってあえて避けているシネフィルを豪語する方にこそ読んで欲しい1冊です。ハリウッド映画にも、きちんとした歴史があります
映画史を学び始めた人、ハリウッド映画に詳しくなりたい人は、ざっくりと100年の概要がつかめますのでおすすめです。講義形式の文体が、語りかけるように頭に入ってくることでしょう。
映画学会会長が論じる!革新的ハリウッド映画論
日本映画学会会長であり、京都大学の名誉教授となった加藤幹郎の『映画ジャンル論 ハリウッド映画史の多様なる芸術主義』は、映画を各ジャンルに分けて詳細に考察した1冊です。日本におけるハリウッド映画の本格的論考は、この1冊といってもいいほどのボリュームがあります。
- 著者
- 加藤幹郎
- 出版日
- 2016-03-30
今から約20年前に初版が出版されていますが、主に1920年代から現代に至るまでのハリウッド映画を1つの巨大な社会的装置として捉えています。映画は、それが鑑賞されるまでの間に製作・流通という過程を経ており、鑑賞されることで消費されます。また、ジャンル映画がハリウッド映画界において巨大映画産業である以上は、映画は社会に与えるイデオロギー装置ともなり得る、という映画論の基礎からスタートすることで、映画の持つ政治性を学ぶことができるでしょう。
ハリウッド映画のジャンルごとに体系立てて学術的に論じているので、特に映画史を学ぶ学生や考察をしたい筋金入りの映画好きの方に、読んでいただきたい1冊です。
ハリウッド・ビジネスという映画産業の裏側を暴く1冊
『ビッグ・ピクチャー―ハリウッドを動かす金と権力の新論理』は、ハリウッド映画の収支・配給に着目したビジネス本とも言える1冊です。ハリウッド映画は生まれてからずっと人々の夢を描いてきましたが、近年高騰する出演料や宣伝費、そして映画を観る人の減少により赤字化しています。
- 著者
- エドワード・J. エプスタイン
- 出版日
アメリカンドリームを夢見て、ハリウッドに進出してきた日系企業も例外ではありません。本書は華やかで成功者のイメージが強いハリウッドがいかに厳しいか、また赤字化しているのにどうやって映画産業が回っているのかを論じています。門外不出と言われた映画スタジオ各社のバランスシートを元に、著者のエドワード・J・エプスタインがあらゆる角度からその秘密を暴きます。
映画関連の本では、作品や作家に着目した本が多くありますが、この本はビジネスとしての映画産業を取り扱った本ですので、マーケティングの視点から映画産業を学ぶことができるでしょう。企業の経営者、マーケティング部門に属している方など、映画好きだけでなく経営サイドから映画産業を見てみたい方にぜひ読んでいただきたい1冊です。